コデイン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/18 15:50 UTC 版)
作用機序
コデインそのものはμ-オピオイド受容体に弱い親和力を示す。主要な鎮痛作用はμ-オピオイド受容体へのモルヒネの親和性による。しかし他の作用または副作用は他のオピオイド受容体への作用による。
モルヒネと極めて類似した化学構造と薬理作用を有するが、モルヒネに比べ作用は弱い。力価は、鎮痛作用は1⁄6、鎮静・催眠作用は約1⁄4、呼吸抑制作用も1⁄4程度とされている。反面、鎮咳作用量でモルヒネに比べ便秘、悪心・嘔吐等の副作用が少なく、依存性形成も弱いので、主として鎮咳の目的に使用される。
代謝と作用機序
主として肝代謝酵素UGT2B7、UGT2B4及び一部CYP3A4、CYP2D6で代謝される[1]。
コデインはプロドラッグであり、グルクロン酸抱合及びO-脱メチル化された代謝産物のみが薬効薬理を発揮する。代謝産物の約10%がモルヒネとなり、鎮痛力価はモルヒネの半分にも満たないとされる。
体内でコデインから生成したモルヒネがグルクロン酸抱合を受けてできるmorphine-6-glucuronide(以降M-6-Gとする)がモルヒネと共にオピオイド受容体に作用し、下降性疼痛を抑制することで鎮痛作用の主体を担っている。一方、グルクロン酸抱合によってコデインはcodeine-6-glucuronide(以降C-6-G)に代謝される。C-6-Gは全代謝の約80%を占めるが、μ受容体への結合が弱く、鎮痛には関与していないとされる。しかし一部鎮痛に関与しているとの報告もある。N-脱メチル化されたコデインは、ノルコデインになり、最後はノルモルヒネに代謝される。
論理的には30mgのモルヒネ(経口)と同じ鎮痛作用を期待するには、約200mgのコデイン(経口)の投与が必要である[5]。
- ^ a b c d e f g h i j 医療用医薬品 : リン酸コデイン KEGG: Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes
- ^ 大竹弘哲、長嶋和明、田中聡一、疼痛の緩和ケアにリン酸コデインを用いた筋萎縮性側策硬化症の一例 北関東医学 2007年 57巻 1号 p.49-52, doi:10.2974/kmj.57.49
- ^ 加藤佳子、山川真由美、長岡由姫 ほか、慢性疼痛に対する長期モルヒネ治療 日本ペインクリニック学会誌 2005年 12巻 1号 p.25-28, doi:10.11321/jjspc1994.12.25
- ^ Smith, Susan M; Schroeder, Knut; Fahey, Tom; Smith, Susan M (2014). “Over-the-counter (OTC) medications for acute cough in children and adults in community settings”. Cochrane Database Syst Re: CD001831. doi:10.1002/14651858.CD001831.pub5. PMID 25420096.
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- ^ 石川正憲、鈴木利人、堀孝文 ほか、「リン酸コデイン長期内服離脱時,著しい抑うつ状態を呈した1例」 精神医学 38巻12号 (1996年12月)p.1293-1296, doi:10.11477/mf.1405904229 (有料閲覧)
- ^ Gideon Koren、James Cairns、David Chitayat、Andrea Gaedigk、Steven J Leeder (2006-08) "Pharmacogenetics of morphine poisoning in a breastfed neonate of a codeine-prescribed mother"
- ^ 清水万紀子、乳児と母親のコデイン毒性を予測する遺伝子マーカー ファルマシア 2013年 49巻 4号 p.339, doi:10.14894/faruawpsj.49.4_339
- ^ “【薬食審】乱用防止へ販売数量制限‐一般薬配合7成分を指定”. 薬事日報. (2014年2月17日) 2015年9月29日閲覧。
- ^ コデインリン酸塩水和物又はジヒドロコデインリン酸塩を含む医薬品の「使用上の注意」改訂の周知について(依頼)厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課(2017年7月4日)2018年6月9日閲覧
- ^ “コデイン”. 麻薬・覚せい剤乱用防止センター. 1998年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月19日閲覧。
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