詩を書く少年
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/08 07:31 UTC 版)
『詩を書く少年』(しをかくしょうねん)は、三島由紀夫の短編小説。三島の自伝的作品である[1]。詩の天才と自認し、詩作の幸福に酩酊していた少年が、或る親しい先輩の恋愛の告白の中からその滑稽さと、自らの無意識のナルシシズムを発見し自意識に目ざめる物語[2]。詩作に耽溺していた15歳の頃の自分を、30歳を前にした三島が冷静に顧みた私小説的作品で、少年(三島)が詩人にならずに小説家になったその転機と、三島文学全体にわたる一つの主題を考察する上で、重要な手がかりとなる作品である[3]。なお、作中に登場する文芸部の先輩Rのモデルは、三島の学習院時代の先輩であった坊城俊民である[4][5]。
- ^ a b c 「おくがき」(『詩を書く少年』角川小説新書、1956年6月)。29巻 2003, pp. 221–222に所収
- ^ a b c d 「あとがき」(『三島由紀夫短篇全集・5』講談社、1965年7月)。33巻 2003, pp. 411–414に所収
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 佐藤秀明「〈現実が許容しない詩〉と三島由紀夫の小説」(論集II 2001, pp. 1–22)
- ^ a b c 「『詩を書く少年』のころ」(坊城 1971)
- ^ a b c 田中美代子「詩を書く少年」(事典 2000, pp. 185–187)
- ^ 井上隆史「作品目録――昭和29年」(42巻 2005, pp. 403–406)
- ^ a b c 田中美代子「解題――詩を書く少年」(19巻 & 2002-06, pp. 788–790)
- ^ a b 山中剛史「著書目録――目次」(42巻 2005, pp. 540–561)
- ^ 高橋重臣「詩を書く少年」(旧事典 1976, p. 177)
- ^ 久保田裕子「三島由紀夫翻訳書目」(事典 2000, pp. 695–729)
- ^ 「坊城俊民宛ての書簡」(昭和45年11月19日付)。38巻 2004, pp. 875–876
- ^ a b c 「解説」(『花ざかりの森・憂国――自選短編集』新潮文庫、1968年9月)。花・憂国 1992, pp. 281–286、35巻 2003, pp. 172–176に所収
- ^ a b 野島秀勝「『拒まれた者』の美学―三島由紀夫論」(群像 1959年2月号)。野島秀勝『「日本回帰」のドン・キホーテたち』(冬樹社、1971年)に所収。論集II 2001, p. 5
- ^ 神西清「ナルシシスムの運命」(文學界 1952年3月号)。群像18 1990に所収。論集II 2001, p. 5
- ^ a b 高橋和幸「三島由紀夫の初期世界の考察―小説家の誕生と中世」(私学研修 第151・152合併号、1999年2月)。論集II 2001, p. 6
- ^ 『小説家の休暇』(講談社、1955年11月)。28巻 2003, pp. 553–656に所収
- 1 詩を書く少年とは
- 2 詩を書く少年の概要
- 3 あらすじ
- 4 登場人物
- 5 脚注
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