スーパーマリオくん (沢田ユキオの漫画)
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スーパーマリオブラザーズ2(わんぱっくコミック)
『マリオくん』の前身にあたる作品。徳間書店『わんぱっくコミック』1986年8月号から、第2部に相当する『スーパーマリオブラザーズ3』を含めると休刊(廃刊)号の1989年1月号まで連載された。
単行本は3巻まで発行されたが、現在全て絶版。第4巻の刊行が予定されていたが、『わんぱっくコミック』休刊に伴い発行されなかった。『マリオ2』は完結し、クッパとの決着は『マリオ3』に持ち越されたが、開始直後に『わんぱっくコミック』休刊に伴い未完となった。
なお、『マリオくん』の連載が開始されるまでは、この『マリオ2』が沢田にとっての最長連載作品かつ最大巻数を発行した作品だった。
概要
開始前の基本的なストーリーはオリジナルの『スーパーマリオブラザーズ2』に準拠しているが、ピーチ姫がクッパにさらわれる過程が異なる(マリオはクッパを倒したが、ピーチ姫をキノコ王国に連れ帰るのを忘れた)。
『わんぱっくコミック』はファミコンゲームを題材にした漫画作品を数多く掲載していた漫画雑誌である。沢田も『マリオ2』連載前は主に『魔界村』や『影の伝説』などを題材としたショートギャグ漫画を執筆していたが、『マリオ2』は同誌では最初にして最後の連載作品である。マリオやクッパ自体それらの作品でゲストや背景キャラクターとして登場していた。
基本的に「『2』になってパワーアップした」という設定のクリボーやノコノコらザコキャラクターとのギャグを交えた対決がメインの本格的なバトル漫画である。画風やギャグに関しては『マリオくん』と同一だが、『マリオくん』と異なり、シリアスなシーンも多く、敵キャラクターとの対決シーンは、より「命懸けの真剣勝負」であることが強調され、それに伴い暴力や死の描写が明確にされている。
『マリオシリーズ』を含め、当時のゲームの大半は公式設定と呼ばれるものがなく、設定資料と言えるものはプレイ画面・取扱説明書・パッケージイラスト程度で、版権に関してもゲーム業界そのものが大らか(というより無関心)だったことから、コミカライズの際ストーリーや詳細な設定は執筆者に委ねられる例がほとんどだったが、『わんぱっく』版『マリオ2』においても作者独自の解釈による設定が存在する。この作品に登場するオリジナルキャラクターやアイテムは、あくまでもこの作品のオリジナル設定であり、任天堂公式設定ではない。しかし、オリジナルキャラクターやアイテムの中には「赤ちゃんマリオ」(『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』)、「亀の魔法使い」(カメック)、「潜水艦」(『スーパーマリオランド』)、「巨大化した雑魚キャラクター」(カメック)、「空を飛ぶマント」(『スーパーマリオワールド』)、「戦うピーチ姫」(『スーパープリンセスピーチ』)など、『マリオくん』は元より、後のマリオシリーズに登場する要素がゲームより先に登場している。
『マリオくん』ではギャグキャラクターとなっているクッパも、不要と判断した部下を平然と粛清したりするなど、終始一貫して悪役として描写されている。また、クッパが2度にわたってピーチをさらった理由も「幼いころに恋心を抱いていた『メロン』という女性にピーチがそっくりだから」という全く独自の解釈が入っている。この他、最終決戦は原作ゲームにおいて「二人のクッパ」が登場することを意識した展開となる。クリボーも、本作においては「元キノコ王国兵士」という設定が存分に活かされ、終盤でカメ軍団を裏切って(正確にはキノコ王国の兵士に戻って)マリオに加勢し、本作オリジナルの変身能力も備わり、最終決戦まで同行する。
初期の『マリオくん』で、クッパがピーチ姫のために拵えた婚約指輪をめぐるやり取りは、この作品が初出である。他にも、『マリオくん』に流用されたシーン(「アホには効かない」「ホラー穴」などのギャグ)やキャラクターが多い。
コミックス化の際、描き下ろし作品が新たに描き加えられ、1巻の巻末にはクイズ漫画、2巻巻末にはゲームブック形式の漫画が付録として掲載された。3巻の巻末には連載当時、小学館の学習誌『学習幼稚園』に連載されていたピーチ姫を主人公としたショートギャグ漫画『ミラクルピーチ』が掲載された。
登場人物(マリオ2)
- マリオ
- 主人公。当作品においてもギャグキャラとして描かれ、主にボケを担当する。
- 『マリオくん』と比べると正義感が強い熱血漢。ジュゲムとの戦いで死亡したかに思われたが、どこからともなく飛来した大量のキノコによってルイージと合体し「ミラクルマリオ」として復活。それ以前では現地調達が主であったアイテムを召喚する能力を得る。
- ルイージ
- マリオの相棒にして双子の弟。主にツッコミを担当する。
- マリオより頭が良く機転が利き、マリオのピンチにはアイテムを持って駆けつけるなど逆転の要因となることがある。ジュゲム戦にてマリオと合体し、本人は鞄のような形状となったが、役割はそれ以前と変わらない。『マリオ2』終盤で元の姿に戻る。
- 当時のイメージイラストと同じく、水色の帽子とオーバーオールに緑色のシャツで描かれている。
- ピーチ姫
- 本作のヒロイン。クッパに誘拐されてしまう。前述のように誘拐された理由は「想い人のメロンにそっくりだったから」というもの。クッパ以外にもジュゲムに惚れられたりしていた。
- ゲーム中のグラフィックや当時のイメージイラストとは違い、茶髪になっている。
- メロン
- クッパの想い人にして、魔法使いとしての師にあたる人物。クッパ曰く、メロンと過ごしたのは1000年以上前の思い出であったことから、すでに故人であると思われたが、単行本未収録の『マリオ2』終盤で存命中であったことが明かされ、マリオに悪に染まったクッパを救ってほしいと懇願する。
- キノピオ
- ピーチ姫の侍女。原典とは異なり、城内に囚われているのではなく、他のキノコ王国の住人と同じく道端のキノコに変えられていた。魔法が使えるのか、プクプクの策略により悪魔に憑依され凶暴化したマリオを回復させたり、巨大な盾に変身する能力を有する。
- クッパ
- 本作の黒幕。『マリオくん』とは異なり、腹心であろうとも「当てになんかしていない」と切り捨てたり、役立たずと判断した部下は迷わず粛正するなど冷酷かつ残酷な面が強調されるが、秘書であるノコノコとの漫才めいたやり取りではツッコミ役である。本作ではかなりの長命で、本人曰く1000年から2000年ほど生きている。クッパがピーチ姫を執拗に狙うのは、クッパにとって初恋の人でもあったメロンとよく似ているからである。
- にせクッパ
- 『マリオ2』のラスボス。クッパ城に突入したマリオが後述する魔法使いカメカメにより一旦キノコ王国へ飛ばされている間に何処かへと去ったクッパに替わり登場したクッパの影武者。原典における最終ステージに2体登場するクッパの1体目、通称「青クッパ」に相当するキャラクターで、外観はクッパと寸分違わないが、額に黒子がある。
- クリボー
- クッパからの最初の刺客として登場、関西弁で話す。当初は敵だったが改心し一旦キノコ王国へ帰国するものの、途中でマリオたちに合流し、最終決戦まで同行する。『マリオ2』になってパワーアップしたという設定で、ルイージに匹敵するジャンプ力と、「クリボーファイヤー」なる火炎による必殺技や変身能力を持つ。同行後は、クッパ軍団の情報を提供するなど、多くの場面でマリオの勝利に貢献する。『マリオ3』では、活動を再開したクッパの魔力によってパタクリボーに変化し、再び敵対する。
- ノコノコ
- クッパ軍団の戦闘員で複数存在する。作中で主に登場するのはクッパの秘書兼ボケ役だが、その他、前述のクリボーと同じく変身能力をもったノコノコが複数存在する。
- メカノコノコ
- クリボーに続き登場した刺客。厳密にはカメ型飛行メカに変身したノコノコではあるが。再度登場時には文字通りメカ(サイボーグ)に改造された姿で登場する。その他、クッパ軍団の精鋭部隊として、翼とジェットエンジンを搭載した飛行型メカノコノコが登場する。
- ゲッソー
- 原典と同じく陸上で活動しているイカ。マリオとの対決に敗れた上、その醜態を写真週刊誌に撮られたのをプクプクよりクッパに密告され、クッパから粛清対象となる。海中にてマリオと再戦中、クッパが処刑人として差し向けたお化けサンゴに横槍を入れられる。マリオブラザーズに助けられたことで友情が芽生え、改心したゲッソーは「今度生まれ変わったら親友になろうぜ」と涙を流し、お化けサンゴと相打ちとなり爆死した。息子ゲッチューによれば復活しリハビリ中とのことであったが、再登場することはなかった。
- ゲッチュー
- ゲッソーの息子で、ゲッソーとは父子関係にある。マリオ一行がクッパ城突入の際、増援として登場。飛行能力がある。マリオ一行がクッパ城突入するのを見届け地上に落下し、以降は登場しない。
- プクプク
- 飛行能力がある魚。ゲッソーの醜態をクッパに密告したのと、刺客として登場する2個体が登場するが、同一の個体か不明。共に語尾に「ある」が付く。刺客として登場した個体は超能力者という設定。ゲッソーの最期を見届けた際は「バカ、アホ、マヌケ」と罵るが、しっかりと涙を流していた。
- お化けサンゴ
- 水中面にあるサンゴを基にしたオリジナルキャラクター。あまりにも狂暴であったため、クッパですら自身の戦力に取り入れるのを見送ったほどの怪物。真っ二つにされても瞬時に再生する驚異的な再生能力を持つ。
- ハンマーブロス兄弟
- 明晰な頭脳に裏打ちされた兵器開発能力を持つ兄と、兄が開発した改造ハンマーを使いこなす弟のコンビで登場。高い戦闘能力を持つ弟に対して、技術者肌で温和な兄であったが、弟がマリオに敗れ、殺されたと思い込み、自ら設計した戦闘ロボ「ハンマーロボ」を操りマリオとルイージに挑む。戦い末の兄弟共に和解に至り、スーパースターによりいずこかへ運ばれる。『マリオ3』にて再び敵対するが、1人のみの登場で、兄か弟か、同一人物かも不明。
- キラー親子
- 砲台の父と息子のキラーが登場。父の砲台はすでに引退しているのか、刺客として登場せず、マリオに対してグレた息子であるキラーを更生させてほしいと持ち掛ける。
- 砲台とキラーが家族という設定は『マリオくん』においても引き継がれている。こちらでは新キャラであるマグナムキラーが母親になっている。
- ドクター・カメリア
- クッパの側近にして天才科学者。改造メットやマリオを模した戦闘ロボット「マリオロボ」を繰り出しマリオ一行に挑むも、いずれも敗退。孫のジュゲムが敗れたことでクッパに進退を問われるが、カメリア自ら機械化し「メカリア」として戦いを挑む。
- 手足をロケットのように飛ばしてマリオたちを痛めつけたが、手足を失って戦闘不能となる。それを見たクッパから失望され、ジャイアントパックンフラワーを送り込まれる。
- 一方的に打ち倒されて最後まで諦めないマリオたちを見て孫と共に加勢し、ジャイアントパックンフラワーを倒した。その後、クッパの居場所を伝えようとするが空から飛んできた包帯にグルグル巻きにされ、口を封じられてしまった。
- ジュゲム
- クッパの部下ではなく、ドクター・カメリアの孫として登場。原典と同様雲に乗っているが、この雲は多彩な兵器を搭載した飛行メカで、カメリアが最高傑作と自負している。
- ピーチ姫に一目惚れし、カメリアから「マリオを倒せばピーチ姫をやる」と耳打ちされ出撃。当初は優位に戦い、一旦は勝利するものの、直後に「ミラクルマリオ」として復活したマリオの力に押され、切札の巨大トゲゾーを失いピンチになったところへ祖父が駆け、戦いは一時中断となった。カメリアの敗北後はマリオたちの味方となるが、クッパが放った包帯によって口をグルグル巻きにされ、祖父と共に戦闘不能となった。
- マリオロボ
- ドクター・カメリアが開発したマリオそっくりのロボット。マリオのファンであるキノコの兄弟を痛めつけ「信じていたマリオから酷いことをされた」と悲しませた。マリオとの対決では圧倒するもマリオが繰り出すギャグの連発により機体が自爆し敗北する。
- なお、「クッパ軍団」が操るマリオの偽物が悪事を働いたせいで本物が誤解を受ける」という展開は、『スーパーマリオサンシャイン』にて描かれている。
- ジャイアントパックンフラワー
- クッパが送り込んだ巨大なパックンフラワー。圧倒的な強さでマリオ達を追い詰め、マリオ達に加勢したカメリアとジュゲムを丸呑みにしてしまう。しかし体内でレーシングカー形態に変身したカメリアに内部から破壊され敗北した。
- 『マリオくん』1巻にもピーパックンの強化形態として登場しており、マリオとヨッシーの合体攻撃で口内を貫かれ倒されている。容姿や戦い方などはほとんど変わっていない。
- カメカメ
- クッパ直属の魔法使い。ファミコン野郎が悔しがる魔法「リセット」を発動させ、マリオ一行をクッパ城からキノコ王国へ戻してしまう。
- ^ 『スーパーマリオくん 傑作選』「あとがきにかえて」より。
- ^ ニンテンドーキッズスペース みんな知ってる!?スーパーマリオくん、任天堂、2016年10月20日更新。
- 1 スーパーマリオくん (沢田ユキオの漫画)とは
- 2 スーパーマリオくん (沢田ユキオの漫画)の概要
- 3 概要
- 4 題材となった主なゲーム
- 5 スーパーマリオブラザーズ2(わんぱっくコミック)
- 6 外部リンク
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