友が、消えた
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/17 22:14 UTC 版)
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『友が、消えた』は、2024年に角川書店により発行された金城一紀作の小説。金城の人気作品ゾンビーズ・シリーズの主要登場人物・南方が主人公である。
ストーリー
ゾンビーズとして過ごした愚かしくも眩しい高校生活。卒業式を欠席し向かった沖縄で大切な仲間・ヒロシの墓参りを済ませたあと、グループは解散した。メンバーの一人だった南方は、一浪の準備期間を経て、数々の因縁がある永正大学へと進学する。学内では目立たぬよう誰とも交わらない学生生活を送っていたが、そんな彼に、面識のない学生・結城が声をかけてくる。「行方をくらました友人・北澤を探してほしい」と。最初は関わり合いを持つことを断る南方であったが、ゾンビーズ時代の当時の自分の姿を知る結城の言葉に心を動かされ、南方は北澤探しの依頼を承諾する。
北澤の行方を追うため、彼が所属していたサークル・ESSCに接触を図るが、別の理由から、ESSCの裏の顔にアプローチを試みる謎の二人組の襲撃から、サークルの代表である志田を救ったことで、南方は用心棒として身辺にいる事を許される。
志田の情報により、北澤の潜伏先と思われるアジトを訪ねた南方だが、北澤が関わった悪事については掴んだものの、行方はいまだにわからない。用心深い志田には警戒は解かれないまま、南方は力量を試されるような事ばかり。しかし北澤の両親を脅す暴力団関係者の存在に、救出の糸口を見出し、北澤を救出することに成功する。
そして落ち着きを取り戻した北澤から聞き出した言葉、ゾンビーズのメンバーに対する憧れと、自分勝手ではあるが、悪事に手を染めてしまった事情を知る。南方は見失っていた自分の進む道と、ゾンビーズのメンバーと交わした約束を取り戻した。「かつてみんなと暴れた大学に俺はいる」 そして、「救いが必要な誰かを、決して置いてきぼりにはしない」と。
登場人物
- 南方(みなかた)
- 永正大学・法学部法律学科の1年。かつてゾンビーズと呼ばれたグループの元メンバー。解散前にメンバーと交わした約束を守るため、永正大学へと進学する。携帯電話を持たず、連絡用にPCのメールを使用する。
- 結城 拓未(ゆうき たくみ)
- 永正大学・商学部商学科の1年。出身校は南方の母校に近い進学校の新宿東高。ゾンビーズ時代最後の聖和女学院・学園祭襲撃事件の目撃者で、断片的ではあるが南方の活躍を知っている。
- 北澤 悠斗(きたざわ ゆうと)
- 永正大学・法学部法律学科の1年。結城の元同級生で親友。高校時代は真面目な優等生であったが、大学進学後はイベントサークルに出入りし、恵まれた容姿をエサに、悪事に手を染める軽薄で無責任な大学生となっている。
- 片岡 りつ(かたおか りつ)
- 聖和女学院の3年生。『SPEED』に登場した岡本佳奈子の同級生。強くなりたいと願っている。
- 佐久間 友希(さくま ゆき)
- 北澤が起こした事件の被害者。
- 志田 篤(しだ あつし)
- 永正大学・経済学部の3年生。学内で最大規模を誇るESSC(永正シーズンスポーツクラブ)というイベントサークルの代表で、金回りが良く学内に大きな影響力を持つ。亡くなったヒロシに似た眼差しの持ち主であることから、南方は志田に興味を持つようになる。
- ランボーさん
- 日系アメリカ人でベトナム戦争に従軍した元兵士。新宿で日雇い労働の元締めをしている。ゾンビーズ・シリーズから引き続き登場。南方には何者かになるための出資金を授け、また格闘術を教えている。名前の由来はスタローンのほうの『ランボー』であるが、世話をしている日雇い労働者の一部の人間からは、その哲学者のような風貌からランボオと思われている。
- 吉村 恭子(よしむら きょうこ)
- 永正大学のOGで、アナウンサーとしてテレビ局に勤務。『レボリューション№3「異教徒たちの踊り」』に登場。かつてストーカー被害に悩んでいた時、ゾンビーズに救われている。
- 矢野 徹(やの とおる)
- 俳優。手に入れたスポーツカーの陸送を担ったドライバーが南方であり、その後は関わり合いを持つようになる。謎の多い人物。
- 小林 修司(こばやし しゅうじ)
- 私立の名門・弘安大学・文学部の助教授。暴力団がバックに付く芸能事務所に籍を置き、ニュース番組ではコメンテーターを務める。
- ウィル
- 南方同様に、ランボーさんの元で格闘術を学ぶ若者。ランボーさんに目をかけられてる南方に嫉妬しているフシがある。ただし片岡りつとはすぐに打ち解けるなど、若者らしい一面も持っている。
- 司書
- 受講に熱心ではない南方が入りびたる大学内の図書館司書。年齢は一回りほど年上。図書館内で居眠りする南方を起こすこともしばしば。
用語
- ゾンビーズ
- グループ名の由来は、南方らが学んだ学校の生徒が、周囲からゾンビと陰口をたたかれていることから。または殺しても死なない奴ら。という意味も含まれている。リーダーの板良敷ヒロシは在学中に急性のリンパ性白血病が原因で死亡し、グループは高校卒業を機に解散した。
- 永正大学
- 総理大臣を多く輩出している名門大学。一部の学生や教員の素行に問題を抱える。過去に永正大学の学園祭で、ゾンビーズは大暴れしている。
- 聖和女学院
- 秘密の花園と称されるお嬢様学校。ゾンビーズの通う学校の生徒は、やむを得ない場合を除き、聖和女学院の生徒には5m以内に近づいてはならないという、アメリカのストーカー規制法のような不文律が存在する。
書籍情報
単行本:2024年12月16日発売、角川書店、ISBN 978-4-04-115534-9
- 装画:たけもとあかる 装丁:岩瀬聡
外部リンク
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