脳内出血
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/02 22:52 UTC 版)
治療
発症後24時間以内は再出血の危険がある。しかし欧米ではかねてより、血圧を低下させすぎることは却って脳血流の低下を来たすので禁忌であるといわれてきた。近年、血腫周囲の神経細胞は休眠状態の低代謝状態となるため、脳血流の低下は必ずしも虚血を意味しないという新しい考えが発表された[3]。したがって、発症急性期に降圧治療を行い、再出血を予防する治療が可能かつ有効かもしれないと考えられるに至った。
国内の検討では、発症3時間以内の超急性期の高血圧性脳出血も、積極的に平均血圧110mmHg以下に降圧すること(来院時血圧を20%程度の降圧すること)で、出血増大(再出血)の危険を低下させ、しかも予後悪化を防ぐことが示され[4]、来院直後から脳出血患者を積極的に降圧する治療が主流となりつつある。また必要に応じ浸透圧性利尿薬やステロイド薬などで頭蓋内圧亢進症状を軽減する。
手術療法は全例に適応ではない。視床出血および脳幹出血では血腫量によらず手術適応がない[5]。その他の部位でも血腫量が少量(10ml以下)であったり神経学的症状が軽い場合には、手術適応はない[5]。脳ヘルニアが見られる例に対し緊急開頭術を行う。自然に吸収されない大きさの血腫であれば、再出血のおそれが無くなり、脳浮腫が治まった時点で待期的に定位脳手術を行う。
後遺症
通常1〜2週間から数か月は急性期病院でのこれらのケアが中心となり、その後は後遺症として起きる手足のまひ、しびれ、言語能力の低下の程度改善のためのリハビリテーションが主軸となる。ただ、エドウィン・O・ライシャワーのような多国語会話者における、外国語能力の低下のリハビリテーションを行う方法は確立されていない。また高血圧がある場合は脳出血再発予防のため、降圧薬内服を続けていく。
予後
脳幹出血においては呼吸麻痺、他の部位においては脳ヘルニアが致命的となりうる。発熱がある場合、頭部を冷やし過ぎるとMRI部で詳細に記述されているヘモグロビンが酸素を放せなくなる代謝性アシドーシスが起き、機能を低下させるので注意が必要である。
固有名詞の分類
- 脳内出血のページへのリンク