本陣殺人事件とは? わかりやすく解説

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ほんじんさつじんじけん〔ホンヂンサツジンジケン〕【本陣殺人事件】


本陣殺人事件

作者横溝正史

収載図書横溝正史自選集 1 本陣殺人事件/蝶々殺人事件
出版社出版芸術社
刊行年月2006.12


本陣殺人事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/16 23:21 UTC 版)

本陣殺人事件』(ほんじんさつじんじけん)は、横溝正史の長編推理小説で、「金田一耕助シリーズ」の第1作である。1946年昭和21年)4月から同年12月まで『宝石』誌上に連載された。降り積もった雪で囲まれた日本家屋での密室殺人を描く。雑誌連載時の挿絵は松野一夫による。


注釈

  1. ^ a b 作者の戦後最初に発表した作品は、1945年10月に『講談雑誌』に掲載された朝顔金太捕物聞書帳の「孟宗竹」だが、執筆時期は戦中であったと見られている。戦後に書かれた作品で最も発表が早かったのは『講談雑誌』1946年2月号に掲載された『人形佐七捕物文庫』の短編「銀の簪」だったが、横溝自身の記憶によれば戦後最初に執筆したのは探偵小説「神楽太夫」(『週刊河北』1946年3月)で、1945年の秋には脱稿していたという[12]。ただし、いずれの作品も単発掲載で連載長篇ではなく、戦後の長篇第1作は本作である。
  2. ^ 『週刊河北』1946年3月掲載。
  3. ^ 『別冊宝島 僕たちの好きな金田一耕助』に、「写真の丘にはかつて『本陣』のモデルになった屋敷が存在した」と紹介されている写真と、ほぼ同じ構図で撮影されている[8]
  4. ^ 「末裔」といっても単に子孫というだけで、本陣に由来する家業を継承しているわけではない。「本陣殺人事件」というタイトルから舞台となった一柳家の屋敷自体が本陣に由来すると誤解されがちである(そういう設定に変更した映像作品もある)が、本陣の面影を写しているという設定にはなっているものの、本陣そのものではない。一柳家は川―村で本陣を世襲していたが、明治維新の混乱期に近くの岡―村へ移り、農地買収を進めて蓄財し屋敷を構えたという設定である。そのため、川―村の旧家の末裔ではあるが、岡―村においては「成り上がり」とみなされている。
  5. ^ 静かな田舎にいたことは非常にプラスだったと述べている[10]
  6. ^ 同じ復員学生の中に上野の音楽学校の学生・石川惇一青年がおり、この青年は『蝶々殺人事件』のトリック、アイディアを提供した。
  7. ^ 作中の「岡山一中琴の怪談」である。
  8. ^ 岡田村の南にある川辺村が昔の街道筋で本陣があった。本陣の末裔が隣村で資産家として屋敷を構えているという状況は、本作の一柳家の設定にそのまま引き継がれている。
  9. ^ 当時あった、在京の探偵作家ならびに探偵小説の愛好家からなる集会。
  10. ^ 『「本陣殺人事件」を評す』『宝石』第2巻第2号に掲載。小林信彦編『横溝正史読本』(角川書店)にも収録されている。
  11. ^ 本作品とほぼ同時に発表された『蝶々殺人事件』を傑作と評する坂口安吾は、「『蝶々』をおさえて『本陣』に授賞した探偵作家クラブの愚挙は歴史に残るものであろう」と批判している[14][15]
  12. ^ 1位から5位までの作品は、1.『獄門島』、2.本作品、3.『犬神家の一族』、4.『悪魔の手毬唄』、5.『八つ墓村』。
  13. ^ 1位は『獄門島』。他の横溝作品では、『悪魔の手毬唄』が42位、『八つ墓村』が44位、『蝶々殺人事件』が69位に選出されている。
  14. ^ 1位は『獄門島』。他の横溝作品では、『犬神家の一族』が39位、『八つ墓村』が57位、『悪魔の手毬唄』が75位に選出されている。
  15. ^ 原作本が角川書店から出版されていたため、まだ映画を手掛ける前の角川春樹が本作の試写会を見に来た。当時社長だった角川は宣伝協力費として50万円出資し、文庫化していた原作シリーズを映画公開に併せて「横溝正史フェア」としてタイアップを行い、本作はATGとして初めて配収1億円を突破した。また角川は、中尾彬が演じるジーパン姿の金田一を見て、原作の御釜帽子と草臥れた袴の良さを再認識し[17]、これが翌1976年の映画進出第一作『犬神家の一族』に繋がる。また本作の音楽を担当していた高林の盟友・大林宣彦と角川がこの試写会で初めて会い、後の最多タッグに繋がった[18]

出典

  1. ^ 『金田一耕助のモノローグ』(横溝正史著・角川文庫、1993年)69ページ参照。
  2. ^ a b 真説 金田一耕助』(横溝正史著・角川文庫、1979年)88ページ参照。
  3. ^ 『探偵小説五十年』(横溝正史著・講談社、1972年)202 - 203ページおよび『横溝正史読本』(小林信彦編・角川文庫、2008年改版)60ページ参照。
  4. ^ 『金田一耕助さん・あなたの推理は間違いだらけ!』(青年書館)。
  5. ^ 『横溝正史読本』(小林信彦編・角川文庫、2008年改版)63ページ参照。
  6. ^ 宝島社『別冊宝島 僕たちの好きな金田一耕助』 金田一耕助登場全77作品 完全解説「3.獄門島」参照。
  7. ^ a b 横溝正史 著、日下三蔵 編『横溝正史ミステリ短編コレクション6 空蝉処女』柏書房株式会社、2018年6月5日、452頁。"付録 (10) 「空蝉処女」に寄せて 横溝孝子"。 
  8. ^ 宝島社『別冊宝島 僕たちの好きな金田一耕助』 金田一耕助登場全77作品 完全解説「金田一耕助のふるさと 岡山をゆく」p.13参照。
  9. ^ 『金田一耕助のモノローグ』(横溝正史著・角川文庫、1993年)8 - 19ページ参照。
  10. ^ 角川文庫版『横溝正史読本』。
  11. ^ 『本格探偵小説への転機』「『本陣殺人事件』の前後」より(『問題小説』昭和48年8月)。
  12. ^ 『金田一耕助のモノローグ』(横溝正史著・角川文庫、1993年)55ページ参照。
  13. ^ 『本陣殺人事件』あとがき(昭和22年2月、「岡山県の片田舎桜の寓居にて」)。『新版横溝正史全集18 探偵小説昔話』(講談社)にも収録されている。
  14. ^ 坂口安吾『推理小説論』「新潮」1950年4月号。
  15. ^ 坂口安吾「『蝶々殺人事件』について」(推理小説論)、小林信彦編『横溝正史読本』(角川文庫)2008年改版247 - 248ページ。
  16. ^ 坂口安吾「『蝶々殺人事件』について」(推理小説論)、小林信彦編『横溝正史読本』(角川文庫)2008年改版247ページ。
  17. ^ 『最後の角川春樹』、2021年11月発行、伊藤彰彦毎日新聞出版、P98。
  18. ^ 『大林宣彦の映画談議大全《転校生》読本 ジョン・ウェインも、阪東妻三郎も、… 1980-2008 a movie』角川グループパブリッシング、2008年、336頁。ISBN 978-4-04-621169-9 




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