VF-31 ジークフリード バリエーション

VF-31 ジークフリード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/18 14:58 UTC 版)

バリエーション

Δ小隊機

ジークフリード

ワルキューレの歌によるヴァール鎮圧作戦を支援する目的に特化するため、ケイオスの「ワルキューレ・ワークス」による設計修正が施された機体。

一般機よりも大型のフォールドクォーツを搭載しており、YF-30と同じくフォールドウェーブシステムの稼働が可能になっている。システム作動時は、ワルキューレの歌声から発せられるフォールドウェーブを周囲に増幅・中継しつつ、自機のクォーツと共振させることで、一時的に機体出力を向上させることができる[7]。このシステムに対応するために機体構造やエンジンなどが強化され、対ヴァール用の各種装備が追加されている。惑星重力下での任務が多いため、主翼には大気圏内での運動性に優れた前進翼を採用[2]。外翼部は駐機時や急加速時に下方に折りたたまれる。ワルキューレや一般市民の警護が主任務であるため、威力を抑えた近接戦用武装を装備している[2]。マルチパーパスコンテナにはシグナス(マルチドローンプレート)へのエネルギー供給装置や、フォールド波を利用したサウンドプロジェクションユニットを搭載する。軍用機としては目立ち過ぎるカラーリングを施しているのは、暴動に脅える市民に「ワルキューレやΔ小隊が来たから安心だ」と思わせるパニック抑止効果を狙っている。

Δ小隊ではパイロットに合わせて下記のバリエーションが割り当てられている。頭部形状やパーソナル・カラーといった外観で見分けることができるが、むしろ内部(ソフト面)の違いが大きい。サポートするワルキューレメンバーに合わせて、フォールドウェーブシステムのパラメータ調節や、操縦支援AI「ARIEL III」の適合化が行われている[6]

VF-31J
ハヤテ・インメルマンの搭乗機。運用データをもとにフルモデルチェンジした最新バージョン[12]で、制宙支援戦闘機に区分される。
カラーリングは白地に青色のライン(アクセントに赤色)[2]。Δ小隊における機番は05。カメラアイは赤いバイザー型で、頭部の機銃は1門。ワルキューレのマキナ・中島とレイナ・プラウラーを中心とするメカニック陣によって、AIの介入を嫌うハヤテに合わせた操縦系統の調整が施されている。ハヤテがヘルメットを装着せずに操縦するため、緊急時にEX-ギア付属のヘルメットを自動装着する装置を座席後方に追加している。
テレビ版では惑星ラグナでの戦闘中、新統合軍が仕掛けた指向性反応弾の爆発に巻き込まれ消滅する。
『激情のワルキューレ』では、惑星アル・シャハルでの戦闘でウィンダミア軍に撃墜される。
VF-31J改
テレビ版のみに登場。ウィンダミア軍との最終決戦におけるハヤテの搭乗機。ラグナで消失したJ型と同型機だが、戦死したメッサーの遺志を継ぐという意味を込めて、メッサーのパーソナル・カラーである黒のライン・マーキングと、メッサーの死神のパーソナル・マークを模したJ型の横顔が描かれている。さらに、ハヤテがメッサーのF型に搭乗した際に蓄積されたフライトデータをもとに、操縦系の更新も行われている。
VF-31J “フレイア・ヴィオン”
PS Vita用ゲームソフト『マクロスΔスクランブル』のオリジナル機体。J型にフレイア・ヴィオンのイラストをペイントした痛バルキリー仕様。機体性能はハヤテ機と同じ。
VF-31C
ミラージュ・ファリーナ・ジーナスの搭乗機。性能バランスに優れ、僚機のサポートに適した[13]戦術支援戦闘機。前衛のF型を支援しつつ、後衛のJ型を指示する中衛を担当し、S型に次ぐ指揮管制能力をもつ[14]
カラーリングは白地にえんじ色のライン[2]。Δ小隊における機番は04。カメラアイは緑の縦2列のバイザー型で、頭部の機銃は左右2門。
VF-31C “マキナ&レイナ”
PS Vita用ゲームソフト『マクロスΔスクランブル』のオリジナル機体。C型にマキナ・中島とレイナ・プラウラーのイラストをペイントした痛バルキリー仕様。機体性能はミラージュ機と同じ。
VF-31E
チャック・マスタングの搭乗機。索敵・分析用の機器を装備し、偵察任務などを担う[15]早期警戒電子戦機
カラーリングは白地に黄色のライン[2]。Δ小隊における機番は03。カメラアイはグリーンの単眼型で、頭部の機銃は左右2門。通常装備しているコンテナには折り畳み式の円形レドームを装備している。
VF-31E “ソング・オブ・ワルキューレ”
PS Vita用ゲームソフト『マクロスΔスクランブル』のオリジナル機体。E型にワルキューレ5人のイラストをペイントした痛バルキリー仕様。機体性能はチャック機と同じ。
VF-31F
メッサー・イーレフェルトの搭乗機。空中戦用に最適化された[16]制宙支配戦闘機。メッサーの高い技量に合わせ、機体の設計限界での高機動戦闘を行えるよう調整されている[17]
カラーリングは白地に黒色のライン[2]。Δ小隊における機番は02。カメラアイはブルーで頭部の機銃は左右2門。背面中央に死神のパーソナルマークが描かれている。
テレビ版ではメッサーの戦死後、J型を失ったハヤテによって乗り継がれる。のちに度重なるオーバードライブで負荷が蓄積したため、再配備されたJ改型に役目を譲る。
『激情のワルキューレ』でもハヤテが乗り継ぐが、その経緯は異なり、ウィンダミアに鹵獲されてSv-262用のリル・ドラケンが装着された状態の機体をハヤテが奪還する。
VF-31F “カナメ・バッカニア”
PS Vita用ゲームソフト『マクロスΔスクランブル』のオリジナル機体。F型にカナメ・バッカニアのイラストをペイントした痛バルキリー仕様。機体性能はメッサー機と同じ。
VF-31S
小隊長であるアラド・メルダースの搭乗機。通信管制システム、武装などが強化された指揮官機[18]。アラドの希望により、機体性能を限界まで引き出したピーキーな調整が施されている[19]
カラーリングは白地に青緑と赤のライン[2]。Δ小隊における機番は01。カメラアイは赤いバイザー型で、頭部の機銃は左右計4門。背面中央に剣をくわえた竜の頭骨(ドラゴンスカル)のパーソナルマークが描かれている[2]
『激情のワルキューレ』では初登場となるアーマードパックを装着する。
VF-31S “美雲・ギンヌメール”
PS Vita用ゲームソフト『マクロスΔスクランブル』のオリジナル機体。S型に美雲・ギンヌメールのイラストをペイントした痛バルキリー仕様。機体性能はアラド機と同じ。

カイロスプラス

『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』に登場。イアン・クロムウェル率いる「ヘイムダル」との戦いで甚大な損傷を受けたジークフリードに代わり、急遽配備された機体[4]

一般用のA型(カイロス)にジークフリードの予備パーツを組み込み(劇中の台詞では逆)[注 1]、より実戦向けの部分改修を施したうえでフォールドクォーツを増設・大型化。武装も変更・強化したうえ、主翼とカナードは通常のA型よりも大型化した形状のクロースカップルドデルタ翼を採用。一部を除いたメンバー各機のパーソナル・カラーやマーキングはジークフリードのものを継承しているが、それ以外の共通基本色はグレーの割合を増やしたミリタリー調の色になっている。型式番号上は全機とも同じ「VF-31AX」であるが、頭部など一部の形状は各メンバーが搭乗していたジークフリードのものに準じている[4][注 2]。キャノピーは一見すると通常の透過型となっているが、内壁部はSv-262と同じ全周囲式モニターとして機能する。

武装面では、ミニガンポッドがファイター形態の翼下から突出するほどに大型化され、ビームガンポッドも大出力・大口径化、背部コンテナも変更されている。機首や大型フォールドクォーツを搭載した胸部周り、主翼など各部の形状が変化しているため、従来のスーパーパックやアーマードパックが装着不可能となっており、新たに専用設計のパックを用意している[4]

河森監督によれば機体性能的にはYF-29 デュランダルとあまり変わりがなく、伝説のスーパーカーと最新鋭ハイブリッドスポーツカーくらいの差でしかないほどであるという[21]

ハヤテ・インメルマン機
頭部形状はJ型に類似[22]しており、背部パーソナル・マークはテレビ版に登場するJ型改と同じデザインになっている[4]。最終決戦では、敵艦のバリアを突破するために不足していた出力を補うべくスーパーゴースト2機を両翼に合体させ、排除したアーマードパックから2連装ビーム砲のみを継続装備したクライマックス仕様となる[11]
ミラージュ・ファリーナ・ジーナス機
頭部はC型に近い上下二段式センサーを採用しているが、上部メインセンサーが黒いため単装式のように見える。さらに両耳の機銃が大型化、頭頂部には隊長機らしく大型の中抜きブレードアンテナが追加されている。背部には、ミラージュの祖父であるマクシミリアン・ジーナスの乗機「YF-29 デュランダル」と同じジーナス家の紋章が描かれている[4]。無人機の誘導機能を備えており、最終決戦ではスーパーゴーストにハヤテ機と合体させる指示を行なう[11]
アラド・メルダース機
頭部と背部パーソナル・マークはS型に準じているが、この機体のみパーソナル・カラーが変更され、メッサーのF型に近い黒となっている[4]。習熟訓練には参加するが、そのあと重傷を負ったアラドとともに戦線離脱し、ミラージュがΔ小隊長となる。
チャック・マスタング機
頭部はA型に近いが、電子戦装備を内蔵したため、左右非対称の複雑な形状に変化している。ただしE型のようなレドームは搭載されておらず、ほかのAX型と共通の装備を使用する。背部には、惑星ラグナに生息するウミネコ(地球の鳥類ではなく、猫とアザラシを掛け合わせたような水棲動物)が2匹絡み合った図柄のパーソナル・マークが描かれている[4]
ボーグ・コンファールト機
コールサイン「デルタ6」として新規入隊した、ウィンダミア王国軍空中騎士団の「赤騎士」ことボーグ・コンファールトの搭乗機。5機のなかではもっともA型に近い形状で、パーソナル・カラーはウィンダミアをイメージした緑、背部パーソナル・マークもウィンダミアの紋章を取り入れている。当初は赤騎士にちなんで赤色となるはずだったが、ミラージュ機と見分けが付かないという理由で変更された。ボーグ本人はこの変更に不満を抱いていたらしく、わずかな反抗として頭部に生家であるコンファールト家の紋章を入れている[4]

一般機(カイロス)

より純粋な戦闘任務に特化した機体で、ラグナ支部ではα、β、γ小隊の主力機として運用されている。YF-30に準じたクロースカップルドデルタ翼を採用しているが、垂直尾翼が外向きから内向きに変更され、カナードも大型化している[2]。フォールドクォーツもより純度の劣るフォールドカーボンを採用しているため、フォールドウェーブシステムは搭載されていない。

VF-31A
頭部に単眼式のメインカメラ、1門の機銃を装備する。カラーリングはグレー。Δ小隊結成前のアラドが搭乗していた。
VF-31B
A型とともに量産されている型式。詳細は不明。

練習機(スクルド)

VF-31D
オレンジに塗装された練習機。作品内の設定は不明であるが、A型・J型とともにアオシマのプラモデルブランド「ヴァリアブルファイターガールズプラモデル(V.F.G.)」として商品化された(後述)。

注釈

  1. ^ 劇中では「カイロスちゃんのスペアパーツを使って」というマキナの台詞があるが、パンフレットでは「ジークフリードのスペアパーツ[9]」、映像ソフトのブックレットでも「ジークフリードのパーツ[20]」と書かれている。
  2. ^ ハヤテ機のように一見同じに見えるものもあれば、ミラージュ機のようにほぼ完全に別なものも、またボーグ機のように原型機と大差ない場合もある。
  3. ^ 商品に付属するフィギュアは1体のみ。

出典

  1. ^ 『マクロスΔ』第6話内の台詞では31を「さんいち」と呼んでいる。
  2. ^ a b c d e f g h i j k 『グレートメカニックG 2016 SPRING』双葉社、2015年3月18日、4 - 9頁。ISBN 978-4-575-46492-4 
  3. ^ フィギュア王 No.215』、ワールドフォトプレス、2015年、20-23頁。
  4. ^ a b c d e f g h i 月刊ホビージャパン』、ホビージャパン、2021年12月、124-131頁。
  5. ^ a b c d e プラモデル 「技MCR13 VF-31A カイロス ファイターモード」組立説明書, 1/144スケールモデル, TOMYTEC, (2016年) 
  6. ^ a b c プラモデル 「VF-31J ジークフリード(ハヤテ・インメルマン機)」組立説明書, 1/72スケールモデル, バンダイ, (2016年) 
  7. ^ a b プラモデル 「技MCR12 VF-31A ジークフリード 2モード(ハヤテ・インメルマン機)」組立説明書, 1/144スケールモデル, TOMYTEC, (2016年) 
  8. ^ a b c d e f プラモデル 「VF-31J スーパージークフリード(ハヤテ・インメルマン機)」組立説明書, 1/72スケールモデル, バンダイ, (2016年) 
  9. ^ a b c 『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』『劇場短編マクロスF 〜時の迷宮〜』パンフレット、ビックウエスト、2021年、24頁。
  10. ^ a b 『劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ』パンフレット、バンダイビジュアル、2018年、
  11. ^ a b c 『ホビージャパン エクストラ vol.23 特集 マクロスモデラーズ』ホビージャパン、2021年、80頁。
  12. ^ MECHANIC VF-31J ジークフリード ハヤテ機”. 『マクロスΔスクランブル』公式サイト. バンダイナムコゲームス. 2016年8月3日閲覧。
  13. ^ MECHANIC VF-31C ジークフリード ミラージュ機”. 『マクロスΔスクランブル』公式サイト. バンダイナムコゲームス. 2016年8月3日閲覧。
  14. ^ プラモデル 「技MCR14 VF-31C ジークフリード ファイターモード(ミラージュ・ファリーナ・ジーナス機)」組立説明書, 1/144スケールモデル, TOMYTEC, (2016年) 
  15. ^ MECHANIC VF-31E ジークフリード チャック機”. 『マクロスΔスクランブル』公式サイト. バンダイナムコゲームス. 2016年8月3日閲覧。
  16. ^ MECHANIC VF-31F ジークフリード メッサー機”. 『マクロスΔスクランブル』公式サイト. バンダイナムコゲームス. 2016年8月3日閲覧。
  17. ^ プラモデル 「VF-31F ジークフリード(メッサー・イーレフェルト機)」組立説明書, 1/72スケールモデル, バンダイ, (2016年) 
  18. ^ MECHANIC VF-31S ジークフリード アラド機”. 『マクロスΔスクランブル』公式サイト. バンダイナムコゲームス. 2016年8月3日閲覧。
  19. ^ プラモデル 「技MCR14 VF-31C ジークフリード 2モード(アラド・メルダース機)」組立説明書, 1/144スケールモデル, TOMYTEC, (2016年) 
  20. ^ BD/DVD『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!! / 劇場短編マクロスF 〜時の迷宮〜 特装限定版』ブックレット、バンダイナムコフィルムワークス、2022年、34頁。
  21. ^ 『ホビージャパン エクストラ vol.23 特集 マクロスモデラーズ』91頁。
  22. ^ 『ホビージャパン エクストラ vol.23 特集 マクロスモデラーズ』86頁。


「VF-31 ジークフリード」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「VF-31 ジークフリード」の関連用語

VF-31 ジークフリードのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



VF-31 ジークフリードのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのVF-31 ジークフリード (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS