筒鳥の空にも水の音がせり
作 者 | |
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季 節 | 夏 |
出 典 | |
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評 言 | 第一句集『木の國』に収められた句。 筒鳥は郭公によく似た鳥で、東アジアからシベリアにかけて分布する渡り鳥。日本には春の終わりごろ飛来し秋に去る。繁殖期のオスの「ポポポポ・ポン・ポン」という鳴き声が筒を引き抜くような響きであり、名はここに由来する。この声を聴きながら空を見上げ、水の音を感じたのだ。 大和に生まれた作者は四囲の山々を見て育ち、南に重なる山々の彼方「紀の国」に憧れてきたという。南方より渡ってくる筒鳥の声に新宮の海の音を感じていたのかもしれない。 『木の國』は学生時代から40歳までの句が収められている。句集名は憧れて止まない「紀の国」への思いからであり、いずれ「鬼の国」へ彷徨いたいとの思いからであるという。 一昨年刊行の最新句集『薬喰』から二句、 夜の火は近くに見えて山桜 のどぐろが出る鮟鱇の福袋 いずれ「鬼の国」へ彷徨いたいとの思いは続いているのだろうか。 茨木和生氏は高校時代の1956年、創刊したばかりの「運河」に入会し右城暮石に師事。「運河」の「運河集」選者となり。1990年、暮石から「運河」主宰を継承し現在に至る。 写真提供:十文字の野鳥探索 |
評 者 | |
備 考 |
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