美術デザイナー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 07:28 UTC 版)
美術デザイナー(びじゅつデザイナー)は、美術全般のデザインを施す表現者であり統括的職能である。美術監督(びじゅつかんとく)とも呼ぶ。 欧米の映画制作の場合、中規模以上の映画作品ではデザインや図面を描くプロダクション・デザイナー(production designer)と美術監督(art director)は別々になっていることが多いが、低予算作品ではプロダクション・デザイナーを美術監督が兼務することが多い。日本の映画制作ではこれらの区別はなく通常は美術監督のみを置いている。 美術デザイナー・美術監督は、装置(セット)のデザインを描いて設計し、ロケーション撮影の場合でも、装置・装飾を行うのでそのデザインを描く。装置部・背景部、あるいは装飾部は、このデザイン画・設計図をもとに装置を組み立て、背景を描き、装飾物を用意、セッティングを行う。美術デザイナー・美術監督は、撮影技師(撮影監督)、照明技師、録音技師、編集技師、スクリプターとともにメインスタッフを構成する。 美術デザイナーが、日本映画において「美術」としてクレジットされるようになったのは、1918年(大正7年)ころの日活向島撮影所での革新映画のムーヴメントによる。美術デザイナーの草分けである亀原嘉明は、1922年(大正11年)、田中栄三監督の『京屋襟店』のセット撮影において、グラスステージいっぱいに呉服店のセットを築いた。 元来、美術デザイナーは美術課の美術係員であり、現在、映画製作会社映像京都の代表を務める西岡善信や、内藤昭らはかつて大映京都撮影所ではこの美術係に属した。 映画・テレビの美術デザイナー、美術監督の職能団体は、1939年(昭和14年)に前身の日本映画美術監督協会が設立された日本映画・テレビ美術監督協会である。 美術助手(びじゅつじょしゅ)は、美術デザイナーの助手である。欧米の映画制作では美術監督とともに作業の手配や予算管理を担当するコーディネーター(Art Department Coordinator)が置かれることもある。
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