サンアントニオ・スパーズ チーム・スタイル

サンアントニオ・スパーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/06 14:22 UTC 版)

チーム・スタイル

ティム・ダンカントニー・パーカーマヌ・ジノビリビッグスリーはもちろん、現在のロースターの内、多くがNBAでスパーズ以外のチームに在籍したことのないプレーヤーであり、一度チームに馴染むと離れ難くなる魅力を持っているかのように感じられるチームである。グレッグ・ポポヴィッチ、ダンカンの人柄によるところも大きいが、チーム運営方針にもフランチャイズを大切に扱う姿勢が感じられる。スパーズといえば、ジャージの色だけでなくプレーも兎に角、堅実地味でプロスポーツらしからぬとの声もあるが、安定度は群を抜いており、2015年現在、シーズン50勝以上の記録を16年続けている。ロックアウトのあった1998年も勝率では60勝以上に相当し、これを含めて、プレーオフに18年連続で進出している。10年以上継続したチームは他にロサンゼルス・レイカーズの12年、ダラス・マーベリックスの11年のみである[101]。堅実な努力の重要性をメンバーに浸透させるためにポポヴィッチはジェイコブ・リースの以下の名言を引用している[102]。ハンマーで岩を叩き割った図柄が優勝を勝ち取った証として、チャンピオンリングにレイアウトされている[103]

パウンディング・ザ・ロック(Pounding the Rock):「救いがないと感じたときには、私は石切工が岩石を叩くのを見に行く。おそらく100回叩いても亀裂さえできないだろう。しかしそれでも100と1回目で真っ二つに割れることもある。私は知っている。その最後の一打により岩石は割れたのではなく、それ以前に叩いたすべてによることを。」(“When nothing seems to help, I go look at a stonecutter hammering away at his rock, perhaps a hundred times without as much as a crack showing in it. Yet at the hundred and first blow it will split in two, and I know it was not that blow that did it, but all that had gone before.”) — ジェイコブ・リース(Jacob Riis)、[102]

プレー・スタイル

1983年にフリー(蚤)エージェントで入団し、現在も活躍しているザ・コヨーテ 背番号は2! 2007年マスコット栄誉の殿堂入り
  • 20年連続で相手チームの得点を100以下に抑えており、NBA史上最高の記録であるように、執拗で強固なディフェンスを基盤にしている。チームプレーやディフェンスの出来ない選手は、たとえスタープレーヤーでも許さない体質があり、スパーズに馴染むには年単位で、時間がかかると、在籍したリチャード・ジェファーソンも語っている。オフェンスではダンカンを中心にしたハーフコートオフェンスを主体とした緻密な組み立てと、その中へジノビリの予測できないプレー、パーカーのペネトレート、トランジションオフェンス、グリーン・ボナーなど長距離シューターのスリーポイントを織り交ぜ、相手チームを翻弄するゲームメークが特徴である。パス数の多さも特徴で有る。
  • 最近では、ラン&ガン・オフェンスに近い形のトランジションオフェンスも取り入れられて来ており、チームの平均総得点が高い傾向にあるが、逆にトランジションディフェンスに綻びが出る場合もあり、苦戦することがある。
  • 3ポイントシューター、スクリーンプレーヤー、などロールプレーヤーを使い分けすることも特徴である。
  • ポポヴィッチが無用なダンクシュートを嫌うことから必要なとき以外にダンクをする選手が少なく、地味過ぎると言われる所以となっている。従ってアリウープダンクなどは滅多に見ることが出来ない。

主なディフェンスプレー

  • かつてのブルース・ボウエンに代表されるような優秀なペリメーター・ディフェンダーを相手の得点源に張り付け、ディナイ・ディフェンスでボール保持を困難にする。
  • ボールを保持したオフェンスをディフェンスに有利なサイドを開けて追い込み、ダブルチームあるいはダンカンに代表される長身ディフェンダーがカバーディフェンスし、ショットを難しいもの(タフショット)にする。
  • 近年、3ポイントでの得点が重要度を増しているが、スパーズディフェンスでは、比較的確率の高くなる両コーナーからのアテンプトを出来るだけ少なくするよう対応している[104]。従って、相手チームの3ポイントはアーチ側で放たれる場合が多くなる。
  • ファウルを極力しない形でのディフェンスを行う[105]が、時としてドワイト・ハワードアンドレ・ドラモンドデアンドレ・ジョーダンなどフリースローを不得意としている選手にはハックをかけることがあり、かつてはシャキール・オニールに対してこの戦法を用いていた。
  • 相手によって、マンツーマン(ガード、フォワード)とゾーン(センター)を併用したディフェンス体系を用いることも多い。

主なオフェンスプレー

ビッグ・スリー

  • ダンカンのアイソレーションからのバンクショットはあまりにも有名である。また、バスケットを背にし、ディフェンダーをペイントエリアへ押し込みながらターンしてのショットを放つ事も多い。
  • パーカーは、ペリメーター近辺でピックアンドロールし、カバーディフェンスが遅れた場合には、ドリブルペネトレイトからループ(ティアードロップ)ショットを放つ。ペイントエリア外で急にストップしミドルショットを放つことも多い。
  • ジノビリは、3ポイントライン直ぐ後ろでパスを受け、ポンプフェイク、クロスオーバーフェイクを織り交ぜ、ディフェンダーの反応を見て、3ポイントショットを放つ、クロスオーバーで抜き去る、を自在に使い分けるプレーを見せる。必要に応じて、ダンクに持ち込むこともあれば、ユーロステップでディフェンダーを翻弄しサーカスショットを決める場合もある。

ハンマー・セット

スパーズのセットオフェンスの代表的なプレーに、ハンマー・セット[106][107]がある。ストロングサイド(ボール保持側)のヘルプディフェンスを重視するチームに対し、ウィークサイドのコーナーに、シューター(ハンマー)をセットし、そこへパスを送り、3ポインターを決めるプレーの総称で、成功した際には、TV中継ではアナウンサーが“BANG!”とハンマーを叩いた擬音を発する場合がある。

  • アイソレーションしてボールを保持した選手の脇をすり抜けボールを受取り、エンドライン側からペイントエリアにペネトレイトしシュートに持ち込むか、カバーが集まった場合は、3ポイントシューターにキックアウトする。
  • ペリメーター近辺でピックし、ロールしたプレーヤーがフリースローサークル近辺でパスを受けワイドオープンの場合ミドルショットを放つ(ピック・アンド・ポップ)。カバーが来た場合は、コーナーで待つ選手へパスを送るか、その選手がペイントエリアにカットインしそこへパスを送る。更にそこからワイドオープンの3ポイントシューターにパスが送られる。(ハンマー・プレー)
  • 3ポイントラインから離れた位置でスクリーナーが来るのを待ち、ピックした瞬間に、バスケットに向かってペネトレイトし、カバーディフェンスをペイントエリアへ集め、ボールを3ポイントライン近辺にいるストレッチ・フォーにキックアウトし、3ポイントショットを放つ。または、そこを基点に、サイドコーナーで待つ3ポイントシューターにパスを出す。ブルース・ボウエン、ダニー・グリーンに代表されるディフェンスで運動量が多く優れた3ポイントシューターがコーナーマンとして、コーナーの3ポイントライン外でパスを待つ場合が多い。(ハンマー・セット)







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