ベーラー スクエア/ワイヤベーラーの歴史

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ベーラー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/01 01:03 UTC 版)

スクエア/ワイヤベーラーの歴史

ベーラーから梱包を受け取る作業者

梱包の収集と運搬

スロワー・ベーラー

1940年代には、ほとんどの農家が20馬力以下の小型トラクタを使って牧草地で干し草を梱包し、ベーラーが通った草地には結束された梱包が落された。別な作業者のチームが荷台の平らな馬車に乗り、鋭い金属製のフックでベールを引っかけて馬車へと投げ上げられた後、補助員がそのベールを積み重ねて納屋へと運搬された。

その後の能率を上げる為の進歩はベーラーの後に直接トレーラーを牽引するようになった事である。梱包はレールを押し上げられて、トレーラーで待っている係員へと送られ、次のペールが梱包されて送り出されて来る間に、係員はトレーラーの上でそれを積み重ねた。

トラクタの馬力が年々大きくなるにつれ、遂には梱包をトレーラーへと自動で投げ飛ばすベーラーが可能になりスロワーベーラー(thrower-baler)と呼ばれた。これにより、誰かがトレーラーの上に立って完成した梱包を受け取る必要が無くなった。最初の梱包を投げ飛ばす機構は、完成した梱包をつかむのに高速で回転する向きあった摩擦ベルトを使用し、トレーラーめがけて角度を付けて梱包を投げ飛ばした。トレーラーは投げられた梱包を受け止めるネットとして機能するように、単なる平らな荷台から後方と両側面の3方を囲った骨組状の枠に変更された。

トラクタの大型化が進んだことによるスロワーベーラーの次の進歩は、油圧で梱包を投げ上げる機構のベーラーだった。これは結束機の後ろで平な皿(pan)を使い、梱包がベーラーの後部から押しだされるに従って一度に一つずつ、皿の上に押し出される。梱包が移動して完全に皿に乗ったとき、大きな油圧シリンダに突然押されて梱包が跳ね飛び、カタパルト(投石器)の様にトレーラーへと投げ飛ばした。(→外部リンクのYouTube動画参照)

パンスロワー(pan-thrower)方式はベルトスロワー(belt-thrower)方式よりベールに与えるストレスが極めて少ない。 ベルトスロワーの摩擦ベルトが梱包をつかむ時にトワインや結び目にストレスがかかり、スロワーの中を通る時やワゴンに着地した時に、まれに梱包が壊れてしまうことがある。

スタッカ

ニューホランドは「スタッククルーザー(Stackcruiser)」、または「スタッカ(stacker)」という機械を発明した。 これは、梱包を連続して自動的に地面から拾い上げて保管場所まで運搬する、特殊な自動車である。その動作は、 スタッカを梱包のある場所まで運転して行って梱包を拾い、1番目のテーブルの上に一列に並べられる。一番目のテーブルに所定の数が並んだら、1番目のテーブルが後方に向って垂直に跳ね上がり、梱包を2番目のテーブルに押しだす。この工程はあと4回程繰り返される[注 2]。2番目のテーブルに梱包が全て並んだら、1番目のテーブルと同じように垂直に跳ね上がり、梱包の壁を一気に荷台に立てながら、既に立っている梱包の山を後ろへと押しやる。これらの動作を自動的に繰返してスタッカは梱包を荷台に整然と積み重ねる。積み重ねられた梱包の壁が揺れたり崩れたりするのを防ぐために、梱包の山の上部と両サイドを押える構造になっている。荷台が満杯になると納屋に運搬され、スタッカの後部が垂直になるまで荷台をダンプさせ、機械から飛びだした二つの押え板が梱包の山の下部を押し出しながら、スタッカを納屋から前進させる。(→外部リンクのYouTube動画参照)

ベール・バンデット

ベール・バンデット(Bale Band-It)と呼ばれるこの機械は、スクエアベーラーに牽引されて梱包をベーラーから自動的に受取り、機械の内部で梱包を自動的に積み重ねた上で大きな長方形の形状に結束して排出する。これはちょうどビッグベーラーが成型する梱包に形状が似ており、大型の荷役車両で一度に運搬出来る他、保管の上でもスペース効率に優れる。

ベール・スレッジ

イギリスで、もし未だにスクエアベーラーを使っているなら、通常ベーラーから排出された梱包はベーラーの後ろに牽引されたベール・スレッジ(bale sledge)で集められる。これは多数の鋼材、自動制御の配列装置、留め金やスプリングで構成され、ベールを並べ替えて横4個縦2個の8字型に整列させる。スレッジが一杯になった時、後部のドアが自動的に開き、梱包は8字型(田田の形)に整列したまま地面に降ろされる。(→外部リンクのYouTube動画参照) これらは、個別に手で拾われて積み込まれることもあるが、トラクタのフロントローダに装着された専用のベールグラブで、スレッジが地面に置いた8個の梱包をそのまま掴むことが出来る。そして、掴んだ8個の梱包は運搬するためにトレーラーに載せられるか、ベール置場で8段か10段の、おおむね立方体になるようにな高さに積み重ねられる。そして、トラクタの3点リンクに装着する大きなアタッチメントで積み上げられた立方体の側面をはさみ、この梱包の山を丸ごと持上げて移動することも可能である。

保管方法

1940年代にアメリカの田舎に電気が引かれる前、いくつかの小さい農場はトラクタを持っていても電気は来ていなかった。 トラクタを所有することが出来た一握りの農家は、しばしば周囲のまだ馬を使っている農家の梱包作業を全て引きうけていた。

梱包を納屋のロフト(loft,屋根裏)に上げるために納屋の屋根には滑車が取りつけられていた。この滑車は屋根の端から数フィート張り出しており、その下には大きな扉が設けられていた。滑車の下部には、フックが付いており、梱包を引っかける爪が付いていた。

梱包を集めてきたトレーラーを納屋の脇に停めて、トレーラーまで下ろされたフックを梱包の一つに引っかける。 滑車のロープを手で引いて梱包が扉の中央に来るまで空高く持上げてからロフトの中へと引きこんでフックを外した後、手作業でロフトの床に横一列に隙間なく並べ、梱包がロフトの屋根に届いて満杯になるまで、上へ上へと積み重ねられた。

そして農場に電気が引かれたとき、滑車で梱包を送る作業方法はヘイエレベーター(hay elevators)として知られるモーターで動く長いコンベアに置き換えられて姿を消した。典型的なエレベーターは剥き出しの骨格のフレームで、数フィート間隔で3インチ(76mm)の爪が付いたチェーンで引きずりながら梱包を搬送する。

1番目のエレベーターは、梱包をピークエレベーター(peak elevator)まで持ち上げるために納屋の妻面におよそ30度の傾斜角度を付けて設置された。棟木の下に沿うように設置されたピークエレベーターは、ロフトの入口からその奥へと梱包を水平に搬送する。また、デュアルフロントバックチェン(dual front-back chains)を使うと梱包は傾斜エレベーターからピークエレベーターへと直接搬送される。

梱包を運んで来たトレーラーを傾斜エレベーターの横に停止させ、農夫は一度に一つずつ、傾斜エレベーターに梱包を置く。梱包がピークエレベーターに届くと、ピークエレベーターの全長に渡って調整可能な、梱包をエレベーターから落すゲートがある。ロフトの床からロープを引くことによって、梱包を落すゲートを開閉することができ、そしてベールはエレベーターからロフトの任意の場所の床に落された。これにより一本のピークエレベーターで、梱包をロフトの任意の区画に送ることが出来た。

この完全なヘイエレベーターの、梱包を持上げ・送り・そして保管場所に落すシステムは一人で取り扱うことができ、単にトレーラーから梱包を拾い、エレベーターのスイッチを入れ、そこに梱包を乗せるだけで良い。念のため、ときどき梱包がロフトの正しい位置で落ちているかをチェックする。

ロフトで梱包を几帳面に積み上げていると、時としてスピードに負けてコンベアから転がり落ちてくる梱包が山のように積み上がることが有るが、エレベーターのゲートを切替えて代りに空いている場所にとりあえずそのまま落して山にしておく。そうすると、エレベーターによって落とされたままの梱包の山は、トレーラーが再び梱包を積みこみに行っている間に規則的な列に積み直す事が出来た。

納屋での使い方

梱包を保管しているロフトからそれを運び出す作業は、干し草を機械で梱包するようになってからあまり変化が無かった。まず、作業者はロフトの梱包の山によじ登って梱包を引き出し、ロフトの床へと投げ落とすか転がして落した。梱包をロフトの床に落したら作業者は山から下りてきてロフトの床にあるベールシュート(bale chute)の蓋を開き、そこから家畜が居る区画へと通じるシュートに梱包を落した。

たいていの納屋はロフトの床の中央と端にいくつかのシュートを備えていた。これは、梱包をそれぞれ使用する区画に直接落すことが出来た。干し草の梱包は、ほどけてそのまま牛に給飼出来るように、端のシュートから落した。麦わらの梱包は、家畜の敷料として使うために中央のシュートから落された。敷料として使う梱包からは手でトワインを取りはずし、家畜のいる床へと落された。 乾燥が進んだり、梱包の山の下で何トンもの圧力によってしっかりと固まった殆どの梱包を使用するためには、ばらばらにしてから叩いて膨らませる必要があった。

このすべて手作業で行う梱包の取り扱いを迅速化する最近の方法のひとつは、ベール・シュレッダー(bale shredder)である。これは大きな垂直に回転するドラムに切断したり引裂いたりする歯が付いている。シュレッダーはシュートの下に置かれ、そこから機械に収まる程度に何個か梱包を投入する。作業者は次に、納屋の通路にそってシュレッダを押しながら、細断してふわふわになった敷料を連続して機械から吹き出させる。

ベーラーが作り出した麦畑の"曲線美"

注釈

  1. ^ 原文では a special pincer attachment
  2. ^ 訳注:機械の仕様や梱包の大きさで回数は変化する模様。参考文献のNew Holland Bale Wagon Spec.を参照

出典



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