天下一薪能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/08 15:57 UTC 版)
天下一薪能(てんがいちたきぎのう)とは、毎年秋に宮崎県延岡市の延岡城跡で開催される薪能。旧延岡藩主の内藤氏には「天下一」の称号を許された能面作家の手による能面30面を含む多数の能・狂言面が伝来していたが、1993年(平成5年)に内藤家17代当主・内藤政道がこれらの面を延岡市へ寄贈した[1]。1997年(平成9年)から延岡市民の手でこれらの能面を使用した薪能が「天下一薪能」として開催されている。2024年(令和6年)で27回を迎え、延岡では秋の風物詩となっている[2]。
開催内容
市民の手による「天下一」の能面を使用した延岡市の薪能の初演は、延岡城址薪能実行委員会と延岡市が主催して、1997年(平成9年)10月11日に延岡城二の丸跡の広場で「千人殺しの石段」を背景に演じられた[3]。
開催日 | 回 | 会場 | 演目 |
---|---|---|---|
1997年(平成9年)10月11日 | 第1回のべおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「松風」・狂言「太刀客」 |
1998年(平成10年)6月5日 | のべおか天下一能 | 延岡総合文化センター | 能「葵上」・狂言「佐渡狐」 |
10月10日 | 第2回のべおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「船弁慶」・狂言「棒縛 |
1999年(平成11年)6月15日 | 「景清」みやざき公演 | 延岡城址二の丸広場 | 能「景清」・狂言「楽袍落」 |
10月9日 | 第3回のべおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「清経」・狂言「仏師」 |
2000年(平成12年)10月7日 | 第4回のべおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「国栖」「菊慈童」他 |
2001年(平成13年)10月13日 | 第5回のべおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「土蜘蛛」・「羽衣」他 |
2004年(平成14年)10月12日 | 第6回のべおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「鞍馬天狗」・「杜若」 |
2003年(平成15年)2月9日 | 「京舞と能」 | 延岡総合文化センター | 能「海士」・京舞他 |
9月5日・6日・7日 | 天下一能ドイツ公演 | ドイツ国立ボン絵画展示館 | 能「翁」・「天鼓」・「葵上」他 |
10月11日 | 第7回のべおか天下一薪能 | 延岡総合文化センター | 能「殺生石」・「高砂」他 |
2004年(平成16年)10月9日 | 第8回のべおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「俊寛」・「敦盛」他 |
2005年(平成17年)10月8日 | 第9回のべおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「葵上」・「天鼓」他 |
2006年(平成18年)10月6日・7日 | 第10回のべおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「鞍馬天狗」・「紅葉狩」他 |
2007年(平成19年)10月13日 | 第11回べおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「安達原」・「龍田」他 |
2008年(平成20年)10年4日 | 第12回のべおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「小鍛冶」・「絵馬」他 |
2009年(平成21年)10月10日 | 第13回のべおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「一角仙人」・「屋島」他 |
2010年(平成22年)10月9日 | 第14回のべおか天下一薪能 | 延岡総合文化センター | 能「海士」・「半蔀」他 |
2011年(平成23年)10月8日 | 第15回のべおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「松山天狗」・「桜川」他 |
2012年(平成24年)10月13日 | 第16回のべおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「船弁慶」・「岩船」他 |
2013年(平成25年)10月12日 | 第17回のべおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「国栖」・「二人静」他 |
2014年(平成26年)10月11日 | 第18回のべおか天下一薪能 | 延岡総合文化センター | 能「鶴羽」・「猩々」他 |
2015年(平成27年)10月10日 | 第19回のべおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「項羽」・「春日龍神」他 |
2016年(平成28年)10月8日 | 第20回のべおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「道成寺」・狂言「蝸牛」 |
2017年(平成29年)10月7日 | 第21回のべおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「野守」・「三輪」他 |
2018年(平成30年)10月6日 | 第22回のべおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「恋重荷」・「羽衣」 |
2019年(令和元年)10月12日 | 第23回のべおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「景漬」・「海士」他 |
2020年(令和2年) | 感染症対策のため中止 | ||
2021年(令和3年)10月9日 | 第24回のべおか天下一薪能 | 延岡総合文化センター | 能「橋弁慶」・「葵上」他 |
2022年(令和4年)10月8日 | 第25回のべおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「巻絹」・「土蜘蛛」他 |
2023年(令和5年)10月7日 | 第26回のべおか天下一薪能 | 延岡城址二の丸広場 | 能「鞍馬天狗」・狂言「千鳥」他 |
2024年(令和6年)10月12日 | 第27回のべおか天下一薪能 | 延岡総合文化センター | 能「花筐」・狂言「二九十八」他 |
内藤家伝来の能・狂言面
1993年(平成5年)に延岡市制60周年に際し、内藤家17代当主・内藤政道から延岡市に能面66点・狂言面6点を含む武具等263点が寄贈された。能面のうち30点は「天下一」の称号を受けた能面作家の焼き印が押されていた[5]。
能面作家とその作品の内訳として、
- 角坊光増(天下一若挟守)二十三面
- 大宮真盛(天下一大和)一面
- 出目吉満(天下一是閑)二面
- 出目満喬(天下一備後)一面
- 出目満庸(天下一有閑)一面
- 児玉満昌(天下一近江)二面
また、「天下一」の作品を含め寄贈された能面66点、狂言面6点は全て宮崎県指定有形文化財に指定されている[8]。
脚注
- ^ 『内藤家伝来の能面』延岡市教育員会 1998年 p.2
- ^ 天下一薪能の解説 [1]
- ^ 財団法人みやぎん経済研究所『調査月報』1997年11月 No54 p41
- ^ 延岡市文化連盟 『延岡市文化連盟創立70周年記念誌』 2020年(令和2年)P106
- ^ 『図説東臼杵・西臼杵の歴史』株式会社郷土出版社 発行 2008年 p.118-119
- ^ 『天下一薪能 一九九九秋』延岡城址薪能実行委員会 1999年(平成11年)10月9日 p.11
- ^ 『天下一の焼印』 延岡市公式ホームページ https://www.city.nobeoka.miyazaki.jp/soshiki/93/17735.html
- ^ 『令和6年度 延岡市の教育要覧』延岡市教育委員会 2024年(令和6年)4月1日 p.54
外部リンク
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