CTDドメインのリン酸化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/13 07:55 UTC 版)
「RNAポリメラーゼII」の記事における「CTDドメインのリン酸化」の解説
RNAポリメラーゼIIは非リン酸化状態(IIA)とリン酸化状態(IIO)の2状態で存在する。2状態間の転換によって、転写の異なる機能が促進される。CTDのリン酸化は6つの基本転写因子のうち1つ、TFIIH(英語版)によって触媒される。TFIIHの機能の1つは転写開始部位のDNAの巻き戻しであり、もう1つはリン酸化である。転写開始前複合体に加わるのはIIA型のRNAポリメラーゼIIであり、このことは基本転写因子TFIID(英語版)のサブユニットTBP(TATA結合タンパク質)に対し、IIA型はIIO型よりも高い親和性で結合することから示唆される。IIO型はRNA鎖の伸長を促進する。伸長の開始はTFIIHを介したリピート配列の5番目のセリン残基(Ser5)のリン酸化によって行われる。新たにリン酸化されたSer5は新生RNA鎖の5'末端へキャップを付加する酵素や3'末端のポリ(A)化部位のプロセシングを行う因子をリクルートする。リピート配列の2番目のセリン残基(Ser2)がリン酸化されると、伸長反応が活性化される。伸長を終結させるためには、脱リン酸化が起こる必要がある。CTDが完全に脱リン酸化されると、RNAポリメラーゼIIは「リサイクル」され、他の転写開始部位で同様の過程を触媒する。
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