イオン化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/05 02:20 UTC 版)
概要
イオン化過程の一例をあげると、ある中性原子が電子(1個あるいは数個の価電子)を放出して、別の中性原子がこれを受け取る、電子の移動が起きる。電子を受け取った原子は負電荷に帯電して陰イオンとなり、電子を放出した方は正電荷に帯電して陽イオンとなる。このとき、ふたつのイオンが得た電荷量は、移動した電子の持つ電荷量(電気素量の整数倍)に等しく、符号は逆となり、和はゼロになる。
原子が電子を放出するには、原子核がクーロン力によって電子を電子軌道に束縛している力に匹敵するエネルギーが必要で、これをイオン化エネルギーと呼ぶ。 電子は光子を吸収したり、原子同士の衝突によりエネルギーを受け取って励起され、イオン化エネルギーを超えると軌道を離れて別の原子の軌道へ移動する。移動先の原子の電子軌道に入った電子は、励起エネルギー分のエネルギーを放出して安定化する。
イオン化のしやすさ
溶液中でのイオン化傾向は、元素によってイオン化のしやすさに差があることを示している。原子の電子構造により安定化の度合いが異なるので、励起に必要なイオン化エネルギーの値や、電子を受けとる際の安定化エネルギーである電子親和力の値は、元素の種類やイオン化の進行状況の違いによってそれぞれ異なるエネルギー値をとる。
原子は、電子配置が閉殻(最外殻が満員)やオクテット(最外殻が8個)のとき最も安定する(化学反応しにくくなる)。中性原子でこれに該当するのが不活性元素であり、通常原子がイオン化する際に放出または受け取る電子の数は、イオンとなることでこの安定した配置を成立させられる数である(典型元素の場合)
例えば、アルカリ金属は陽イオンになりやすく、イオン化エネルギーも小さいが、これは不活性元素より電子が1つ多いため、+1価のイオンとなった方が安定するためである。反対にハロゲンやカルコゲンは陰イオンになりやすいが、これも不活性元素より電子が僅かに少ないことによる。
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