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刀工

(鍛人 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/22 03:05 UTC 版)

刀工(とうこう)は、刀剣、特に日本刀を作る職人のことである。鍛冶の技術を用いる事から、鍛人(かぬち)、鍛師(かなち)、刀鍛冶(かたなかじ)、刀匠(とうしょう)、刀師(かたなし)などとも呼ばれる。統括団体である一般社団法人『全日本刀匠会』では、会名である刀匠と刀鍛冶を使用している[1]。本ページでは刀工に統一する。


注釈

  1. ^ 刀工群・刀工集団は同一鍛刀地の刀工を指し、刀派・流派はそれに加えて同一鍛刀地の刀工の技術・特徴も含む呼び方である。
  2. ^ 簡単な梵字などは刀鍛冶が行う場合も多いが、特に彫刻が装飾化した江戸時代以降の刀で、明らかに上手なものは専門の彫師の手によるものであることが多い。これの代表的な例が、越前康継製作の刀剣であり、康継の彫りある刀剣のほとんどは記内一門によるものである。しかし、刀鍛冶に比べて身分が低かったのか、刀の銘に誰が彫ったかなどの銘が記されていることは少ない。江戸時代以降の刀工で自身の刀に彫刻を施す者は少なく、専門の彫師より上手くないことが多い。ただ、例外があって江戸時代の刀工でも埋忠明寿堀川国広長曽祢虎徹一竿子忠綱、栗原信秀、月山貞一などは極めて上手い彫刻を自身の刀に施す。また、彫師は所有者の好みなどで元々彫刻の無い刀に後彫りすることもある。
  3. ^ 日本書紀』巻二神代下第九段一書第二に「高皇産靈尊、大物主神に勅す(中略)天目一箇神、爲作金者」とある[7]
  4. ^ 『日本書紀』巻四、冬十一月の条「倭鍛部天津真浦造真鏃」とある[9]
  5. ^ 『日本書紀』巻六、三十九年冬十月条に「五十瓊敷命居於茅渟菟砥川上宮作劔一千口因名其劒謂川上部」とある[10]
  6. ^ 古事記』品陀和氣命(応神天皇)に「和邇吉師者、文首等祖又貢上手人韓鍛、名卓素、亦呉服西素二人也」とある[11]
  7. ^ 吉貞の長男、初代平四朗吉政を筆頭に信国重包、信国吉包が有名、筑前信国派の刀は、金筋交え美しく、出来栄え極めて良い。黒田武士好みの刀が多く無骨かつ重量感あふれる作品が多く、見るものを圧倒する出来栄えである。平四朗吉政は同名で四代有り、現存のほとんどの平四朗吉政は、二代以降の物であり、まれに見る初代平四朗吉政の作品は、すばらしい出来である。筑州住源信国平四朗吉政作、源信国平四朗吉政などの銘がある。)
  8. ^ 左安秀:左安国:左安近:左安広あり刀、短刀などの作が多く実見できる。

脚注

  1. ^ a b c d e 刀鍛冶になりたい方へ | 全日本刀匠会”. www.tousyoukai.jp. 2022年7月22日閲覧。
  2. ^ 松枝達文『岡山県大百科事典』山陽新聞社、1980年。 NCID BN01086619 (昭和55年)
  3. ^ 得能一男『日本刀事典』光芸出版、2003年。ISBN 4769401167NCID BA63136408 (平成15年)
  4. ^ 歴史群像編集部『「図解」日本刀事典 : 刀・拵から刀工・名刀まで刀剣用語徹底網羅!!』学習研究社、2006年。ISBN 9784054032767NCID BA80201390 
  5. ^ 常石英明『日本刀の鑑定と鑑賞』金園社〈実用百科選書〉、1967年。 NCID BN13329048 など
  6. ^ 歴史人 September 2020. pp.64-65. ASIN B08DGRWN98
  7. ^ 国立国会図書館近代デジタルライブラリーより。「神代下第九段一書第二」『日本書紀巻ニ』 1巻〈国史大系〉。 
  8. ^ 国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」より。「天岩戸」『古事記』 7巻、上巻〈国史大系〉。 
  9. ^ 国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」より。「冬十一月」『日本書紀 巻四』 1巻〈国史大系〉。 
  10. ^ 国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」より。「三十九年冬十月」『日本書紀 巻六』 1巻〈国史大系〉。 
  11. ^ 国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」より。「応神天皇」『古事記』 7巻〈国史大系〉。 
  12. ^ 国立国会図書館 古典籍資料(貴重書等)-重要文化財より。銘尽』(写)、1423年、15頁。doi:10.11501/1288371https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12883712018年4月23日閲覧 
  13. ^ 備中国水田住国重倉敷刀剣美術館
  14. ^ 国重お源(読み)くにしげ おげんコトバンク
  15. ^ 女国重『郷土先哲後月の人人』 後月郡教育会、昭和19
  16. ^ 尾關善兵衛永富、富田亀邱『校正古今鍛冶銘早見出』2号(復刻)、博省堂〈日本刀古書復刻叢書〉、1944年。 NCID BA42643736https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10691792018年4月23日閲覧 
  17. ^ 清水不濁 [編]「高橋貞次短刀銘」、美術倶楽部出版部、1958年。 
  18. ^ 本間順治 [監修]、佐藤貫一 [監修]「刀身の彫刻 高橋貞次」『日本刀のできるまで』 7巻、徳間書店〈日本刀全集〉、1966年、43-58頁。 
  19. ^ 宮入行平 [出演]; 岩波映画製作所 [製作]; 記録映画保存センター『日本刀 ―宮入行平のわざ―』(35mmフィルム; 短編; id=iw-02166; 35分)文化庁、1976年。 
  20. ^ 刀匠:宮入行平 [出演]; 研ぎ師:小野光敬 [出演]; 記録映画保存センター[企画・協力]; 岩波映画製作所 [製作]; 伊藤惣一 [解説]『日本刀 ―宮入行平のわざ The Japanese sword : the art of Miyairi Yukihira』(DVD 1枚 (35分); カラー; ステレオ; スタンダード; 音声: 日,英)クエスト、2011年。ISBN 978-4-86308-351-6 
  21. ^ 月山貞一『日本刀に生きる』刀剣春秋新聞社、1973年。 
  22. ^ 岡田譲ほか [編]『月山貞一 日本刀.米光光正 肥後象嵌・透』 30巻、講談社〈人間国宝シリーズ〉、1981年。 
  23. ^ 白山市立松任博物館 [編集]『国宝の輝き : 日本刀の美と名匠の技 : 平成二十年度白山市立松任博物館開館二十周年記念展・故隅谷正峯刀匠没後十年回顧展』白山市立松任博物館、2008年。 
  24. ^ 隅谷正峯「製鉄原料と古代刀の地金 古代刀に必要な地金」『季刊考古学』第8号、雄山閣、1984年8月、57-58頁。 
  25. ^ 小笠原信夫 [東京国立博物館名誉会員] (2013年6月). “重要無形文化財「日本刀」保持者 天田昭次氏”. 文化庁月報 (文化庁) (537). https://www.bunka.go.jp/pr/publish/bunkachou_geppou/2013_06/series_06/series_06.html 2018年4月23日閲覧。. 
  26. ^ 菊谷匡祐「人間国宝「匠の世界」刀匠大隅俊平--鋼と火の祭司」『プレジデント』第38巻第8号、プレジデント社 、2000年5月15日、122-127頁。 
  27. ^ a b 刀鍛冶になりたいと思っている人は、まずこの頁を読んでみて下さい”. www.eonet.ne.jp. 真鍋純平. 2022年7月22日閲覧。
  28. ^ a b “刀剣ブーム”の裏で深刻な刀匠の後継者不足 「二次元」とのコラボで活路 - ORICON NEWS
  29. ^ a b 後継者育成木炭及び玉鋼支援事業の募集について | 全日本刀匠会”. www.tousyoukai.jp. 2022年7月22日閲覧。
  30. ^ 日本刀の鍛刀技術を継承する日本製鋼所 - 三井広報委員会
  31. ^ 瑞泉鍛刀所 室蘭ものづくり
  32. ^ 谷川健一『鍛冶屋の母』思索社、1979年。 NCID BN03791156 


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