修理改造検査とは? わかりやすく解説

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修理改造検査

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/21 14:03 UTC 版)

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修理改造検査(しゅうりかいぞうけんさ)とは日本において耐空証明のある航空機が大修理又は改造を実施した場合、その航空機が耐空性又は環境適合性の基準に適合していることを国土交通大臣が証明する検査である。修改検査と呼ばれることが多い。

概要

耐空証明を有する航空機でも、時間の経過と運用される環境において、機体のあらゆる個所に不具合が発生することで飛行性能が維持できなくなり、飛行中に危険な状態になる。そのため、機体の整備(保守と修理)[1]や改造[2]を行い航空機の強度・構造・性能を維持するのだが、その時、機体の状態が強度・構造・性能と環境に適合する基準を満たしているかどうかを確認する必要がある。航空機に一般的保守・軽微な修理・小修理を実施した場合には、有資格整備士の確認検査[3]で良いのだが、大修理・小改造・大改造を実施した場合には、国土交通大臣(航空機検査官)又は耐空検査員(滑空機の場合)の検査を受け合格しなければ航空の用(飛行)に供してはならないと航空法で定められている。

航空機の整備及び改造の区分[4]
整備 保守 軽微な保守 簡単な保守予防作業であり、緊度又は隙間の調整及び複雑な結合作業を伴わない規格装備品又は部品の交換。
一般的保守 軽微な保守以外の保守作業。
修理 軽微な修理 耐空性に及ぼす影響が軽微な範囲にとどまり、かつ複雑でない修理作業であり、その作業の確認において動力装置の作動点検、その他に複雑な点検を必要としないもの。
小修理 軽微な修理及び大修理以外の修理作業。
大修理 耐空性に大きな影響を及ぼす複雑な修理作業で、主要構造部材の強度に相当の影響を及ぼすおそれのある伸ばし・継ぎ・溶接又はこれに類似し、複雑な又は特殊な技量又は装置を必要とする作業。

その仕様について航空法第14条1項の国土交通大臣の承認を受けていない装備品又は部品を用いる修理作業。

改造 小改造 重量・強度・動力装置の機能、飛行性その他耐空性に重大な影響を及ぼさない改造であって、その仕様について航空法第14条第1項の国土交通大臣の承認を受けた装備品又は部品を用いるもの。
大改造 小改造以外の改造。

修理改造検査の対象範囲

航空運送事業の用に供する航空機で客席数が30席又は最大離陸重量が15トン以上の飛行機又は回転翼航空機については

  • 小改造
  • 大改造 
  • 騒音や発動機の排出物に影響がある改造。

それ以外の航空機については

  • 大修理
  • 小改造
  • 大改造
  • 騒音や発動機の排出物に影響がある改造と修理


また国土交通大臣の認定を受けた認定事業場(航空機整備改造認定事業場)で修理又は改造をした場合で、事業場で認められた確認主任者が耐空性又は環境適合性の基準に適合することを確認した場合は、国の修理改造検査は不要となる。


ただし航空機整備改造認定事業場では確認できる範囲があり、以下の通りである。

改造の場合

  • 耐空性に影響を及ぼす設計変更であって、国の承認を受けているものによる改造

大修理の場合

  • 修理方法が確立されているもので、作業が大規模で複雑又は特殊な技量や装置を要するもの

騒音や発動機の排出物に影響がある修理の場合

  • 修理方法が確立されているもので、修理後の騒音値について国の承認を受けているもの

騒音や発動機の排出物に影響がある改造の場合

  • 国の承認を受けている設計変更によるものであって、改造後の騒音値について国の承認を受けているもの


上記以外の大修理又は騒音や発動機の排出物に影響がある修理で修理方法が確立されていなく、修理後の騒音値について国の承認を受けていないもの。耐空性に影響を及ぼす改造又は騒音や発動機の排出物に影響がある改造で国の承認を受けていない設計変更のもので、改造後の騒音値について国の承認を受けていないもの。またこれらの修理又は改造での型式承認又は仕様承認の対象のもので、その承認を受けていない装備品又は部品の取り付けた場合には国の修理改造検査を受ける。

脚注

  1. ^ 航空法では、保守には軽微な保守と一般的保守、修理には軽微な修理と小修理と大修理の作業区分があり、これらは、まとめて整備の区分に入る。
  2. ^ 航空法では、小改造と大改造の作業区分がある。
  3. ^ 有資格運航整備士の場合は小修理の確認検査はできない
  4. ^ 『航空機の基本技術』 日本航空技術協会 第6版第1刷 2010年 p449を参考に作成。ISBN 978-4-902151-34-3

参考文献

関連項目




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