X.509 証明書

X.509

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 17:08 UTC 版)

証明書

X.509体系では、認証局は公開鍵を特定のX.500の識別名もしくはメールアドレスDNSエントリのような別の名前に関連付ける証明書を発行する。

組織の信頼されたルート証明書は全従業員に配布可能であるため、従業員は社内PKIシステムを使うことができる。Internet Explorer, Netscape/Mozilla, Opera, Safariのようなブラウザはインストール済みのルート証明書とともに配布されるため、大手ベンダーから入手したSSL証明書はすぐに動作する。事実上、ブラウザの所有者が、どの認証局をブラウザのユーザーにとっての信頼できる第三者にするかを決定している。ルート証明書は削除することも無効にすることもできるが、ユーザーがそれを行うことは極めてまれである。

X.509は証明書失効リスト(CRL)実装に関する標準も含んでいる。証明書失効リストはPKIシステムのしばしば無視される側面のひとつである。IETFが承認している証明書の有効性の検証方法はOCSP(Online Certificate Status Protocol)である。Firefox 3ではOCSPによる検証はデフォルトで有効になっている。

証明書の構造

X.509 v3 デジタル証明書 の構造は、次のとおり。

  • 証明書
    • バージョン
    • 通し番号
    • アルゴリズムID
    • 発行者
    • 有効期間
      • 開始
      • 満了
    • 主体者
    • 主体者の公開鍵情報
      • 公開鍵アルゴリズム
      • 主体者の公開鍵
    • 発行者の一意な識別子 (予備)
    • 主体者の一意な識別子 (予備)
    • 拡張 (予備)
      • ...
  • 証明書の署名アルゴリズム
  • 証明書の署名

発行者、主体者の一意な識別子はVersion 2で、拡張はVersion 3で、導入された。

証明書ファイルの拡張子

一般的なX.509証明書の拡張子は、次のとおり。

.CER
証明書をDER で符号化したもの[2][3]
.CRT
証明書をPEM英語版形式で符号化したもの[4]
.DER
DER で符号化された証明書
.PEM
PEM形式。Base64 で符号化された証明書で、「-----BEGIN CERTIFICATE-----」と「-----END CERTIFICATE-----」で囲まれている。
.P7B
.p7c参照
.P7C
被署名データのない PKCS#7 のSignedData構造で、証明書 (群) やCRL (群) がある
.PFX
.p12参照
.P12
(公開鍵や、パスワードで保護された) 私有鍵を含む PKCS#12

PKCS #7 は、データの署名や暗号化 (公式には「"enveloping"」) の標準である。 証明書は、署名されたデータの検証に必要なので、SignedData構造に含めることができる。 .P7Cファイルは、署名されるべきデータをもたないという、縮退したSignedData構造である。

PFX (Personal inFormation eXchange) 標準から発展した PKCS #12 は、単一ファイルでの公開鍵と私有鍵の交換に使われる。

.PEMファイルは、証明書や私有鍵を含むことがあり、このときBEGINEND (とCERTIFICATERSA PRIVATE KEYの組合せ) の行で囲まれている。


  1. ^ Internet X.509 Public Key Infrastructure Certificate and Certificate Revocation List (CRL) Profile” (英語) (2008年5月). 2019年3月9日閲覧。 “Following is a simplified view of the architectural model assumed by the Public-Key Infrastructure using X.509 (PKIX) specifications.”
  2. ^ "application/pkix-cert". Internet X.509 Public Key Infrastructure Operational Protocols: FTP and HTTP (英語). sec. 4.1. doi:10.17487/RFC2585. RFC 2585. 2022年2月12日閲覧File extension(s): .CER
  3. ^ "Authority Information Access". Internet X.509 Public Key Infrastructure Certificate and Certificate Revocation List (CRL) Profile (英語). sec. 4.2.2.1. doi:10.17487/RFC5280. RFC 5280. 2022年2月12日閲覧HTTP server implementations accessed via the URI SHOULD specify the media type application/pkix-cert [RFC2585] in the content-type header field of the response for a single DER encoded certificate
  4. ^ "File Extension". Textual Encodings of PKIX, PKCS, and CMS Structures (英語). sec. 5.3. doi:10.17487/RFC7468. RFC 7468. 2022年2月12日閲覧To promote interoperability and to separate DER encodings from textual encodings, the extension ".crt" SHOULD be used for the textual encoding of a certificate.
  5. ^ Carl Ellison; Bruce Schneier. “Top 10 PKI risks (PDF)”. Computer Security Journal (Volume XVI, Number 1, 2000). 2016年4月1日閲覧。
  6. ^ Peter Gutmann. “PKI: it's not dead, just resting”. IEEE Computer (Volume:35, Issue: 8). 2016年4月1日閲覧。
  7. ^ Gutmann, Peter. “Everything you Never Wanted to Know about PKI but were Forced to Find Out (PDF)”. 2011年11月14日閲覧。





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