寡戦
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寡戦(かせん)とは、小勢にて大勢と戦うことをいう[1]。「寡(か)」は「少ない」の意[2]で、『孫子』にも「衆・寡(多い兵、少ない兵)」の意で用いられる他、『孟子』においても、「寡は衆に敵せず(少ない者は多い者には敵わず)」と記される。これは春秋戦国時代がライバル国多数が前提であり、小軍で一度勝てたとしても、疲れ切ったところを別の敵国軍に襲われて国が滅びれば、結果的には負けであるための思想である[3](ゆえに『孫子』では寡戦は説かない[4]。後述)。
- ^ 上泉信綱伝『訓閲集』巻四「戦法」の項より。
- ^ 『広辞苑』第六版岩波書店にも「寡兵」として記載が見られる。
- ^ 守屋淳 『最高の戦略教科書 孫子』 15刷2016年 p.30.
- ^ 一例として、元寇の際、元軍は『孫子』を引用し、寡戦を避け、撤退した記述が『高麗史』にはみられる(詳細は神風も参照)。
- ^ 『闘戦経』 2011年 p.119.
- ^ 『闘戦経』 2011年 p.157.
- ^ 上泉信綱伝『訓閲集』 p.130.
- ^ 守屋淳 『最高の戦略教科書 孫子』 p.67.
- ^ 守屋淳 『最高の戦略教科書 孫子』 pp.34 - 36.
- ^ 『甲陽軍鑑』では信玄の発言として、「戦いは40歳以前は勝つように、40歳からは負けないようにすることだ」とあり、「風林火山」の旗をかかげた信玄が孫子兵法を実践していたことがわかる。
- ^ 守屋淳 『最高の戦略教科書 孫子』 p.88.
- ^ 「虚実篇」の「我は専にして、一となり、敵は分かれて十となれば、これ十を以って、その一を攻むるなり」。
- ^ 守屋淳 『最高の戦略教科書 孫子』 p.163.「虚実篇」に「人を形せしめて我に形なければ、則ち我は専にして、敵は分かる(相手にはこちらの情報がないので分散する)」。
- ^ 中里介山 『日本武術神妙記』 角川ソフィア文庫 2017年 ISBN 978-4-04-400141-4 p.54.
- ^ 伊藤潤 板嶋恒明 『北条氏康 関東に王道楽土を築いた男』 PHP新書 2017年 ISBN 978-4-569-83676-8 p.114.
- ^ 佐藤寒山編 『日本の美術 6号 刀剣』 至文堂 1966年 p.63.
- ^ 水戸計 『江戸の大誤解』 彩図社 2016年 ISBN 978-4-8013-0194-8 p.124.
- ^ 『軍師日本史人物列伝』 日本文芸社 2013年 ISBN 978-4-537-12261-9 p.8.
- ^ 本郷和人 『軍事の日本史 鎌倉・南北朝・室町・戦国時代のリアル』 朝日新書 2018年 ISBN 978-4-02-273799-1 p.70.
- ^ 磯田道史 『日本史の内幕 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで』 中公新書 10版2018年(初版2017年) ISBN 978-4-12-102455-8 p.186.
- ^ 半藤一利 『歴史に「何を」学ぶのか』 ちくまプリマー新書 2017年 ISBN 978-4-480-68987-0 p.145.
- ^ 本郷和人 『軍事の日本史 鎌倉・南北朝・室町・戦国時代のリアル』 朝日新書 2018年 p.198.
- ^ 朝日新聞 2018年8月19日 日曜日付け(記事「文化・文芸」 高久潤)。
- ^ 鈴木旭 『面白いほどよくわかる 戦国史』 日本文芸社 2004年 p.148.
- ^ 『歴史人 8 No.68』 KKベストセラーズ 2016年 p.31.
- ^ 鈴木旭 『面白いほどよくわかる 戦国史』 p.208.
- ^ 陳舜臣 『中国の歴史 (三)』 講談社文庫 11刷1997年(1刷1990年) ISBN 4-06-184784-8 p.465.
- ^ 守屋淳 『孫子 最高の戦略教科書』 pp.204 - 205.
- ^ 陳舜臣 『中国の歴史 (三)』 p.465.
- ^ クリストファー・ロイド 訳・野中香方子『137億年の物語 宇宙が始まってから今日までの全歴史』文芸春秋、18刷2014年、p.357.
- ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「泗川の戦い」
- ^ 乃至政彦 『戦国の陣形』 講談社現代新書 2016年 ISBN 978-4-06-288351-1 pp.77 - 78.中世前半は領主別による「軍勢」であって、兵種別による「軍隊」ではなかったため、強い統制権が生じなかった。
- ^ 乃至政彦 『戦国の陣形』 p.100.
- ^ 松嶋憲昭 『気象で見直す日本史の合戦』 洋泉社 2018年 ISBN 978-4-8003-1439-0 p.155.
- ^ 『淮南子』には「兵強ければ、則(すなわ)ち滅ぶ」(軍隊が強いと国家が滅ぶ)という考え方が記されている。
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