アリス (不思議の国のアリス) 容姿

アリス (不思議の国のアリス)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/06 00:14 UTC 版)

容姿

『地下の国のアリス』より、キャロル自身が描いたアリス

アリスの容姿はキャロルの文中では具体的な描写はほとんどないが、手書き本『地下の国のアリス』に付けられたキャロル自身による挿絵では、ウェーブがかかった長い黒髪の少女として描かれている。これはキャロルが愛好していたダンテ・ゲイブリエル・ロセッティアーサー・ヒューズら、ラファエル前派の画家たちが描く女性像の影響を受けたものと考えられる[17]。物語が『不思議の国のアリス』として出版された際に付けられたジョン・テニエルの挿絵では、アリスは長い金髪の少女であり、前髪を額のところで切りそろえたおかっぱ頭の実在のアリス・リデルとはまったく異なる姿で描かれている。アリス・リデルの息子キャリル・ハーグリーブスが書き留めたアリス・リデルの回想によれば、キャロルとテニエルは何度も相談を重ねた結果、アリスの姿はアリス・リデルに似せないことに決めたらしい[18]

金髪で額を出したこのアリスの姿は、テニエルがキャロルの推薦をうけてメアリー・ヒルトン・パドコックという少女の写真をモデルにしたものとしばしば言われてきたが、しかしキャロルが彼女の写真を購入した時点ですでに12点の挿絵が完成していたことや、のちにキャロル自身がテニエルがアリスを描く際にモデルを使わなかったことを嘆いていることなどから考えて、あまり信憑性はないと考えられる[19]。マイケル・ハンチャーは『アリスとテニエル』(1990年)にて、テニエルが描いたアリスに原型があるとすればそれはキャロルが『地下の国のアリス』に描いたラファエル前派風のアリスであり、その名残はウェーブがかった髪や、常にやや不機嫌に見えるその表情に見ることができると指摘している[17]

テニエル以降の後世の挿絵画家は、1907年にはじめて実在のアリス・リデルをもとにしておかっぱ頭のアリスを描いたチャールズ・ロビンソン、1920年代に当時の米国の流行であるボビィ・ソクサーの姿でアリスを描いたウィリー・ポガニーをはじめ、作家の個性や時代背景を反映したさまざまなイメージでアリスを捉えている[20]







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