聖シェナーンと竜とは? わかりやすく解説

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聖シェナーンと竜

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/04/27 13:43 UTC 版)

聖シェナーンと竜(せいシェナーンとりゅう)はアイルランドに伝わる聖人伝説である。

概要

カヒー島の航空写真

アイルランドのカヒー島英語版[注釈 1]には1つ眼の凶暴なが棲んでいたという。その腹はふいごのようであり、口から吐く息はとなった。大きな2本の脚を持ち、歩くたびに鉄のような大きな爪が地面をえぐった。海に入れば、全身から放つ熱と毒気によって海水は煮え立った。この恐ろしい竜と会って逃れ得た者はいなかった[1]

ある時、聖シェナーン (Senán mac Geirrcinn)[注釈 2]大天使ミカエルのお告げを受け、カヒー島に来て教会を建てようとした。彼の到着を知った怪物は怒りまくった。しかし聖シェナーンは慌てることなく、怪物に言った。「この島を去り、途中では誰をも、着いた先でも誰をも傷つけるな」。すると怪物はシェナーンの言葉に従い、そうしてスリアブ・コランのドゥーロッホに着いてもそこで無害な怪物として過ごしたという[2]

アイルランドやスコットランドの伝承に登場する竜には、ワームのようにに似た毒を吐くものと、ドラゴンのように翼を持ち炎の吐くものがいる。この地域では、前者の竜が多くの伝承にみられるが[3]、シェナーンとまみえたこの竜はドラゴンに近い怪物だと考えられる[4]

脚注

注釈

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  1. ^ スカッタリー島(Scattery Island) とも言う。
  2. ^ 聖シェナーンはアイルランド12使徒の1人である。

出典

  1. ^ 岩瀬 (1998a)、145頁。
  2. ^ 岩瀬 (1998a)、145-146頁。
  3. ^ 岩瀬 (1998b)、146-147頁。
  4. ^ 岩瀬 (1998b)、148頁。

参考文献

  • 『世界の龍の話』 竹原威滋・丸山顯德編著、三弥井書店〈世界民間文芸叢書 別巻〉、1998年7月10日、初版。ISBN 978-4-8382-9043-7
    • 岩瀬 (1998a):岩瀬ひさみ「ウエールズ、スコットランド 7 聖シェナーンと龍」145-146頁
    • 岩瀬 (1998b):岩瀬ひさみ「ウエールズ、スコットランド 解説」146-148頁

資料

  • Whitley Stokes: Lives of Saints from The Book of Lismore, Oxford 1890, pp.213-214(「リスモールの書からの聖者伝」、『世界の龍の話』出典10頁)

関連項目




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