ミラージュIV (航空機)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/19 18:04 UTC 版)
機体
大型のデルタ翼、胴体両脇のエアインテーク、アター9エンジン(2基)により全体的な印象はミラージュIIIの拡大発展型となっている。最大速度はマッハ2超を発揮することが可能だが、高度などの周辺環境にもよるが出せる速度はマッハ2.2が限界とされている。エンジンの燃費が悪いこともあり、機内には14,000リットルもの燃料タンクを持ち、更に両翼下に大型の増槽を装備することが可能な他、空中受油装置を装備する。
操縦席は乗員が前後に並んで搭乗するタンデム型で、キャノピーは分割されている。機首には給油用のプローブが収納されているため、レーダーは珍しく機首ではなく胴体下部(左右のエアインテークの間)に収められている。両翼にはそれぞれ2本のパイロンがあり、内側には2,500リットルの増槽、外側にはECMポッドやチャフ/フレアディスペンサーなどを搭載する。内側パイロンには通常爆弾の装備も可能であった。
胴体下部のエンジン間は各種兵装を半埋め込み式に搭載する兵装ステーションとなっており、核爆弾以外にも通常爆弾の搭載が可能で、ミラージュIV PではASMPを搭載できた。IV Aのうち1972年以降に生産された後期生産型の12機は、CT-52偵察用カメラポッドの搭載にも対応していた。CT-52は低高度/高々度のそれぞれに4機のフィルム式カメラを装備し、赤外線画像の撮影にも対応していた。
派生型
- ミラージュIV 01
- 試験機。1機製作。
- ミラージュIV A 02
- IV 01の部分改良型。一部装置を搭載していない飛行試験機。
- ミラージュIV A 03
- 全面改良型。爆撃システム等搭載した実用試作機。
- ミラージュIV A 04
- RATOに対応した完全実用型。
- ミラージュIV A
- 生産型。62機生産。
- ミラージュIV N
- A改造の近代化型。IV P と改称。
- ミラージュIV P
- ASMP 巡航ミサイルの運用能力他を追加した性能向上型。IV N より改称。IV A より18機が改修。
- ミラージュIV B
- 開発中止となった長距離型。
- ミラージュIV TSR.X
- イギリス空軍に提案された型。選定されず。
要目(ミラージュIV P)
- 全長:23.49 m
- 全幅:11.85 m
- 全高:5.65 m
- 翼面積:78m2
- 翼面荷重:405 - 429kg/m2
- 空虚重量:14,500kg
- 搭載重量:31,600kg
- 最大離陸重量:33,475kg
- 最高速度:マッハ2.2(高度 11,000 m)
- エンジン:スネクマ アター 9K-50ターボジェットエンジン×2基 推力ドライ時49.03 kN・アフターバーナー点火時70.61 kN 推力重量比0.46
- 航続距離:4,000km(増槽使用時)
- 戦闘行動半径:1,240km
- 実用上昇限度:20,000m
- 上昇速度:43.1m/s
- 乗員:2人
- 武装
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