川面凡児 著作

川面凡児

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/20 06:22 UTC 版)

著作

著書は非常に多く、主なものに『日本古典真義』『大日本神典』『天照大神宮』、『憲法宮』などがある。そのほとんどは『川面凡児全集』30巻(1939~41)に収められている[7]。戦後は、八幡書店から全集全十巻と同CDが発行されている。

思想

川面の思想は、古神道の宇宙観、霊魂観と神人合一法を西洋論理を用いて解き明かそうと試みた点に特色がある。例えば、荒身魂は肉体、和身魂は意識、直霊は最高意識ととらえ、人間は最高意識が受肉した存在であるから、すべての人間はその意味で「現人神(あらひとがみ)」であると主張した。(天皇だけが現人神ではない、という主張は注目すべきである)また、天御中主(あまのみなかぬし)を中心力、高御産霊(たかみむすひ)を遠心力、神御産霊(かむみむすひ)を求心力ととらえ、この三者のはたらきによって原宇宙が生成されたと説いた。川面は、古神道の神は、創造神ではなく、生成神であると考えている。創造神は、創造がある以上終末が訪れることを前提とした限定的な神であるが、生成神には、終末と見える現象はあったとしても、実際に終末はなく、永遠の生成発展があると考え、古事記の「天壌無窮」説を近代論理を用いて説明しようとした。川面の主張する日本民族の神は、一神にして多神、多神にして汎神であり、一神の躍動するはたらきの現れが、多神であり、汎神であるとし、この構造をもった神を「全神」となづけ、自らの教えを一神教でも多神教でもなく、「全神教」と名付けた。この神のダイナミックな構造は、およそ二百年後には、西洋にも理解されるようになり、西洋は、多神と祖霊も祀るようになるだろうと予測している。ただし、神は、知性で論理的に把握しただけでは足りず、体感、体認、体験しなければならないと説き、そのために禊、鳥船、雄叫び、おころび、祝詞などの一連の身体作法を体系的に行う必要があるとしている。(彼が提唱した禊は、その一連の身体作法の一部にすぎない。)なお、天皇が宮中でおこなう祭祀と行法が、本来の魂しずめと魂ふりであり、川面の祭祀と行法は、それから派生した傍流であると位置づけている。(『宇宙の大道を歩む』より抜粋)

参考文献


  1. ^ 佐々木浩雄「01-28-K103-4 神道の鎮魂行法と体操の関係について : 川面凡兒の「禊」と高木兼寛の「国民運動」を中心に(01.体育史,一般研究発表抄録,ひろしま発 ひとを育む体育・スポーツ)」『日本体育学会大会予稿集』第60巻第60回(2009)、日本体育学会、2009年、79頁、doi:10.20693/jspehss.60.79_1NAID 110008086032 
  2. ^ a b c d e 『川面凡児先生小伝』小島倭夫 稜威会 公式ホームページ
  3. ^ 「私・家塾」大分歴史辞典[リンク切れ]
  4. ^ 『川面凡児先生伝』金谷真著、みそぎ会星座連盟、昭和16
  5. ^ a b c 稜威会の歩み 稜威会 公式ホームページ
  6. ^ a b c 津城寛文「鎮魂行法論」 松岡正剛の千夜千冊
  7. ^ a b 川面凡児日本大百科全書(小学館)[リンク切れ]
  8. ^ 川面凡児先生年譜稜威会HP


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