国鉄9600形蒸気機関車とは? わかりやすく解説

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国鉄9600形蒸気機関車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/09 21:12 UTC 版)

国鉄9600形蒸気機関車(こくてつ9600がたじょうききかんしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)の前身である鉄道院1913年大正2年)から製造した、日本で初めての本格的な国産貨物列車牽引用のテンダー式蒸気機関車で、誕生当時の正式名は「鉄道院第九六00號形式機関車」であった[1]。「キューロク」、「クンロク」あるいは「山親爺」と愛称され、四国を除く日本全国で長く使用された。国鉄において最後まで稼動した蒸気機関車ともなった、長命な形式である。


注釈

  1. ^ 製造当初は49インチ(1,245 mm)
  2. ^ メートル法移行による動輪外径の改定に伴い形式図の通り3 mm 扛上した2,594 mm となった。
  3. ^ その後の量産機では運転台窓が二枚独立から引き違い式の一体型へと変化している。
  4. ^ 高木宏之は著書『国鉄蒸気機関車史』(2015年 ネコ・パブリッシング)p.24で「検修時にクォータリング・マシン(左右のクランクピン部を90度の位相角で同時に削正する専用工作機械)が使用できず、現場は不便をしいられた」と記し、長期生産によって設計変更の機会が幾度もあったのに9600形が左先行クランクで放置された無策ぶりを批判している。
  5. ^ 国鉄の技術者であった久保田博は、自著において「一般形式のクランクが右先行であるのに、9600は設計時の誤りで左先行であったため、クランク角度測定専用機を使えなかったのは厄介であった。従ってクランク作業は余分な注意を払ったが、一度、クランクピン取替時に返クランク<ママ>の取付部を一般形式並に施工を誤って、再度作り直すのに夜遅くまで残業したこともあった。」と著している。 [2]
  6. ^ 高木は『国鉄蒸気機関車史』の、9600形の左先行クランク放置に対する批判的見解のくだりで、「承認者の朝倉は『(中略)武士道機関車である』とひとり悦に入り(中略)改めようとしなかった」と記す。
  7. ^ 石炭集結列車は貨物の密度が高く一般雑貨列車に対してトン当り走行抵抗が小さいことが判明、ために牽引定数を大きくすることとなった。
  8. ^ 後にD50形単機で2400t列車を運転、戦後にはD51形単機で3000tの試験が行われ、2400t列車が設定された。
  9. ^ 臼井茂信は鉄道ファン誌(機関車の系譜図 落穂集・1979年7月号)への寄稿の中で、これら4両の消息については同年に供出されたC50形 (1 - 5) の動きと絡めて、改軌せずに海南島に送られたと推定している。しかし、北京市の中国鉄道博物館に保存されている KD5-373(標準軌) の第4動輪の車軸に 9659 の刻印が残っているため、供出の時点で改軌されて直接大陸に送られた可能性が高い[要出典]
  10. ^ 供出機は住山式給水加熱器装備車が優先的に出されているが、これは住山式加熱器が載る炭水車が長軸であり、標準軌改造に即応可能だったためである[4]
  11. ^ 改造で誕生した60台形式はどれも余剰車の有効活用に重きが置かれたもので、9600形など老朽化した蒸機の代替要素も含んでいた。軽軸重のD形テンダー機は、余剰となったD50形の従台車を2軸に換え、軸重を軽減したD60形で賄われたが、機関車単体で20トン以上重くなったうえに横圧も強く、入線にあたり多くの路線で軌道のタイプレート補強を課されるなどの制約も多かった。その後のD61形は、ベースとなったD51の需要が高く余剰機がほとんど出なかったことから、わずか6両で計画そのものが中止されている。
  12. ^ この用途で唯一の新設計となったC58形も、旅客機と貨物機の中庸を狙ったあまり、やや非力で、重量列車や入換で無理の利く本形式を置き換えるには至らなかった。
  13. ^ 結果的に、改造機では適切な代替機種が誕生しなかったことや、低規格線区に合わせた小柄で強力な蒸気機関車の新規開発は全く行われなかったことで、ディーゼル機関車DE10形登場まで、大正生まれの本形式が蒸気機関車運用末期まで使用された。もっとも本機でも空転する急勾配ローカル線も存在し、そのような線区には「絶対に空転しない機関車」といわれていた兄弟機の8620形蒸気機関車が配備された。

出典

  1. ^ a b 『蒸気機関車』(キネマ旬報社)1974年7月号 伊藤東作
  2. ^ 久保田博『懐想の蒸気機関車』p.34
  3. ^ おのつよし『日本の鉄道100ものがたり』文藝春秋文春文庫 1991年5月10日 pp.97 - 100
  4. ^ 国鉄蒸気機関車史、ネコ・パブリッシング刊、髙木宏之著、p.24
  5. ^ 9643輸送作戦
  6. ^ SL「キュウロク」ニセコに移設 サッポロビール園から - 北海道新聞どうしん電子版2017年6月5日
  7. ^ さいたま市の39685号機が解体へ”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2016年9月11日). 2016年9月12日閲覧。
  8. ^ 一般競争入札の実施について(公告) (PDF) - 魚沼市入札公告(2022年5月27日)2022年8月11日閲覧
  9. ^ 来年度に牛島公園移設 城址公園の蒸気機関車 在来線・新幹線と「共演」 - 北日本新聞、2019年9月13日
  10. ^ 蒸気機関車が一般開放開始に!牛島本町にある『牛島公園』に『富山城址公園』にあった蒸気機関車が移設して一般開放されてる。 - 富山デイズ(2021年10月18日)2022年3月28日閲覧。
  11. ^ 筑豊線保存SL、せんべい工場へ - 西日本新聞・2020年2月10日
  12. ^ 鉄道模型趣味No.346、pp.16 - 17
  13. ^ 鉄道博物館第5回コレクション展「模型でたどる鉄道史」図録、2013年


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