ルリクワガタ属
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 09:10 UTC 版)
ルリクワガタ属(ルリクワガタぞく、)は昆虫綱甲虫目クワガタムシ科に属する比較的古いタイプの分類群のひとつ。日本を含む東アジアやヨーロッパ、北アメリカなどの冷涼な温帯地方に生息する。
- ^ Imura, Y. (2007), “Endophallic Structure of the Genus Platycerus (Coleoptera, Lucanidae) of Japan, with Descriptions of Two New Species”, Elytra 35 (2): 471-489.邦題は『日本産ルリクワガタ属の雄交尾器内袋構造と2新種の記載』。雄交尾器の内袋構造の検証により、日本産ルリクワガタ属の分類を再検討するとともに、キイルリクワガタとキュウシュウルリクワガタの新種記載を行っている。著者の井村は医師を本業とするがオサムシの系統分類においても日本を代表する研究者のひとりで、生命誌研究館のオサムシ研究グループに加わって大きな成果を挙げている。雄交尾器の内袋を反転膨隆させて形態を精査する手法は、オサムシの系統分類の研究で伝統的に有力な研究手法とされてきたもので、ゴミムシの系統分類の研究でもしばしば行われる。クワガタムシ科の属するコガネムシ上科ではコガネムシ科のスジコガネ亜科などで検証されているが、体サイズの小さいルリクワガタ属では反転膨隆させる操作そのものが困難なこともあり、ほとんど注目されたことはなかった。キイルリクワガタの種小名の akitaorum は三重県と奈良県を主たる研究フィールドとしている高名な甲虫研究家秋田勝己とちひろ夫人へ、キュウシュウルリクワガタの種小名の urushiyamai は、九州のルリクワガタ属相の解明に貢献した漆山誠一への献名。
- ^ Imura, Y. (2007), “A Remarkable New Species of the Genus Platycerus (Coleoptera, Lucanidae) from Japan”, Elytra 35 (2): 492-496.邦題は『本邦から発見されたルリクワガタ属の顕著な1新種』。タカネルリクワガタの新種記載論文。前胸背板の後角が尖るコルリクワガタ群に属すが、雌雄交尾器の形態が大きく異なるため、容易に既知種から識別できるとしている。また当時は四国の石鎚山の一角からしか採集されておらず、分布が極めて局地的と考えられていたため、採集者の殺到と乱獲、それによる環境破壊、社会問題を避けるため、分布範囲、生息環境、生態などがより詳細に判明し、保護対策にめどがつくまで産地公表を控えるとしている(のちに記載者らにより産地は公表された)。種小名の sue は、著者の夫人への献名で、愛称のスーによる。
- ^ 実際この新種記載を受けてタカネルリクワガタの標本がネットオークションにかけられ高額で落札される例が見られたこともあり、環境省がネット売買による乱獲を危惧し、2008年3月24日から2011年3月25日まで「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」による緊急指定種に指定されていた(下記参照)。
- 1 ルリクワガタ属とは
- 2 ルリクワガタ属の概要
- 3 外部リンク
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