片利片害の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/03 02:00 UTC 版)
詳細は「進化的軍拡競走」を参照 片利片害の共進化の典型例は捕食-被食関係である。一般には草食動物は逃げ足が速く、より周囲に敏感になるのに対して、捕食者はそれを捕まえられる能力が優れてゆくものと考えられる。いわば軍拡競争のような状況が生まれる。ただ、捕食者と被食者は1対1に対応していない場合が多いので、明確な対応関係は取りにくい。 しかし、たとえば海洋の孤島など、捕食者のいない環境での小型動物の無警戒な様子は、逆に一般的な環境で、小型動物が如何に警戒しつつ生活しているかを示すものと言えよう。そのような地域へ捕食者を持ち込めば、あっという間に食べ尽くされる例も、普通の場所での被食者がいかに生き延びることに優れた能力を持っているかを示している。 北アメリカのジュウシチネンゼミは、17年(13年のものもある)に一度しか成虫が姿を見せないが、このような現象の説明として、かつてこれに寄生した天敵があったが、生活史を無理に長くすることでついてこられなくしたのだ、との説がある。もしそうであれば、共進化の結果、遂に被食者が勝ち残った姿ということもできる。 他の明確な例は動物の免疫系と細菌やウイルスなどの寄生者である。免疫系は細菌やウイルスなどの寄生者を排除するよう選択圧を受けるが、ウイルスや細菌は免疫系を破壊するか回避するような選択圧を受ける。
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