シュトライター (駆逐艦)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > シュトライター (駆逐艦)の意味・解説 

シュトライター (駆逐艦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/02 13:47 UTC 版)

航行するシュトライター

シュトライター (SMS Streiter) はオーストリア=ハンガリー帝国海軍駆逐艦フサール級英語版。艦名は戦士のことである[1]

艦歴

1905年10月30日起工[2]。1906年6月16日進水[2]。同年12月31日竣工[2]

第一次世界大戦

1914年8月16日、モンテネグロ沿岸の封鎖任務に就いていた巡洋艦「ツェンタ」がアドリア海に進入してきたフランスの主力艦隊によって撃沈された。この時、戦艦「モナルヒ」、水雷巡洋艦「パンター」と駆逐艦「シュトライター」、「シャルフシュツェ」もモンテネグロ陣地を砲撃するため出撃していたが、無事に帰投できた[3]

8月28日、「シュトライター」はモンテネグロの沿岸陣地を砲撃[4]。9月17日には「シュトライター」は艦砲射撃を行う艦艇を掩護した[4]。 10月17日夕方に駆逐艦「シャルフシュツェ」が、夜には駆逐艦「シュトライター」と「ウラーン」がアンティバリの港を砲撃した[5]。または、10月18日夜に駆逐艦「シュトライター」、「シャルフシュツェ」、「ウラーン」、「ウスコケ」はアンティバリ港内に入り砲撃を行った[6]

1915年3月1から2日の夜、駆逐艦「シュトライター」、「チコーシュ」、「ウラーン」、水雷艇「57」、「66」、「67」がアンティバリ港を攻撃[7]。この時は水雷艇が港内に入り、駆逐艦はそれを掩護した[7]。この攻撃ではモンテネグロのヨット「Rumija」が沈んでいる[8]

1915年5月23日、イタリアはオーストリア=ハンガリー帝国に宣戦布告。同日、オーストリア=ハンガリー帝国海軍の戦艦などは出撃し、アンコーナなどの攻撃へと向かった。それに先立つ5月19日、南からのイタリア艦隊来襲に備え偵察部隊が出撃した[9]。そのうちの一つは巡洋艦「アドミラル・シュパウン」と駆逐艦「シュトライター」、「ヴィルトファング」、「ウスコケ」からなるHグループで、ラゴスタ島とペラゴーザ島との間へと向かった[10]。5月23から24日の夜に偵察部隊はイタリア沿岸の目標攻撃を命じられ、Hグループは24日にテルモリカンポマリーノ間の鉄道上の目標とトレーミティ諸島を攻撃した[11]。「シュトライター」はTorre di Mileto付近の信号所を砲撃している[4]

6月、「シュトライター」は損傷した水上機「L42」をトリエステへ曳航した[4]

1916年6月23日、「シュトライター」と駆逐艦「ウスコケ」、水雷艇「T8」、「T10」、「T12」はジュリアノーヴァ付近の鉄道攻撃に向かったが、悪天候のため(イタリアの武装列車が理由とも)攻撃は中止となった[12]。7月16日、「シュトライター」はヴィス島沖に機雷を敷設した[4]

1917年4月22から23日の夜、「シュトライター」と駆逐艦「ウスコケ」、「Warasdiner」はオトラント海峡へ出撃したものの敵と出会わなかった[13]

9月29日夜、フェラーラの飛行場空襲参加機の援護を行った後、帰投中であった駆逐艦「シュトライター」、「トゥルル」、「ヴェレビト」、「フサール」はイタリアの「スパルヴィエロ」と駆逐艦「Abba」、「Orsini」、「Acerbi」、「Stocco」、「アウダーチェ」、「Ardente」、「Ardito」に捕捉され交戦した[14]。オーストリア=ハンガリー側は「ヴェレビト」と「フサール」が被弾し[15]、「シュトライター」は「ヴェレビト」をプーラまで曳航した[16]。イタリア側は「スパルヴィエロ」と「Orsini」が被弾している[15]

10月18日、「シュトライター」や巡洋艦「ヘルゴラント」などがオトラント海峡方面へ出撃したが、成果はなかった[17]

11月28日、「シュトライター」と駆逐艦「ディナラ」、「トリグラフ」、「レカ」、「フサール」や水雷艇はセニガッリアリミニ間の鉄道を攻撃した[18]

12月19日、「シュトライター」はCortellazzoを砲撃[16]。12月19日、Cortellazzo砲撃を行う戦艦「Árpád」、「ブダペスト」を巡洋艦「アドミラル・シュパウン」などとともに護衛した[19]

1918年4月16日、「シュトライター」は護衛中の汽船「Petka」に側面に衝突されて沈没し、2名が死亡した[20]。他の乗員は「Petka」に救助されリエカへ運ばれたが、そこでさらに1名が死亡した[16]

要目(1913年以降)

  • 長さ:68.38m
  • 幅:6.25m
  • 満載排水量:414トン
  • 速力:28.4ノット
  • 兵装:45口径7㎝砲1、30口径7㎝砲5、45㎝魚雷発射管2

出典[21]

脚注

  1. ^ Austro-Hungarian Destroyers in World War One, p. 58
  2. ^ a b c Austro-Hungarian Warships of World War I, p. 42
  3. ^ The Great War in the Adriatic Sea 1914-1918, pp. 96-97
  4. ^ a b c d e Austro-Hungarian Destroyers in World War One, p. 67
  5. ^ Austro-Hungarian Cruisers and Destroyers 1914-18, p. 28
  6. ^ The Great War in the Adriatic Sea 1914-1918, p. 117
  7. ^ a b The Great War in the Adriatic Sea 1914-1918, p. 149
  8. ^ Austro-Hungarian Cruisers and Destroyers 1914-18, p. 29
  9. ^ Austro-Hungarian Cruisers and Destroyers 1914-18, p. 29
  10. ^ The Great War in the Adriatic Sea 1914-1918, p. 171, Austro-Hungarian Cruisers and Destroyers 1914-18, p. 29
  11. ^ Austro-Hungarian Cruisers and Destroyers 1914-18, p. 30
  12. ^ The Great War in the Adriatic Sea 1914-1918, p. 237
  13. ^ The Battle of the Otranto Straits, p. 43
  14. ^ The Great War in the Adriatic Sea 1914-1918, p. 323, Clash of Fleets, Action off the Po Delta
  15. ^ a b Clash of Fleets, Action off the Po Delta
  16. ^ a b c Austro-Hungarian Destroyers in World War One, p. 68
  17. ^ The Great War in the Adriatic Sea 1914-1918, p. 324
  18. ^ The Great War in the Adriatic Sea 1914-1918, p. 342
  19. ^ The Great War in the Adriatic Sea 1914-1918, pp. 339-340
  20. ^ The Great War in the Adriatic Sea 1914-1918, p. 370, Austro-Hungarian Submarines in WWI, p. 118
  21. ^ Austro-Hungarian Cruisers and Destroyers 1914-18, p. 18

参考文献

  • Zvonimir Freivogel, The Great War in the Adriatic Sea 1914-1918, Despot Infinitus, 2019, ISBN 978-953-8218-40-8
  • Zvonimir Freivogel, Austro-Hungarian Destroyers in World War One, Despot Infinitus, 2021, ISBN 978-953-366-051-6
  • Ryan K. Noppen, Austro-Hungarian Cruisers and Destroyers 1914-18, Bloomsbury Publishing, 2016
  • René Greger, Austro-Hungarian Warships of World War I, Ian Allan, 1976, ISBN 0-7110-0623-7
  • Vincent O’Hara, Leonard Heinz, Clash of Fleets: Naval Battles of the Great War 1914-18, Naval Institute Press, 2017(電子版)
  • Paul G. Halpern, The Battle of the Otranto Straits: Controlling the Gateway to the Adriatic in World War I, Indiana University Press, 2004, ISBN 0-253-34379-8
  • Jiří Novák, Austro-Hungarian Submarines in WWI, Mushroom Model Publications, 2011, ISBN 978-83-61421-44-3



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  シュトライター (駆逐艦)のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「シュトライター (駆逐艦)」の関連用語

シュトライター (駆逐艦)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



シュトライター (駆逐艦)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのシュトライター (駆逐艦) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS