マクスウェル構成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/29 06:54 UTC 版)
マクスウェル構成(マクスウェルこうせい、英: Maxwell construction)は、統計力学や熱力学において、特定の相転移モデルにおける物理的に非現実的な側面を修正する方法である。これは物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルにちなんで名付けられ、相図における領域の面積を考慮することで補正を行う。
安定性の基準
熱力学的平衡において、安定性のための必要条件の一つは、圧力

> 曲線のCからEまでの部分は、本質的に不安定な状態を表しており、実現不可能である。 いま、系が仮想的な曲線B、C、D、E、Fの順に沿って、常に均一な状態を保ちながら進むとする。そして、FからBの直線経路に沿って、液体と気体の混合物の状態で戻るとする。この過程全体を通じて温度は一定なので、熱が仕事に変換されることはない。しかし、熱の仕事への変換は、面積F、D、Eの超過分がB、C、Dの超過分に等しいことによって表される。したがって、相転移が起こる圧力は、直線B、Fが曲線の上と下で等しい面積を切り取るように決まる。
温度―モルエントロピー平面において、任意の曲線の下の面積は物質1モルあたりの伝熱量を表し、左から右へ進む場合は正、右から左へ進む場合は負となる。また、閉じたサイクルでは、サイクルによって囲まれた面積が正味の伝熱量となる[15][16]。マクスウェルが考察したサイクルは、同じ温度の2本の灰色の破線等温線で構成されており、一方はBからFへ(C、D、Eを通過)、もう一方はFからBへ直線的に戻る。この2本の線は互いに逆方向にたどるだけで同一であるため、囲まれる面積はゼロとなり、したがって
三次方程式は、解として1つまたは(この場合)3つの実根を持つ。そのため、安定状態(黒の実線)、準安定状態(黒の点線)、不安定状態(灰色の破線)の3つの曲線が存在する。
実際には、この図は三次方程式を解いて積分することで作成されたのではない。むしろ、ギブズ関数
ここで、この積分は液体状態(
共存点を求めるもう一つの方法は、ヘルムホルツポテンシャルの極小原理に基づく。この原理によれば、熱浴と透熱壁(diathermal wall)を介して熱的に接触している系では、

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