泉 (デュシャン)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/31 09:06 UTC 版)
French: Fontaine English: Fountain | |
作者 | マルセル・デュシャン |
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製作年 | 1917年 |
『泉』(いずみ、Fontaine)または『噴水』は、1917年に制作されたレディメイドの芸術作品であり、磁器の男性用小便器を横に倒し、"R.Mutt"という署名をしたものに「Fountain(噴水/泉)」というタイトルを付けたものである[1]。
マルセル・デュシャンの作とされていたが、近年の研究では、本作を含む多くのデュシャン作品は、ドイツの前衛でダダイストの芸術家・詩人の女性、エルザ・フォン・フライターク=ローリングホーフェン(Elsa von Freytag-Loringhoven)が制作したとされている[2][3][4]
概要
デュシャンは本作を1917年にニューヨークで開催された独立芸術家協会 (Society of Independent Artists) の「ニューヨーク・アンデパンダン」展に出品しようとした。デュシャンはアンデパンダン展の委員であり、出品料を支払えば無審査で誰でも出品できる規則であったにもかかわらず、協会はこの作品の出品を許可しなかった[5]。この決定を不服として同展覧会の実行委員長を辞任[6]。その後この作品は行方不明である[6][7]。
「噴水/泉」は、社会学者のピーター・バーガーのようなアバンギャルドの研究家からは20世紀を代表する作品とみなされており、少なくとも17点のレプリカが存在する。この作品は「芸術の概念や制度自体を問い直す作品として、現代アートの出発点」[8]であり、従来の伝統的な彫刻形式をはみ出した造形作品としての"オブジェ"の認識は本作から始まったとされる[9]。
一方で「噴水/泉」が「現代アートの出発点」ではないという意見もある。例えば「芸術と価値」などの著書で知られるアメリカの美学者、芸術哲学者であるジョージ・ディッキーは、デュシャンらが初めて制度自体を問い直したのではないと発言をしている。「デュシャンとその仲間がはじめて、芸術の身分の授与という振る舞いを発明したといいたいのではない。実際にも、彼らはただ、これまで存在していた制度的な装置をふつうとは異なったやり方で利用したにすぎない。アートワールドはそもそもはじめから存在した以上、デュシャンがそれを発明したわけではないのである」。一方で「デュシャンのレディメイドは芸術作品としてさほど価値はないかもしれないが」、「芸術理論にとってきわめて重要なものである」と、その必要性は認めている [10]。
所蔵
世界の主要美術館が所蔵する《泉》のほとんどは、デュシャン研究家でミラノの画商であったアルトゥーロ・シュヴァルツが1964年に再制作したレディ・メイドである[11]。
- 1/8 サンフランシスコ, サンフランシスコ近代美術館 (1998年~)
- 2/8 ロンドン, テート・モダン (1999年~)
- 3/8 オタワ, カナダ国立美術館 (1971年~)
- 4/8 Bel Air, CA, Collection privée (2002年~)
- 5/8 アテネ, Dimitri Daskalopoulos Collection(1999年~)
- 6/8 京都, 京都国立近代美術館 (1987年~).
- 7/8 パリ, マイヨール美術館, Fondation Dina Vierny (date et modalités d’acquisition inconnues).
- 8/8 ブルーミントン, Indiana University Art Museum (1971年~)
脚注・出典
- ^ “An Overview of the Seventeen Known Versions of Fountain” (2007年). 2016年2月24日閲覧。
- ^ #現代美術史│p=21,22
- ^ “artsy Elsa von Freytag-Loringhoven, the Dada Baroness Who Invented the Readymade(レディメイドを発明したエルザ・フォン・フライターク=ローリングホーフェン)”. 2019年10月18日閲覧。
- ^ “nrc De leugen van Marcel Duchamp(マルセル・デュシャンの嘘) ”. 2021年11月29日閲覧。
- ^ “「ニューヨーク・アンデパンダン」展”. artscape.jp. DNP(大日本印刷). 2016年2月24日閲覧。
- ^ a b 平芳幸浩「謎の男マルセル・デュシャン」『芸術新潮』第56巻第2号、新潮社、2005年2月1日、30頁。
- ^ 椹木野衣 (2018年6月2日). “書評 『百年の《泉》 便器が芸術になるとき』 平芳幸浩+京都国立近代美術館〈編”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 朝刊 23面
- ^ 筧奈菜子『めくるめく現代アート イラストで楽しむ世界の作家とキーワード』フィルムアート社、2016年、p.13。
- ^ “オブジェとは”. コトバンク. 2021年4月29日閲覧。
- ^ ジョージ・ディッキー(著)、今井晋 (翻訳)『分析美学基本論文集│芸術とは何かー制度的分析』勁草書房、2015年8月28日、445ページ(p46)頁。ISBN 4326800569。
- ^ 平芳幸浩 他『百年の《泉》』LIXIL出版、2018年、P.119頁。
「泉 (デュシャン)」の例文・使い方・用例・文例
- 泉からこんこんと水が湧き出ている
- その川はその村の小さな泉を源とする
- 泉は枯れてしまった
- 小さな小川が泉から流れ出ている
- 源泉徴収された所得
- 温泉
- 我々は山で小さな泉を見つけた
- 百科事典は知識の泉である
- 彼がその後ゆっくり温泉に入った
- 彼がゆっくり温泉で汗を流す
- ここは市内や山田温泉などの観光・旅行に便利だ
- 塩泉は大地に文化の華を咲かせる
- 彼が温泉でゆっくり日頃の疲れを癒す
- 彼が温泉にゆっくりと漬かった
- 二泊三日の温泉旅行を計画した
- 温泉でゆっくり体を温めます
- 温泉も楽しめますよ。
- 水着は着ません。私たちのほとんどは温泉では、人前で裸になることを気にしません。その方がお互いを身近に感じます。
- 温泉のお湯は肌をなめらかにし、腰痛をやわらげてくれます。
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