フリー (バンド) 概要

フリー (バンド)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/01 14:45 UTC 版)

概要

ブルースとソウルの要素を併せ持った独特のサウンドで初期のハードロックを形作った。代表作の「オール・ライト・ナウ」(1970年)がチャート入りを果たした時、メンバーの平均年齢は20歳で、その枯淡で老成した音楽との対比で彼等の若さにも注目が集まった。

前期

1968年、ポール・ロジャース(ボーカル)、ポール・コゾフ(ギター)、アンディ・フレイザー(ベース・ギター)、サイモン・カーク(ドラムス)により結成された。

アルバム『ファイアー・アンド・ウォーター』(1970年)に収録された「オール・ライト・ナウ」は、彼等にとって最大のシングル・ヒット曲であり、ロック・クラシックになった。1970年8月末に開かれた第3回ワイト島音楽祭に出演[注釈 1]

1971年4月に初の来日公演を行なったが、同年に解散。メンバー各人は独自の活動に入った。1972年、コゾフとカークは、元ミッキー・カーチス・アンド・サムライ山内テツ(ベース・ギター)、アメリカ人のラビット(キーボード)と、コゾフ・カーク・テツ・ラビット名義のアルバム『コゾフ/カーク/テツ/ラビット』を発表した。

後期

1972年に入ると、『コゾフ/カーク/テツ/ラビット』が好評を博したことと、重度のドラッグ摂取癖に陥ったコゾフを救おうという意図のもとにオリジナル・メンバーで再結成。彼等はアルバム『フリー・アット・ラスト』を制作したが、まもなくフレイザーが脱退したので山内を後任に迎えた。しかしコゾフは活動に支障をきたして離脱。残ったロジャーズ、カーク、山内はラビットを迎えて、ロジャースがギタリストを兼任。彼等は7月に2度目の来日を果たし、22日に後楽園球場、24日に甲子園球場エマーソン・レイク・アンド・パーマーとのジョイント・コンサートの第一部を務めた。

10月、コゾフ[注釈 2]を含むメンバーは新作アルバムの制作を開始し、翌1973年1月にアルバム『ハートブレイカー』を発表。シングル「Wishing Well」[2]は全英チャート7位(Music Week)を記録した。しかしアルバム発表後にアメリカ・ツアーを行なった後、彼等は自然消滅のような形で解散した。

その後

ロジャースとカークはバッド・カンパニーを結成。

コゾフはフリーのメンバー全員の協力を得て、1973年11月にソロ・アルバム『バック・ストリート・クロウラー(Back Street Crawler)』を発表。さらに新メンバーを集めアルバムと同名のバンド「バック・ストリート・クローラー」を始動させたが、1976年に心不全で死去。享年25歳。

フレイザーはスニップス[注釈 3](ボーカル)、クリス・スペディング(ギター)、マーティ・サイモン(ドラムス)とシャークスを結成したが、デビュー・アルバム『ファースト・ウォーター』(1973年)発表の後に脱退。その後、アンディ・フレイザー・バンドを結成。2015年、病没。

山内はフェイセズに加入。ラビットは本名のJohn Bundrickで様々な音楽活動を行なった[注釈 4]


注釈

  1. ^ 最終日の8月30日に出演。ドキュメンタリー映画Message to Love: The Isle of Wight Festival 1970に、「オール・ライト・ナウ」の演奏場面が収録された。
  2. ^ a b 1972年のフレイザー脱退と同時期に正式メンバーから外れ、以降はゲスト参加扱いとする見方も存在する。だが、サイモン・カークは『ハートブレイカー』レコーディング時を回想して「コゾフの体調を見計らってレコーディングしていたがなかなか進まず、やむなくサポート・ギタリストを迎えて手早く録音を終えた後に、もうコゾフとは一緒にやれないなと思った」と語っており(『レコードコレクターズ』2010年5月号「ブリティッシュロックの肖像」)、少なくとも『ハートブレイカー』録音時までは、バンド側はコゾフを正式メンバーと考えていたと思われる。
  3. ^ 後にベイカー・ガーヴィッツ・アーミーに加入。
  4. ^ 特にザ・フーピート・タウンゼントのツアー・メンバーとして知られる。
  5. ^ 1974年に発表したデビュー・アルバムをはじめ、1982年までに発表したアルバムの幾つかが、アメリカでプラチナ・ディスクに認定された。
  6. ^ オシビサのオリジナル・ギタリスト。『ハートブレイカー』発表後のフリー最後のツアーに参加した。

出典



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