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カリホルニウム【californium】


カリホルニウム

分子式Cf
その他の名称Californium、Cf
体系名:カリホルニウム


カリホルニウム

分子式Cf
その他の名称Californium、Cf
体系名:カリホルニウム


物質名
カリホルニウム
英語名
Californium
元素記号
Cf
原子番号
98
分子量
252
発見
1949年


カリホルニウム

(Californium から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/06/01 23:33 UTC 版)

バークリウム カリホルニウム アインスタイニウム
Dy

Cf

不明
98Cf
外見
銀白色
一般特性
名称, 記号, 番号 カリホルニウム, Cf, 98
分類 アクチノイド
, 周期, ブロック n/a, 7, f
原子量 [251]
電子配置 [Rn] 5f10 7s2[1]
電子殻 2, 8, 18, 32, 28, 8, 2(画像
物理特性
固体
密度室温付近) 15.1[2] g/cm3
融点 1173 K, 900[2] °C, 1652 °F
原子特性
酸化数 2, 3, 4[3]
電気陰性度 1.3[4](ポーリングの値)
イオン化エネルギー 1st: 608[5] kJ/mol
共有結合半径 168 pm
その他
結晶構造 六方最密充填構造 (α-Cf)

体心立方格子 (β-Cf) 面心立方格子 (γ-Cf)

モース硬度 3–4[6]
CAS登録番号 7440-71-3[2]
主な同位体
詳細はカリホルニウムの同位体を参照
同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP
248Cf syn 333.5 d α (100 %) 6.369 244Cm
SF (2.9 × 10-3 %) 0.0029 -
249Cf syn 351 y α (100 %) 6.295 245Cm
SF (5.0 × 10-7 %) 4.4 × 10-7 -
250Cf syn 13.08 y α (99.92 %) 6.129 246Cm
SF (0.08 %) 0.077 -
251Cf syn 898 y α (100 %) 6.172 247Cm
252Cf syn 2.645 y α (96.91 %) 6.217 248Cm
SF (3.09 %) - -
253Cf syn 17.81 d β- (99.69 %) 0.29 253Es
α (0.31 %) 6.126 249Cm
254Cf syn 60.5 d SF (99.69 %) - -
α (0.31 %) 5.930 250Cm
出典:[7]

カリホルニウム: californium [ˌkælɨˈfɔrniəm])は、原子番号98の元素元素記号Cf。1950年にローレンス・バークレー国立研究所(当時はカリフォルニア大学放射線研究所)にて、キュリウムに加速させたアルファ粒子をぶつけることで、初めて人工的に合成された。アクチノイド元素の一種であり、人工的に合成された6番目の超ウラン元素であった。肉眼で観察できるほど大量に生産されており、そうした元素の中ではアインスタイニウムに次いで2番目に原子量が大きい。元素名はカリホルニウムを初めて合成したカリフォルニア大学バークレー校の所在地・カリフォルニア州に由来する[8]。そのため「カリフォルニウム」と日本語表記されることもあるが、学術用語集で定められた日本語表記は「カリルニウム」である[8]

常圧においては、900 °C (1,650 °F)を境に2つの結晶構造をとる。高圧条件下では、さらに3つ目の結晶構造をとりうる。室温では、空気中でゆっくりと変色する。化合物英語版となる場合は、酸化数は+3の状態で存在することが多い。20種の同位体が確認されており、そのうち最も安定なカリホルニウム251の半減期ですら898年である。半減期が短いカリホルニウムは、地殻中にはほとんど存在しない。252Cf(半減期2.645年)は、一般的に使用されており、アメリカのオークリッジ国立研究所(ORNL)とロシアの原子炉科学技術研究所英語版の2か所で生産されている。

超ウラン元素の中では、カリホルニウムは幅広い実用的な活用法を持っている。カリホルニウムの同位体の中には中性子を放出する性質を持つものがあり、その性質を利用している。例えば、カリホルニウムは原子炉の起動や、中性子回折法中性子分光法英語版などの分析で、中性子源として使用される。また、オガネソン(元素番号118、カリホルニウム249原子にカルシウム48イオンを照射して合成された)をはじめ、さらに原子番号の大きい元素の合成にも利用された。カリホルニウムが発する放射線や、骨格組織への生物蓄積英語版に起因する赤血球の形成阻害といった、健康への悪影響もある。

性質

物理的性質

カリホルニウムはアクチノイドに分類される、白銀色の金属元素である[9]融点900 ± 30 °C (1,650 ± 50 °F)、沸点は1,743 K (1,470 °C; 2,680 °F)と推定されている[10]。純粋なカリホルニウムは展性・延性に富み、ナイフで容易に切断できる。真空中では、300 °C (570 °F)以上で気化する[11]51 K (−222 °C; −368 °F)以下では強磁性またはフェリ磁性(磁石のようにふるまう)、48 and 66 Kでは反強磁性(中間状態)、160 K (−113 °C; −172 °F)以上では常磁性(外部磁場の影響によって磁性を帯びる)を示す[12]ランタノイド金属と合金を作りえるが、まだその分野に関する研究は進んでいない[11]

二重六方最密充填構造(dhcp)の図。ABACABAC…の構造であり、緑がA、赤がB、青がCに相当する。

標準気圧下では、二重六方最密充填構造(dhcp)であるαカリホルニウム(α相)と、面心立方格子構造であるβカリホルニウム(β相)の2つの結晶構造をとる[注釈 1]。600–800 °Cを境に、α相はそれ以下で存在し、密度は15.10 g/cm3、β相はそれ以上で存在し、密度は8.74 g/cm3である[14]。48GPaの圧力下では、5f電子の非局在化によりβ相の構造は直方晶系に変化し、電子が自由に結合できるようになる[15][注釈 2]

特定の圧力が加わった際の体積変化のしやすさの指標である体積弾性率 50±5 GPaで、三価のランタノイド元素と同程度であるが、アルミニウム(70 GPa)など一般的な金属に比べると小さい[15]

化学的性質および化合物

代表的なカリホルニウムの化合物[9][注釈 3]
酸化数 名称 組成式
+2 臭化カリホルニウム(II) CfBr2
+2 ヨウ化カリホルニウム(II)英語版 CfI2 黒紫
+3 酸化カリホルニウム(III)英語版 Cf2O3 黄緑
+3 フッ化カリホルニウム(III)英語版 CfF3 明緑
+3 塩化カリホルニウム(III)英語版 CfCl3 エメラルドグリーン
+3 臭化カリホルニウム(III)英語版 CfBr3 黄緑
+3 ヨウ化カリホルニウム(III)英語版 CfI3 レモン
+3 ポリホウ酸カリホルニウム(III)英語版 Cf[B6O8(OH)5] 淡緑
+4 酸化カリホルニウム(IV)英語版 CfO2 黒茶
+4 フッ化カリホルニウム(IV)英語版 CfF4

カリホルニウムは化合物中で、2,3,4の酸化数をとる。通常、周囲の原子またはイオンと8/9つの結合を形成する。化学的性質は、+3の価数をとるアクチノイド元素や[17] 、周期表でカリホルニウムの上に位置するジスプロシウム[18]、類似したものであると予測されている。+4の酸化数をとる場合は強力な酸化剤、+2の酸化数をとる場合は強力な還元剤として働く[9]

室温では、空気中でゆっくりと変色し、湿度が高いとその速度はさらに加速する[14]。熱すると水素窒素・カルコゲン(第16族元素)などと反応し、そのうちドライ水素や無機酸水溶液との反応は速い[14]

水溶液中では、カリホルニウム(III)カチオンとしてのみ存在を確認されている。3価のイオンを酸化・還元して価数を変化する実験は、まだ成功していない[18]塩化物硝酸塩過塩素酸塩英語版 、硫酸塩などは水溶性で、フッ化物シュウ酸塩水酸化物は水中で沈殿する[17]。カリホルニウムホウ酸塩などのように共有結合性を示す場合もある[19]

同位体

特に明記のない限り、核データはこの出典に基づく[20]

カリホルニウムの同位体は、質量数237から256までの20種類の存在が知られている。最も安定な251Cfの半減期は898年であり、249Cfは351年、250Cfは13.08年、252Cfは2.645年と続く。その他の同位体の半減期は1年に満たず、大半は20分未満である。

249Cfはバークリウム249のベータ崩壊によって生成され、それより重いカリホルニウム同位体は原子炉内でバークリウムに強い中性子照射を行うことによって生成される。カリホルニウム251の半減期は最も長いが、すぐに他の中性子と反応し別の同位体に変化するために(中性子断面積英語版が高い)、比較的生産量は少ない[21]

252Cfの中性子放出性が高く、危険な放射性同位体である[22][23][24]252Cfは、96.9%の確率でアルファ崩壊してキュリウム-248となり、残りの3.1%は自発核分裂をおこす。1マイクログラムの252Cfは、1秒あたり230万個の中性子を放出する(1回の核分裂あたり3.7個の中性子を放出する)[25]。カリホルニウムの他の同位体(質量数; 248-251)もアルファ崩壊によってキュリウムの同位体になるが、核分裂する確率は252に比べて小さい。

歴史

60-インチ 直径 (1.52 m)サイクロトロン。初めてのカリホルニウム合成に使用された。

1950年2月9日頃、カリフォルニア大学バークレー校放射線研究所にて、スタンリー・ジェラルド・トンプソン英語版ケネス・ストリート・ジュニア英語版アルバート・ギオルソグレン・シーボーグらの研究チームによってはじめてカリホルニウムが人工的に合成された[26]超ウラン元素のうち6つ目の発見であり、この発見は1950年3月17日に公表された[27][28]

カリホルニウムの合成には、バークレーにある直径60インチ(1.52m)のサイクロトロンを使用した。マイクログラム級のキュリウム242(242Cm)ターゲットに35MeVのアルファ粒子4He)を照射することで、カリホルニウム245(245Cf)と1つの(自由)中性子が生成された[26][27]。その反応式は以下の通り。

242
96
Cm
+ 4
2
He
245
98
Cf
+ 1
0
n

発生した元素を分離・特定するために、イオン交換法と吸着法が利用された[27][29]。この実験では、およそ5000個のカリホルニウム原子が合成され[30]、半減期は44分であったという[26]

カリホルニウムの発見者チームは、この98番元素に大学とその所在地であるカリフォルニア州からとって「カリホルニウム」となづけた。95番元素から97番元素までは、周期表でその真上に位置する元素の命名をまねしていたが、98番元素にはその慣習が適用されなかった[注釈 4][32]。周期表上で98番元素の真上に位置するジスプロシウムの名称の由来は「手に入れがたい」であったため、この暗黙のルールは適用されなかったという[33]。発見者チームは「the best we can do is to point out [that] ... searchers a century ago found it difficult to get to California」と語っている[31]

カリホルニウムが計量可能な量まで初めて合成されたのは、アイダホ州東部の国立原子炉試験場(現・アイダホ国立研究所)内の材料試験炉でプルトニウムターゲットに長期間照射してのことだった。この研究結果は1954年に公表された[34]。合成されたカリホルニウム試料によって、カリホルニウム252が自発核分裂をおこしやすいことが観測された。1958年には、濃縮カリホルニウムを用いて最初の実験が行われた[26]。同年には、原子炉内で5年間にわたって中性子照射されたプルトニウム239の試料から、質量数249から252までのカリホルニウムの同位体が単離されている[9]1960年には、カリフォルニア大学ローレンス放射線研究所のバリス・カニンガムドイツ語版とジェームズ・ウォールマンは、カリホルニウムを水蒸気と塩酸を用いて、三塩化カリホルニウム、オキシ塩化カリホルニウム(III)英語版、酸化カリホルニウムなどといったカリホルニウムを含む化合物が合成された[35]。日本でも1973年に、日本原子力研究所がカリホルニウムの合成、検出に成功したと発表している。アメリシウム241に中性子を46日間照射後、中性子を吸収して成長した物質を化学的手法で分離し、これを濃縮した物質からカリホルニウム250カリホルニウム252が検出されたという[36]

テネシー州オーク・リッジオークリッジ国立研究所内の高中性子束同位体原子炉英語版(HFIR)では、1960年代より少量ながらもカリホルニウムの生産を行っている[37]1995年まで、HFIRでは年間500ミリグラム (0.018 oz)のカリホルニウムを生産していた[38]。カリホルニウム製造に必要なプルトニウムは1958年アメリカ・イギリス相互防衛協定に基づいてイギリスから供給されたものを活用していた[39]

アメリカ原子力委員会は1970年代初頭から、252Cfを産業・学術界を対象に1マイクログラムあたり10ドルで販売しており[25]、1970年から1990年まで毎年平均で150 mg (0.0053 oz)252Cfが出荷されている[注釈 5][40]1974年にHaireとBaybarzは、酸化カリホルニウム(III)英語版を金属ランタンで還元することで、サブマイクロメートル級の薄い金属カリホルニウム膜を得た[注釈 6][42][43]

天然での発生

カリホルニウムは、鉱物調査(地質調査)や医療的な用途でカリホルニウムを使用する施設の周辺で検出されることがある[44]。カリホルニウム自体は水に溶けにくいが、土壌には付着しやすい性質で、土壌中のカリホルニウム濃度はその周辺の水中の濃度に比べて500倍以上高くなることもあるという[45]

1980年ころまで行われていた大気圏内核実験による放射性降下物には、少量のカリホルニウムが含まれ環境に影響を及ぼした[45]。核爆発後の空気中に舞う放射性ちりからは、カリホルニウム249、252、253、254などが実際に確認されている[46]。しかしカリホルニウムの存在量はごく少量であるために、アメリカ合衆国エネルギー省管轄のレガシーサイト(放射線で汚染された場所・施設)においての主要な放射性同位体ではない[45]

かつて、カリホルニウムは超新星爆発の際に生成されると考えられていた。超新星爆発による光度曲線の減衰周期と254Cfの半減期「60日」が一致していたためである[47]。しかし、のちのちの研究によって超新星爆発からカリホルニウムのスペクトルは検出されず[48]、超新星の光度曲線の減衰周期は、ニッケル56とその崩壊によるものという説が一般的である[49]

ガボンオクロの天然原子炉ではフェルミウムまでの原子(カリホルニウム)が生成されていたと推測されているが、すでに活動は止まっており、当時生成されたカリホルニウムは全て崩壊したと推測されている[50]

合成法

カリホルニウムは原子炉加速器などで生成される[51]。カリホルニウム250は、バークリウム249(249Bk)に中性子を照射することによって生成され、中性子捕獲 (n,γ) によってバークリウム250(250Bk)となる。さらにこのバークリウム250は、速やかにベータ崩壊) を起こして再びカリホルニウム250(250Cf)とな[52]。反応式は以下の通り。

249
97
Bk
(n,γ)250
97
Bk
250
98
Cf
+ β

250Cfに中性子が照射されることで、251Cfや252Cfが生成される[52]

アメリシウムやキュリウム、プルトニウムに中性子を長時間照射すると、ミリグラム量の252Cfとマイクログラム量の249Cfが生成される[53]。2006年現在では、キュリウムの同位体(質量数:244 - 248)は、特殊な原子炉内で中性子を照射することで、カリホルニウム252を中心に質量数249~255のカリホルニウム同位体を生産している[54]

マイクログラム量の252Cfは、アメリカ合衆国原子力規制委員会(NRC)を通すことで商業的な利用が可能となっている[51]252Cfの生産は、アメリカのオークリッジ国立研究所と、ロシアディミトロフグラード原子炉科学技術研究所英語版の2か所のみが行っている。2003年時点では、年間0.25グラムと0.025グラムの252Cfをそれぞれが生産している[55]

ウラン238核分裂反応アルファ崩壊を経ずに15回の中性子捕獲を行うことで、比較的半減期の長いカリホルニウムの同位体が3種類生成される[55]。図のとおり、ウラン238から始まり、プルトニウムアメリシウムキュリウムバークリウムを経て、質量数249から253までのカリホルニウムが生成される。

ウラン238の中性子捕獲によるカリホルニウム252の生成ダイアグラム

活用法

ORNLで製造された50トンの輸送容器。最大でもわずか1グラムの252Cfしか運搬できない[56]。平常時および有事の場合に、高放射性物質の放出を防ぐには、大型で重く遮蔽された輸送容器である必要がある[57]

1982年のデータによれば、252Cfの用途は、原子炉の起動用中性子源(48.3%)、燃料棒スキャナ(25.3%)、放射化分析(19.4%)であったという[58]1994年になると、252Cfの用途の77.4%が中性子ラジオグラフィとなり、燃料棒スキャナ(12.1%)と起動用中性子源(6.9%)はその後に続いた[58]

中性子源

カリホルニウム252を利用した中性子源

252Cfは、1マイクログラムあたり毎分1億3900万個の中性子を放出するという強い中性子放射性を持つために、中性子源 (中性子線源)として様々な用途がある[25]。原子炉の起動用中性子源英語版[14]、試料中の微量元素を検出する中性子放射化分析 の中性子源(原子炉ベースではなく運搬可能であるという点が利点)などがその一つである[注釈 7][60]。またカリホルニウムから放出される中性子は、そのほかの放射線療法では効果がない特定の子宮頸癌脳腫瘍の治療にも利用されている[14]。1969年にジョージア工科大学サバンナ・リバー・サイトから119μgの252Cfを借用して以降、実験・研究などの教育用途でも使用されている[61]。また、オンライン元素石炭分析器英語版バルク材料分析器英語版などにも活用されている。

カリホルニウムが放出する中性子の透過性を利用して、燃料棒スキャナや[14]、航空機や武器の部品から腐食・溶接不良・亀裂・水分などを検出する中性子ラジオグラフィ[62]、さらにはポータブル金属探知機などに役立てられている[63]中性子水分計英語版でも同様に持ち運び可能な中性子源として252Cfが使われることがある。この機器は、金・銀や、油田で水層・石油層を探索したり、地下水の流れを調べるために利用される[18][64]

2021年には、252Cfから放出される高速中性子が無線データ通信に利用されている[65]

新元素の合成

ローレンシウムを合成し、周期表に「Lw」の文字を書き加える様子。ローレンシウムはカリホルニウムを原料にして合成された。

カリホルニウムは超ウラン元素の合成にも使用されている。1961年に初めて合成されたローレンシウムは、カリホルニウムにホウ素原子核を照射することで合成された[66]。また2006年10月には、ロシアのドゥブナにあるドゥブナ合同原子核研究所で、249Cfにカルシウム48を照射して、オガネソン(元素番号118)の原子3個の合成に成功したと発表した。この合成実験では、32cm²のチタン箔上に約10mgの249Cfターゲットが載せられていた[67][68][69]

核兵器

251Cfは計算上の臨界量が約5 kg (11 lb)と小さく[70]、殺傷能力が高く、環境に有害な放射線の照射も比較的短いことから、核兵器などへの活用が叫ばれたこともある[注釈 8][注釈 9]

健康被害

カリホルニウムは、放射能が強く、環境中にほとんど存在しないことから、いかなる生物にとっても何らかの生物学的役割がない物質である[44]

カリホルニウムが体内に取り込まると特に危険である[45]。カリホルニウムに汚染された食べ物・飲み物を摂取したり、カリホルニウムを含んだ空気を吸い込んだりすることで、体内にカリホルニウムが取り込まれる可能性がある[45]。体内に取り込まれたカリホルニウムのうち血液に溶け込むのはわずか0.05%である[45]。血流にのったカリホルニウムは、約65%が骨格組織、約25%が肝臓に、残りは他の臓器に蓄積されるか、尿として排出される[45]。こうして蓄積されたカリホルニウムの量が半分になるには、肝臓では20年、骨格組織にいたっては50年かかる[45]。骨格組織に取り込まれたカリホルニウムは、はじめ骨の表面に付着するが、ゆっくりと時間をかけて骨全体へと広がっていく[45]。カリホルニウムが骨格組織に蓄積すると、放射線を放射することで体内での赤血球形成が阻害される[72]

カリホルニウム249とカリホルニウム251に関しては、体外にあったとしてもガンマ線の放出によって体の組織に損傷を与える危険性がある[45]。こうした放射線は、がんの原因になることもある[45]

脚注

注釈

  1. 二重六方最密充填構造(dhcp)は、共通の六方平面(A)を共有する2つの六方最密構造を組み合わせたもので、ABACABAC…の構造である[13]
  2. アメリシウム(95番)、キュリウム(96番)、バークリウム(97番)は、カリホルニウム(98番)と比べて、5f電子を非局在化するために必要な圧力が小さい[15]
  3. 硫化物やメタロセンでも3価をとることが知られている[16]
  4. 95番元素の真上に位置するユウロピウムは、発見された大陸(ヨーロッパ)にちなんだ命名であったために、95番元素はアメリカ大陸からとってアメリシウムと名付けられた。同じく96番元素についても、科学者ヨハン・ガドリンにちなむガドリニウムと同様に、科学者マリー・キュリーピエール・キュリーにちなんでキュリウムと名付けられた。テルビウムは発見された村に由来し、97番元素もバークレーに由来するバークリウムとなっている[31]
  5. 1974年エネルギー再編法英語版に基づいて、1975年にアメリカ原子力委員会に代わってアメリカ合衆国原子力規制委員会が設立され、カリホルニウムの販売を担当するようになった。カリホルニウム252の価格は数度引き上げられており、1999年には容器封入および輸送費は別として1マイクログラムあたり60ドルで販売されていた[25]
  6. 1975年に発表された論文では、この金属カリホルニウム膜は六方晶系の化合物Cf2O2Sと面心立方格子の化合物CfSである可能性を指摘されたが[41]、1976年に実験の正しさが証明された[42]
  7. 従来はプルトニウム-ベリリウム中性子源が使用されていたが、より小型であることや発熱・ガス発生量が少ないことから、1990年までにはカリホルニウムに代替された[59]
  8. 1961年7月の『ポピュラーサイエンス』誌内の「第三次世界大戦の事実と誤信(Facts and Fallacies of World War III)」という記事では、「カリホルニウム原子爆弾は(ピストルの)弾丸ほどの大きさで十分だ。手持ち式の6連発銃を作れば、10トンのTNT火薬ほどの威力で爆発する弾丸を発射できるだろう」という趣旨の記述がなされていた[71]
  9. カリホルニウム爆弾はフィクション作品に登場することがある。以下はその一例である。
    • 地球0年 - 矢野徹の小説。冒頭で自衛隊の情報士官である主人公が「歩兵用カリフォルニウム弾発射装置」設計図を入手する。
    • トップをねらえ!シリーズ - 劇中でカリホルニウムを用いた核ミサイルが登場する。
    • アダルト・ウルフガイシリーズ - カリホルニウムを使用した核小銃弾が登場するエピソードがある。
    • 宇宙戦艦ヤマト(石津嵐小説版)ではヤマトの主砲としてカリホルニウム核砲弾が使用されている。
    • サイコキネシス大戦争シリーズ - 豊田有恒の小説。アニメのメカデザイナーである主人公の腕にカリホルニウムのカプセルが仕込まれる。
    • タイムトルーパー - 小林源文によるSF劇画。1944年のヨーロッパにタイムスリップした22世紀火星軍の下士官兵5名のうち、1名がカリホルニウム弾を携行。
    • 科学忍者隊ガッチャマン - 第94話「電魔獣アングラー」にカリホルニウムを用いたペンダント爆弾が登場する。

出典

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