1973年南アフリカグランプリ 決勝

1973年南アフリカグランプリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/29 05:54 UTC 版)

決勝

雷雨のためスタートはディレイされ、コースが乾くのを待ってから改めてレースがスタートされた[6]

スタートでデニス・ハルムがトップに立ち、ジョディー・シェクターエマーソン・フィッティパルディが続き、好スタートを切ったピーター・レブソンがその後方に付け、マクラーレン勢がレースをリードした[2]。一方、BRM勢はクレイ・レガツォーニがスタートに失敗して大きく順位を落とし、ジャン=ピエール・ベルトワーズがクラッチに問題を抱えて最後尾まで後退してしまった。フェラーリジャッキー・イクスもスタートに失敗して順位を落とした[12]

3周目に多重事故が発生する。13番グリッドから好スタートを切って7位を走行していたデイヴ・チャールトンカルロス・ロイテマンに迫ったがコントロールを失い、1コーナーのクロウソーン出口でマイク・ヘイルウッドサーティース・TS14Aに接触する。ほとんどのドライバーはこのアクシデントを回避できたが、後方に沈んでいたイクスとレガツォーニがヘイルウッドに追突してしまった。さらにこの追突で意識を失ったレガツォーニを乗せたBRM・P160Dが炎上してしまう。マシンを降りたヘイルウッドは炎の中に飛び込み、レガツォーニのシートベルトを外して救出に成功した。レガツォーニはすぐに病院に運ばれたが、幸いにもわずかな火傷を負っただけであった[2]。このヘイルウッドの勇敢な行為に対し、後にジョージ・メダル英語版[注 3]が授与された[13][注 4]

首位のハルムはこのアクシデントの残骸を拾ってタイヤがパンクしたことでピットインを余儀なくされ、マクラーレン・M23のデビューウィンはこの時点で潰えた。これでシェクターがトップに立ったが[2]、アクシデントが起きた中で順位を上げていたジャッキー・スチュワート[6]が7周目にシェクターを抜いてトップに躍り出た。以後はスチュワートがレースを支配した。シェクターは2位をキープし続けたが、やがてタイヤが摩耗し始めてレブソンとE.フィッティパルディに抜かれ、残り数周のところでエンジンがブローして4位の座を失った[2]

スチュワートは今季初勝利を挙げたが、レガツォーニらのアクシデントにより黄旗が振られていたにもかかわらずレブソンとシェクターを追い抜いた行為に対し、マクラーレンは抗議文を提出した。しかし、翌日抗議は退けられてスチュワートの優勝が確定した。レブソンはE.フィッティパルディの追撃をかわして2位を守った。3位のE.フィッティパルディはドライバーズランキングの首位をキープしたが、スチュワートに3点差まで迫られた。フェラーリのアルトゥーロ・メルツァリオは2戦連続で4位に入賞した。ハルムはマクラーレン・M23のデビュー戦を5位で終えた。F1デビュー戦のジョージ・フォルマー英語版は6位に入賞し、初参戦のシャドウに初ポイントをもたらした[6]

レース結果

順位 No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 グリッド ポイント
1 3 ジャッキー・スチュワート ティレル-フォード 79 1:43:11.07 16 9
2 6 ピーター・レブソン マクラーレン-フォード 79 +24.55 6 6
3 1 エマーソン・フィッティパルディ ロータス-フォード 79 +25.06 2 4
4 9 アルトゥーロ・メルツァリオ フェラーリ 78 +1 Lap 15 3
5 5 デニス・ハルム マクラーレン-フォード 77 +2 Laps 1 2
6 23 ジョージ・フォルマー シャドウ-フォード 77 +2 Laps 21 1
7 18 カルロス・ロイテマン ブラバム-フォード 77 +2 Laps 8
8 12 アンドレア・デ・アダミッチ サーティース-フォード 77 +2 Laps 20
9 7 ジョディー・シェクター マクラーレン-フォード 75 エンジン 3
10 21 ハウデン・ガンレイ イソ・マールボロ-フォード 73 +6 Laps 19
11 2 ロニー・ピーターソン ロータス-フォード 73 +6 Laps 4
Ret 11 カルロス・パーチェ サーティース-フォード 69 アクシデント 9
NC 26 エディ・ケイザン ティレル-フォード 67 規定周回数不足 22
NC 14 ジャン=ピエール・ジャリエ マーチ-フォード 66 規定周回数不足 18
NC 4 フランソワ・セベール ティレル-フォード 66 規定周回数不足 25
NC 24 マイク・ボイトラー マーチ-フォード 65 規定周回数不足 23
Ret 19 ウィルソン・フィッティパルディ ブラバム-フォード 52 ギアボックス 17
Ret 20 ジャッキー・プレトリウス イソ・マールボロ-フォード 35 オーバーヒート 24
Ret 17 ニキ・ラウダ BRM 26 エンジン 10
Ret 22 ジャッキー・オリバー シャドウ-フォード 14 エンジン 14
Ret 16 ジャン=ピエール・ベルトワーズ BRM 4 クラッチ 7
Ret 25 デイヴ・チャールトン ロータス-フォード 3 アクシデント 13
Ret 15 クレイ・レガツォーニ BRM 2 アクシデント 5
Ret 8 ジャッキー・イクス フェラーリ 2 アクシデント 11
Ret 10 マイク・ヘイルウッド サーティース-フォード 2 アクシデント 12
ソース:[14]
優勝者ジャッキー・スチュワートの平均速度[8]
188.526 km/h (117.145 mph)
ファステストラップ[15]
ラップリーダー[16]
太字は最多ラップリーダー
達成された主な記録[6]

注釈

  1. ^ フェラーリのコンストラクターとしての出走は201戦目だが、1950年フランスグランプリワークスのスクーデリア・フェラーリが参加せず、プライベーターのピーター・ホワイトヘッド英語版のみフェラーリのマシンで参加したため、チームの出走記録にはカウントされない。Ferrari - Grands Prix started 1973”. STATS F1. 2020年7月28日閲覧。Ferrari - Grands Prix started 1950”. STATS F1. 2020年7月28日閲覧。
  2. ^ 本レースのスターティンググリッドは3-2-3。
  3. ^ 人命救助等に於ける極めて勇敢な行為に対して与えられるイギリスの勲章で、ジョージ・クロスの下位にあたる。
  4. ^ この年のオランダGPで炎に包まれたロジャー・ウィリアムソンを救出しようとしたデビッド・パーレイにも同じ勲章が授与された。しかし、ウィリアムソンを救出することはできず、炎の中で息を引き取った。

出典

  1. ^ Motor Racing Programme Covers: 1973”. The Programme Covers Project. 2017年7月7日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j South African GP, 1973”. grandprix.com. 2020年7月28日閲覧。
  3. ^ (林信次 1993, p. 69)
  4. ^ a b (林信次 1993, p. 66)
  5. ^ (林信次 1993, p. 67)
  6. ^ a b c d e f South Africa 1973”. STATS F1. 2020年7月28日閲覧。
  7. ^ South Africa 1973 - Race entrants”. STATS F1. 2020年7月28日閲覧。
  8. ^ a b South Africa 1973 - Result”. STATS F1. 2020年7月28日閲覧。
  9. ^ a b (林信次 1993, p. 58)
  10. ^ South Africa 1973 - Qualifications”. STATS F1. 2020年7月28日閲覧。
  11. ^ South Africa 1973 - Starting grid”. STATS F1. 2020年7月28日閲覧。
  12. ^ 1973 South African Grand Prix race report”. Motor Sport Magazine. 2020年7月28日閲覧。
  13. ^ (林信次 1993, p. 62)
  14. ^ 1973 South African Grand Prix”. formula1.com. 2014年9月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年12月22日閲覧。
  15. ^ South Africa 1973 - Best laps”. STATS F1. 2020年7月28日閲覧。
  16. ^ South Africa 1973 - Laps led”. STATS F1. 2020年7月28日閲覧。
  17. ^ 戦績:G.フォルマー”. F1 DataWeb. 2020年7月28日閲覧。
  18. ^ 戦績:E.ケイザン”. F1 DataWeb. 2020年7月28日閲覧。
  19. ^ 戦績:J.プレトリアス”. F1 DataWeb. 2020年7月28日閲覧。
  20. ^ 戦績:シャドー”. F1 DataWeb. 2020年7月28日閲覧。
  21. ^ a b South Africa 1973 - Championship”. STATS F1. 2019年3月20日閲覧。





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  1973年南アフリカグランプリのページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「1973年南アフリカグランプリ」の関連用語

1973年南アフリカグランプリのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



1973年南アフリカグランプリのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの1973年南アフリカグランプリ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS