ブルー・オーシャン戦略 ブルー・オーシャン戦略の概要

ブルー・オーシャン戦略

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/16 19:28 UTC 版)

概念

ブルー・オーシャン戦略によると、血で血を洗うような競争の激しい既存市場を「レッド・オーシャン(赤い海)」とし、その激戦区でビジネスをすることは不毛であると前提づけている。そして、そこから可能な限り脱却して、策源地となりうる競争のない理想的な未開拓市場である「ブルー・オーシャン(青い海)」を切り開くべきだと説いている。

そのためには、自分の業界における一般的な機能のうち、何かを「減らす」「取り除く」、その上で特定の機能を「増やす」「新たに付け加える」ことにより、それまでなかった企業と顧客の両方に対する価値を向上させる「バリューイノベーション」が必要だと主張している。そのための具体的な分析ツールとして、「戦略キャンバス」などを提示している。

従来からよく知られているマイケル・ポーター競争戦略では、「事業が成功するためには、低価格戦略か差別化(高付加価値)戦略のいずれかを選択する必要がある」と主張しているが、ブルー・オーシャン戦略では「『減らす』『取り除く』ことによる低コスト化と、『増やす』『付け加える』ことによる顧客にとっての高付加価値は両立し得る」と主張している。

韓国サムスングループは、組織的にブルー・オーシャン戦略を実践していることが知られている。

ブルーオーシャン戦略のメリット

メリット

価格競争に巻き込まれないこと
ブルーオーシャン戦略は、既存の市場にない新商品を作ったり、競合とは全く異なる戦略を取ることを目指す。そのため価格も自由に決められ、価格競争にも巻き込まれないため値下げせずに済む。
宣伝費用が少なくて済むこと
競合との競争がないため、競合に対抗して宣伝しなくて良く、広告費用なども少なくて済む。
投資費用が少なくて済むこと
上記のような理由から、比較的に高い利益率を実現しやすい。そのため、投資費用を抑えてビジネスを開始できる。
早期に利益を積み上げやすいこと
投資費用が少なくて済むということは、それだけ投資費用を早く回収できるため、早期に利益を積み上げられる。これはベンチャー企業などのスタートアップ段階では極めて重要なメリットである。
安定した利益を生み出せること
競合の真似をする必要がなく、商品に「付加価値」を付けて販売することができるため、自社だけの見込み客を集めることが可能となる。自社の見込み客が商品のファンになれば、リピートしてくれる可能性も高まるため、安定した利益を生み出せる。
先行者利益が得られやすい
ビジネスで大きな利益を得るには、既存商品のないサービスを開始して、二番手以降のサービスとの差を圧倒的に広げておく必要がある。ブルーオーシャン戦略はこれを前提とした戦略であり、競合のいないブルーオーシャン市場ではそれを実現しやすい。

デメリット

レッドオーシャン戦略ほどの利益は得られないこと
たとえば「100億円企業を作りたい」という目標がある場合、ブルーオーシャン戦略のみで100億円の売上を作ることは難しい。なぜなら、100億円の売上を作る場合、既存のレッドオーシャン市場などで、ある程度のパイを獲得する必要があるためである。
そもそも見込み客がいない可能性があること
自社の開発した新商品が、現状の市場に存在していない場合には、「なぜ市場に存在していないか?」を改めて考えてみる必要がある。そもそも市場にないのは、競合相手がアイデアを考えついていたが売上が伴わないと考えて販売を見合わせていたり、一度は販売したものの売上が得られず販売中止になった……など、そもそも「見込み客がいないから商品が存在していない」という可能性もある。
競合企業も追従しやすいこと
自社が低コストで進出できるのと同じく、後から参入してきた競合企業も追従しやすい。1年ほど先行したリードで得られた先行者利益を、うまく活かしていく必要がある。

用語

増やす
業界の基準値よりも上回るべき機能はなにか?
付け加える
業界でいまだ例がない、実は付け加えるべき機能はなにか?
取り除く
業界が長く競合してきたが、実は取り除くべき機能はなにか?
減らす
業界の基準値を下回ってもよい機能はなにか?

  1. ^ a b サービス経済化時代におけるブルー・オーシャン的戦略思考の重要性 大阪都市経済調査会
  2. ^ 3枚看板で躍進するワークマンの方程式 すべての源はプロ職人|株式会社ワークマン 小濱 英之|スーパーCEO列伝|SUPER CEO”. SUPERCEO. 2021年12月11日閲覧。
  3. ^ 意外に類似点があるブラジルと韓国の近代史 – ブラジル知るならニッケイ新聞WEB”. web.archive.org (2020年2月21日). 2022年10月23日閲覧。
  4. ^ 이수만 "美 디즈니에 맞설 미디어그룹 만들겠다"(인터뷰)” (朝鮮語). 머니투데이 스타뉴스(マネートゥデイ スターニュース). 머니투데이 (2007年8月31日). 2008年12月10日閲覧。
  5. ^ 日本と香港を押しのけ、韓国エンタメが30年前に躍進し始めた理由|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト”. web.archive.org (2022年10月22日). 2022年10月23日閲覧。
  6. ^ 井上理「任天堂 “驚き”を生む方程式」(日本経済新聞社)


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