トリプルDES トリプルDESの概要

トリプルDES

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/23 13:18 UTC 版)

Triple Data Encryption Algorithm
一般
初版発行日 1998 (ANS X9.52)
派生元 DES
暗号詳細
鍵長 168, 112 or 56 bits (Keying option 1, 2, 3 respectively)
ブロック長 64 bits
構造 Feistel構造
ラウンド数 48
最良の暗号解読
Lucks: 232 known plaintexts, 2113 operations including 290 DES encryptions, 288 memory; Biham: find one of 228 target keys with a handful of chosen plaintexts per key and 284 encryptions
3DES

概要

平文を単にDESで3回暗号化するのではなく、暗号化→復号→暗号化の順に施す暗号アルゴリズムである。

C = encryptk3(decryptk2(encryptk1(P)))

ただし

P ... 平文
C ... 暗号文
ki ... 鍵 #i
encrypt, decrypt ... DES

このの選択について3つのオプションが存在する。

Keying option 1
k1, k2, k3 すべてが異なる場合。
3 × 56 = 168ビットの鍵長となるが、既知の攻撃法が存在するため実質的な暗号強度は112ビット程度となる[1]。3TDEA、3-key 3DES などと呼ばれる。
Keying option 2
k1 と k2 が異なり、k3 = k1 の場合。
2 × 56 = 112ビットの鍵長となるが、既知の攻撃法が存在するため実質的な暗号強度はせいぜい80ビットとされる[1]中間一致攻撃への耐性があるため、単純にDESで2回暗号化するよりは安全である。2TDEA、2-key 3DES などと呼ばれる。
Keying option 3
k1 = k2 = k3の場合。
DESと同じであり、56ビットの鍵長を持つ。このオプションにより、トリプルDESはDESに対して上位互換性を持つ(DESによって暗号化された文章をトリプルDESで復号できる。)

理論

3つの鍵{k1,k2,k3}を使うトリプルDES (-EEE) が、1つの鍵k4でDESを行う場合よりも安全性が向上するかが問題となる。ここで任意の{k1、k2、k3}について

C1 = DES<k3>( DES<k2>( DES<k1>( P ) ) )
C2 = DES<k4>( P )

とすると、全てのPについてC1 == C2となるk4が存在するならば、トリプルDES (-EEE) の鍵空間はDESと同じであり、安全性は向上しないことになる。この問題について、任意の{k1,k2}に対して、DES<k2>( DES<k1>( * ) ) == DES<k3>( * ) となるk3は存在しないことが証明され、DESを多段にすることで鍵空間は拡大できることが示された[2]。つまり、DESはをなさない。

安全性

一般的にトリプルDESでは3つの異なる鍵 (Keying option 1) を用いて168ビットの鍵長を持っているが、中間一致攻撃により安全性は112ビット相当となる。2つの異なる鍵 (Keying option 2) を用いる場合は112ビットの鍵長を持っているが、選択平文攻撃または既知平文攻撃により安全性はせいぜい80ビット相当とされる。112ビットであっても総当たりには相当なコンピュータパワーが必要となるが、年々の性能向上を考慮し、アメリカ国立標準技術研究所は2023年末をもって全てのアプリケーションで廃止するとしている[3]




「トリプルDES」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「トリプルDES」の関連用語

トリプルDESのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



トリプルDESのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのトリプルDES (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS