SDRAM
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/14 15:19 UTC 版)
世代
SDRAM
SDR SDRAM(詳細は前述)は、1クロックサイクルの片エッジでの転送である(シングルデータレート(SDR))。
その他の提案
SDR SDRAMの後継としてDDR SDRAMが普及するまでの間に、多少の技術的・政治的混沌があった。#成功しなかった後継テクノロジーの節を参照。
DDR SDRAM
DRAMのアクセスレイテンシはDRAMアレイによって基本的に制限されているが、内部では数千ビットのロウを一度に読み出すので、帯域幅はさらに高められる可能性を持っている。ユーザーに対してさらなる帯域幅を提供するため、ダブルデータレートというインタフェースが開発された。コマンドを1サイクルに1つ受け付けるのは従来と同じだが、リードとライトは1クロックサイクルに2ワードのデータを扱う。またSDRインタフェースでのタイミングにいくつかマイナーな変更を加え、電源電圧を3.3Vから2.5Vに下げた。結果として DDR SDRAM は SDR SDRAM との互換性を保っていない。
DDR SDRAM(その後の製品と区別するため "DDR1" とされることもある)は最小の読み書き単位を倍にし、1回のアクセスで少なくとも2ワードを参照するようになった。
DDR SDRAM の典型的なクロック周波数は 133MHz、166MHz、200MHz(それぞれサイクル時間は 7.5ns、6ns、5ns)で、それぞれ DDR-266、DDR-333、DDR-400 と呼ばれる。対応する184ピンのDIMMはそれぞれ PC-2100、PC-2700、PC-3200 と呼ばれる。さらに高性能な DDR-550 (PC-4400) までそれなりの価格で入手可能である。
DDR2 SDRAM
DDR2 SDRAM は DDR SDRAM とよく似ているが、最小読み書き単位をさらに倍にし、4ワード単位としている。また、高速操作を実現するためにバスプロトコルを単純化している。特にバースト終了コマンドを削除した。それによって内部のRAM操作のクロック周波数を上げずにSDRAMのバスレートを倍にしている。その代わり、内部の操作はもともとのSDRAMの4倍の単位で行っている。またチップのメモリ容量増大に対応するため、バンク数を8にできるよう新たなバンクアドレスピン (BA2) を追加している。
DDR2 SDRAM の典型的なクロック周波数は 200MHz、266MHz、333MHz、400MHz(それぞれ 5ns、3.75ns、3ns、2.5ns)で、それぞれ DDR2-400、DDR2-533、DDR2-667、DDR2-800 と呼ばれる。対応する240ピンのDIMMは、PC2-3200からPC2-6400までの名称である。最近では533MHzのものもあり DDR2-1066 と呼ばれ、対応するDIMMは PC2-8500(メーカーによっては PC2-8600 とも)と呼ばれている。さらに高性能な DDR2-1250 (PC2-10000) までそれなりの価格で入手可能である。
内部操作は2分の1のクロックレートで行われるため、DDR2-400(内部クロック周波数は100MHz)はDDR-400(内部クロック周波数は200MHz)よりも各種レイテンシが大きい。
DDR3 SDRAM
DDR3でも同様の進化の傾向が継続され、読み書きの最小単位は連続する8ワードと倍になった。これによって内部クロックレートを変更せずに外部バスの周波数と帯域幅を倍増させることが可能になった。毎秒800Mから1600M回の転送を実現するため(400-800MHzのクロックの両方のエッジで転送)、内部のメモリアレイでは毎秒100Mから200M回のフェッチを実行する。
この場合も問題はレイテンシの相対的な増大である。DDR SDRAM 全般に言えることだが、コマンドは依然としてクロックサイクルの立ち上がりに1回だけ発行できるだけで、通常言われる転送速度の半分の速度である。同じ100MHzでメモリセルが動いている、DDR3-800のCASレイテンシは 8/(400MHz) = 20ns であり、PC100の SDR SDRAM の CAS2 のレイテンシと全く同一である。メモリセルのクロック周波数はDDR以降、133MHz〜266MHzが商品の中心であり、クロック周波数は伸びていなく、1クロックで取得できるビット数が2倍ずつ増えているだけである。この傾向はDDR4でも続く予定。
DDR3メモリチップは2007年後半に出荷が開始され[2]、2008年以降徐々に生産量が伸びている[3][4]。当初のクロック周波数は400MHzと533MHzで、それぞれ DDR3-800 と DDR3-1066(DIMMモジュールは PC3-6400 と PC3-8500)と呼ばれていたが、今では DDR3-1333 と DDR3-1600(DIMMモジュールは PC3-10600 と PC3-12800)が一般的となっている[5]。さらに高性能な DDR3-2200 までそれなりの価格で入手可能である[6]。
DDR4 SDRAM
DDR3 SDRAM の後継とされているのが DDR4 SDRAM である。2008年、サンフランシスコで開催されたインテル・デベロッパー・フォーラムで明らかにされ、当初2012年までのリリースが期待されていた[7]。今は、サーバー向けが2013年、PC向けが2015年のリリースが期待されている[8][9]。DDR以降、3〜5年で2倍の高速化をしていたメモリの転送速度の伸びが鈍化する形となる。
転送能力は2.133GT/s(DDR4-2133, 133MHz, 17.066GB/s)のものが最初に登場し、最終的に4.266GT/s(DDR4-4266, 266MHz, 34.133GB/s) まで向上すると予測されていて[10]、DDR3の2倍となる。メモリクロックはDDR〜DDR3同様、133MHz〜266MHzあたりが中心となる。また、電源電圧はDDR3の1.5Vに対して1.2V以下が予定されており[11][12]、1.0Vまで下げられると予測されている[13]。
2009年2月、サムスン電子はDDR4開発の重要なステップとして 40nmルールのDRAMチップの試作検証を行った[14]。2009年時点で一般に製造されているDRAMチップは50nmルールに移行しつつある状態だった[15]。
2011年2月、サムスン電子は2GBの DDR4 SDRAM モジュールの開発を発表した。電源電圧 1.2V での最大帯域幅は 2.133Gbps で、30nmプロセス技術で「擬似オープンドレイン」テクノロジーを採用。同等のDDR3モジュールと比較すると消費電力を40%抑えている[16] [17]。
2014年6月下旬、販売開始Intelの「Haswell-E」およびX99チップセットが対応する
2015年9月 Intelが第6世代Coreプロセッサを発表。今までハイエンドモデルでのみ対応していたDDR4がメインスリーム向けCPUで対応した。
DDR5 SDRAM
DDR4 SDRAMと比較して、DDR5は消費電力を削減しつつ帯域幅が2倍になる[18]。2020年7月14日に標準規格が発表された[19][20]。
仕様比較
種類 | 仕様 |
---|---|
SDRAM | Vcc = 3.3 V 信号: LVTTL |
DDR1 | アクセスは2ワード単位以上 ダブルデータレート Vcc = 2.5 V 1サイクル当たり 2.5 - 7.5 ns 信号: SSTL_2 (2.5V)[21] |
DDR2 | アクセスは4ワード単位以上 "Burst terminate" を削除 4ユニットを並列接続して使用 1サイクル当たり 1.25 - 5 ns 内部操作は1/2のクロックレートで行われる。 信号: SSTL_18 (1.8V)[21] |
DDR3 | アクセスは8ワード単位以上 信号: SSTL_15 (1.5V)[21] CASレイテンシが長い。 |
DDR4 | Vcc ≤ 1.2 V |
DDR5 | Vdd ≤ 1.1 V |
- ^ “SDRAM Part Catalog”. 2011年2月18日閲覧。 micron.com
- ^ Thomas Soderstrom (2007年6月5日). “Pipe Dreams: Six P35-DDR3 Motherboards Compared”. Tom's Hardware. 2011年2月22日閲覧。
- ^ “What is DDR memory?”. 2011年2月22日閲覧。
- ^ “AMD to Adopt DDR3 in Three Years”. 2011年2月22日閲覧。
- ^ Wesly Fink (2007年7月20日). “Super Talent & TEAM: DDR3-1600 Is Here!”. Anandtech. 2011年2月22日閲覧。
- ^ Thomas Jørgen Jacobsen (2009年7月28日). “A-Data launches DDR3-2200 with 2oz. copper PCB”. 2011年2月22日閲覧。
- ^ DDR4 PDF page 23[リンク切れ]
- ^ 【後藤弘茂のWeekly海外ニュース】 JEDECが「DDR4」とTSVを使う「3DS」メモリ技術の概要を明らかに
- ^ DDR4 not expected until 2015 - SemiAccurate
- ^ “Next-Generation DDR4 Memory to Reach 4.266GHz - Report”. Xbitlabs.com (2010年8月16日). 2011年1月3日閲覧。
- ^ Looking forward to DDR4
- ^ DDR3 successor
- ^ “IDF: DDR4 memory targeted for 2012” (German). hardware-infos.com 2009年6月16日閲覧。[リンク切れ] English translation
- ^ Gruener, Wolfgang (2009年2月4日). “Samsung hints to DDR4 with first validated 40 nm DRAM”. tgdaily.com 2009年6月16日閲覧。
- ^ Jansen, Ng (2009年1月20日). “DDR3 Will be Cheaper, Faster in 2009”. dailytech.com. 2009年6月17日閲覧。
- ^ Samsung develops DDR4 memory, up to 40% more efficient
- ^ Samsung develops DDR4 memory with up to 40 percent better energy efficiency than DDR3
- ^ Manion, Wayne (2017年3月31日). “DDR5 will boost bandwidth and lower power consumption”. Tech Report 2017年4月1日閲覧。
- ^ “JEDEC Publishes New DDR5 Standard for Advancing Next-Generation High Performance Computing Systems”. 2022年1月16日閲覧。
- ^ “次世代メモリの標準規格「DDR5」の最終仕様をJEDECが発表、DDR4から何が進化したのか?”. GIGAZINE. 2020年7月30日閲覧。
- ^ a b c “EDA DesignLine, januari 12, 2007, The outlook for DRAMs in consumer electronics”. 2010年6月22日閲覧。 edadesignline.com[リンク切れ]
- ^ Dean Kent (1998-10-24), RAM Guide: SLDRAM, Tom's Hardware 2011年1月1日閲覧。
- ^ Cold Boot Attacks on Encryption Keys Princeton University
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