般舟三昧経
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/10 09:07 UTC 版)
『般舟三昧経』(はんじゅざんまいきょう、梵: pratyutpannabuddha-saṃmukhāvasthita-samādhi-sūtra、略してpratyutpanna-samādhi-sūtra)は、大乗仏教の経典。サンスクリット本は散逸していて存在そのものが未定である。チベット語訳と数種の漢訳経典が現存する。紀元前後に成立した最初期の大乗仏典のひとつであり、浄土経典の先駆と考えられる。精神統一によって仏の姿を現前に見ることを説く。
注釈
- ^ 支婁迦讖訳では阿弥陀仏の極楽浄土は梵語スカーヴァティー(sukhāvatī)の俗語形を音写して「須摩提」と表記される。
- ^ 西暦179年の支婁迦讖訳『般舟三昧経』が現存する最古の例である。西暦148年にはすでに安世高が『無量寿経』を漢訳したとも伝えられるが、欠本となっており現存しない。
- ^ 最初期の浄土経典である支謙訳『大阿弥陀経』(『無量寿経』の異本のひとつ)との関連が指摘される。
- ^ 「念仏を用うるが故に空三昧を得る」、「この三昧を証すれば空定なること知る」「解を以て空を見る者は一切想念無し」などの句がある。
- ^ 最初期の般若経典であり、『般舟三昧経』と同時期に漢訳された支婁迦讖訳『道行般若経』(『八千頌般若経』/『小品般若経』の異本のひとつ)との関連が指摘される。
出典
- ^ 平川 彰 「大乗経典の成立」『東洋学術研究』(106)、1984年、109-123頁。
- ^ 梯 信暁 「インドの浄土教」『大谷女子大学紀要』(31)、1996年、20-45頁。
- ^ 清野 宏道 「道元禅師の見仏思想」『駒沢大学仏教学部研究紀要』(72)、2014年、87-111頁
- ^ 幡谷 明 「親鸞教学と般舟三昧思想(上)」『大谷学報』(59)、1979年、1-11頁。
- ^ 河波 昌 『形相と空』春風社、2003年、26-32頁。
- ^ 望月 信亨 『国訳一切経 印度撰述部 大集部 第4巻 大集月蔵経/般舟三昧経』 大東出版社、1934年、255-258頁。
- ^ 香川 孝雄 「般舟三昧経における浄土教思想」『仏教大学研究紀要』(35)、1958年、100-117頁。
- ^ 藤田宏達 『原始浄土思想の研究』 岩波書店、1970年、229頁。
- ^ 斉藤 隆信 「善導所釈の三念願力」『佛教大學大學院紀要』(23)、1995年、1-28頁。
- ^ Restoration and publication of Ancient Gandhari Buddhist Texts, The University of Sydney, (2019)
- ^ 榮 明忍 「龍樹の般舟三昧考」『印度學佛教學研究』(50)、2002年、698-700頁。
- ^ 土屋 松栄 「浄土教思想の諸問題(IV)」『印度學佛教學研究』(41)、1993年、1008-1006頁。
- 1 般舟三昧経とは
- 2 般舟三昧経の概要
- 3 参考文献
- 般舟三昧経のページへのリンク