播種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/26 20:57 UTC 版)
播種の時期
種まきで一番大事なのは、播き時である。秋まきでは、数日の違いで、生育に大きな差が出ることがある。また、植物にはそれぞれに発芽適温があり、適温でないと全く発芽しないこともある。
春まき
よく、タネをまくには春と秋の彼岸頃が良いと言われるが、これは間違いである。秋分の頃は最低気温が15 - 20℃で、秋まき草花の発芽適温だが、春分の頃は東京でまだよく霜が降り、氷が張ることもある。コスモスやマリーゴールドなど、発芽温度の低いもので、ソメイヨシノが散り始めた頃、サルビアや朝顔はゴールデン・ウィークの頃、春播き草花で一番発芽温度の高いインパチェンスは5月中下旬がよい。春播き種はだいたい、温度が高ければよく発芽するので、わざとマリーゴールドやコスモスなどを7月頃にまくと、秋にコンパクトな姿で花をつける。
秋まき
秋まきの草花は、春播きのものより発芽温度が低いが、冬に向かうため、生育適温のうちに十分な大きさにしておかないと、貧弱な花しか咲かないことになる。暖かい地方では、パンジー・キンセンカ・花菜・ヴェニディウム(寒咲蛇の目菊)・ヤグルマギクなどは、9月5日頃までに播くと、年内に花を見ることができる。
秋まき草花の発芽をよくするには、通販のカタログは5月下旬に発行されるので、タネを早めに注文し、タネが来たら一ヶ月以上冷蔵庫の野菜室に保管して、8月下旬から9月5日頃までに播種するようにする。キンギョソウや撫子(なでしこ)類、ポピー[要曖昧さ回避]などは秋分頃でよい。ヴァーベナやルピナス、リヴィングストンデージーなどは、10月になってから播いた方がよい。今はタネの袋に、地播き時を色分けした日本地図や、発芽適温が出ている。春播きでは最高気温がその適温になったら、秋まきでは最低気温が発芽適温になったらすぐに播くのがよい。
夏まき
ハボタンは6月下旬から8月中旬頃が播き時である。また、プリムラは6月から7月が播き時である。これらは秋になってから播くと、十分に生育しないうちに観賞期を迎えてしまうからであるが、夏はやはり発芽しにくく、病虫害も多い。
温室で栽培される鉢物は、プリムラもそうだが、特別な播き時のものがかなりある。設備も必要だし管理も大変なので、詳しく知りたい方は、専門書を読んでほしい。
取り播き
採集したタネをすぐに播くのを取り播きという。松柏類やカエデ、ツバキ、ハゼの木など、木本類では取り播きにしたほうがよいものが多い。木本類のタネは、案外乾燥に弱く、また、種類によっては、いったん寒さにあってから暖かくならないと、つまりタネが、春が来たことを自覚しないと、発芽しないからである。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 主婦の友社編 2011, p. 272.
- ^ a b c d e f g h i j 主婦の友社編 2011, p. 273.
- ^ 『作物学用語事典』日本作物学会 P43
- ^ 中尾『栽培植物と農耕の起源』 岩波書店 p54 なお厳密には、種をまくのではなく根などを植える方法。
- ^ 中尾『栽培植物と農耕の起源』岩波書店p111 なお同書では、原初のアフリカの農耕として、ニジェール川の中流域からケニア、タンガニーカ辺りでみられる「野原へいきなり種を散播し、除草する」方法を挙げ、そのようなものだった可能性を示唆している
- ^ ネッドハリー『写真で見る農耕と畜産の歴史』あすなろ書房 p16~17
- ^ a b c d 金子美登 2012, p. 254.
- ^ 金子美登 2012, pp. 254–250.
- ^ 金子美登 2012, p. 248.
- ^ a b c 主婦の友社編 2011, p. 270.
- ^ a b c d e f 主婦の友社編 2011, p. 271.
播種と同じ種類の言葉
品詞の分類
- >> 「播種」を含む用語の索引
- 播種のページへのリンク