実装
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 10:28 UTC 版)
エレクトロニクス分野における実装
実装技術
エレクトロニクスの分野における実装技術は、電子部品をプリント基板にはんだ付けする技術という意味で用いられ、スルーホール実装やSMT(表面実装技術)のことを示す場合が多かった。本来の実装技術の意味は、多様化する電子部品に対して、ウェハーの状態から最終製品になるまでの電子部品の組み立て技術、具現化全般の技術であり、現在は、このような理解が定着しつつある。実装技術は、製品の重量、大きさ、性能、コストや信頼性に大きく影響する、学際的な技術である。
プリント基板における実装技術については、さらに高密度実装、高周波実装、高温・低温実装、鉛フリーはんだ、難燃性、長期信頼性、フレキシブル実装、プリンタブル実装など多様な細かい分野に分かれ、多くの企業や大学が力を入れて研究開発を行っている。
- 高密度実装 集積度向上を目的とした実装技術。特に携帯機器の分野で重要。チップ部品、BGAなどによる小型化、多ピン化とそれにともなう接合技術からなる。はんだ付けによる接合は、小型部品がはんだの表面張力で浮いてしまう「マンハッタン現象」という不良や、隣接するピン同士がはんだでくっついてしまうはんだブリッジ(→ソルダーレジスト)という不良の対策が必須である。さらに小型の機器には超音波接合も多用される。近年は部品を積層して集積度を上げる三次元実装技術が注目されている。
- 高周波実装 情報処理の速度を上げるため、高い周波数の信号を精度良く配線に通すことを目的とした実装技術。特にCPUやメモリの分野で重要。信号の同着性確保、ノイズ対策、不要輻射軽減(→電磁波障害)、電源の品質向上が主な技術となる。
- 高温実装 高温に耐えるための実装技術。特に電力用半導体素子(パワーデバイス)の分野で重要。プラスチックやはんだの融点は300度以下のものが多く、これをいかに向上させるかがポイントとなる。また、基板の熱による反りを抑制する技術や大電流を扱うための配線技術や放熱技術も重要。
- 低温実装 こちらは低温に耐えるための実装ではなく、熱に弱い部品を低い温度で実装するための技術である。特にセンサやディスプレイ、有機半導体の分野で重要。低融点はんだや銀ペーストなどの低温接合材料や、異方性導電フィルム(ACF)などの局所加熱型のプロセスが主要技術。
- 難燃性 エレクトロニクス製品の出火事故を防ぐための技術。かつて紙フェノール基板が多く使われていたころは基板自体の難燃化が大きな課題だったが、近年は難燃材に含まれる環境負荷物質の削減に主眼が移ってきている。
- フレキシブル実装 機器に可撓性を持たせるための実装技術。特にICカードや携帯機器の分野で重要。フレキシブル配線板と、その配線板と部品とをつなぐ接合技術からなる。かつては曲がる配線板と曲がらない部品をどう繋ぐかが主な課題だったが、有機半導体の発達によって部品自体を曲げるという構造も可能になった。
- プリンタブル実装 製造にリソグラフィを用いず、印刷を用いる低コストな実装技術。太陽電池やディスプレイ、有機半導体分野で重要。印刷用の材料開発と印刷機の開発が主な課題。印刷用材料の一部は曲げに対して強い耐性があり、前述のフレキシブル実装とも深い関係がある。
- ^ ASCII.jpデジタル用語辞典
- 1 実装とは
- 2 実装の概要
- 3 エレクトロニクス分野における実装
- 4 ソフトウェア分野における実装
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