士 (自衛隊)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/02 00:53 UTC 版)
任期制陸・海・空士の身分保障・待遇
二等陸・海・空士として採用される任期制隊員(一般2士)の扱いは契約社員と同じで、公務員同様に定年まで身分が約束される曹へ昇任する保証は無い。近年の就職情報サイトでは、二等陸海空士の募集が「正社員」の区分で公開されている。
陸上自衛隊は、部隊などで実施される曹候補生選抜試験に合格すると曹候補生たる士長(非任期制隊員)に指定され、陸曹候補生課程教育を受講後に3等陸曹へ昇任可能となる。陸曹候補生たる陸士長の指定を受けると、陸曹候補生課程教育の前に所属部隊で2から4週間(1か月以内)陸曹候補生履修前教育を履修して課程教育に必要な体力の向上と最低限の知識を学習したのち、各方面混成団隷下の陸曹教育隊及び女性自衛官教育隊で陸曹候補生課程及び3曹昇任試験(約3か月)に合格し、各職種ごとの学校等で初級陸曹特技課程教育(約3か月)を受講すると3等陸曹に昇任可能となる。
海上、航空自衛隊は、3曹昇任試験に合格したのちに海・空曹予定者課程を履修して3曹に昇任する。または3曹昇任後に初任海・空曹課程を履修する。
任期の継続を希望して一程度の年数を経ても3曹に昇任しない者や、勤務成績の不良や心身の故障により任期の継続を認められない者は、任期満了と同時に除隊[3][4]となり、就職援護を勧められる。
一般曹候補生(非任期制隊員)も同様に、心身の故障、勤務成績不良、重大規律違反や服務事故、陸上自衛隊の曹候補生選抜試験や海・空自衛隊の昇任試験で不適を連続する、陸曹候補生課程や海・空自衛隊の海・空曹予定者課程で成績不良、などの理由で3曹に昇任困難が見込まれる場合は、陸・海・空曹候補生の資格が取り消され、除隊して就職援護などを勧められる場合がある。免職項も参照。
任期制隊員は任期が満了すると特例退職手当(任期満了退職金)が支給される。希望者は受領を次の任期末まで保留し、除隊時に一括受領も可能である。手当受領の如何に関わらず、志願による2から3任期の継続は許可される。手当受領後に曹へ昇任した場合は退職金が低下するため、受給した手当返納を申請して許可される者も見られる。
陸上自衛隊は任期制隊員(陸士)の1任期目が2年で海・空の3年よりも短い[5]。特に普通科・特科・施設科は任期満了による除隊の勧奨時期が早い傾向にある。任期制隊員から3曹の昇任は所属部隊ごとに行われ、部隊の状況にもよるが概ね10人に1人の割合で1人が3曹に昇任して9人が除隊する。
海上・航空自衛隊の昇任試験は全国で選抜される。海上自衛隊・航空自衛隊は、新隊員として入隊して一定期間部隊勤務ののちに、海自術科学校や空自術科学校などで高度な専門技術職種の教育を受けるが、安易に除隊させると、技術継承等が進まない事から、勤務優秀かつ永年勤続を希望する者は所属部隊長の裁量もあるが、任期継続の限界である4から5任期まで除隊勧奨を保留し、3曹昇任を待つ者も見られる。
景気低迷により、陸上自衛隊の除隊勧奨基準である3任期を超えて勤務する任期制隊員が増加し、新規採用が保留となるなど、第一線部隊の精強性低下が懸念されていた[6]。
- ^ 令和2年 自衛官候補生募集案内パンフレット(防衛省)
- ^ 朝雲新聞社編 (2005) p.292「階級の推移」
- ^ 海士長等の継続任用について(通知)
- ^ 空士長等の継続任用に関する達
- ^ a b 朝雲新聞社編 (2005) p.265「二等陸海空士」
- ^ 任期制自衛官「超狭き門」 転職難で残留、新人枠を圧迫
- ^ 依願退職は援護の対象外
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