国鉄D50形蒸気機関車とは? わかりやすく解説

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国鉄D50形蒸気機関車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/12 14:05 UTC 版)

D50形は、日本国有鉄道(国鉄、製造時は鉄道省)の貨物用テンダー式蒸気機関車の1形式である。


注釈

  1. ^ その形式変更後最初に完成した29976となるべき車両は、最初からD50 277として竣工、就役している。
  2. ^ 日本製の国鉄用蒸気機関車では初の採用事例となった。
  3. ^ 9600形を設計した朝倉希一技師の直系の弟子に当たり、1919年(大正8年)のアメリカ出張で当時最新の蒸気機関車設計を学んでいた。
  4. ^ 初期の製造分では箱型の暖め器にウォシントン式給水ポンプを備えていたが、1927年(昭和2年)製造分以降は丸型の暖め器となり、給水ポンプの方式も変更された。
  5. ^ 蒸気駆動の空気圧縮機から供給される空気圧。
  6. ^ 但しバネとバネ釣りの間の締結構造はドイツ流儀のダブルナット締めのままである。純米国流であればナットではなくギグ(栓)による。
  7. ^ 分岐角7度9分の分岐器。
  8. ^ この設計はのちのD51形にも踏襲された。
  9. ^ 日本国鉄の制式蒸気機関車で鋳鋼製台枠が一般化するのは戦時設計の結果であったが、元々米国流儀の鉄道車両を用いていた満鉄鮮鉄では鋳鋼製台枠が標準であった。
  10. ^ 基幹となる戦艦・巡洋戦艦各8隻の建造に限っても、60万tを超える鋼材が消費される予定であった。実際には戦艦2隻が竣工した後、巡洋戦艦2隻と戦艦2隻の建造を進めている途中でワシントン海軍軍縮条約が締結されて計画中止、これら未成艦は巡洋戦艦と戦艦各1隻の艦体を航空母艦に転用したものの、残り2隻は最終的に解体、残る10隻の計画艦についても完全にキャンセルとされた。なお、戦艦・巡洋戦艦の場合、装甲板や砲身を巨大なインゴットから削り出し加工で所定の形状に成形するため、その建造に当たっては、実際に完成した艦の排水量を遙かに上回る量の鋼材が一時的に消費される(その過程で膨大な量のくず鉄が発生し、回収される)ことになる。
  11. ^ 製鋼技術未熟のため、指定の品質が得られなかったことが原因。
  12. ^ この際、動輪についても強化のためにスポーク本数を14本から15本に変更、慣性質量の変更に対応して各動輪のカウンターウェイトも増量している。
  13. ^ 最末期の製造グループは使用の機会がなくなったことから、当初より真空ブレーキ用各機器を非搭載としている。
  14. ^ とは言っても、朝倉希一の弟子である島秀雄はドイツ派でありながら、のちにD50形を軽軸重化して入線可能範囲を拡大、後は溶接の多用など単に時代に合わせて少々手直ししただけのD51形を設計している。D51形はD50形の基本設計の重要な部分には手を付けておらず、そればかりかその後継であるD52形でも足回りの基本構造は踏襲されており、主務設計者である小河原藤吉の見識の確かさをうかがわせる。無論、本形式でこのような酷評を浴びせられた小河原は省内のドイツ派から疎んじられており、彼は3シリンダー機である8200形(のちのC52形)の基本計画を最後に鉄道省を去り、本形式の大半の製造を担当した川崎造船所へ入社している。そのような事情もあり、後年D51形をはじめとする本形式で確立された設計を踏襲した各形式が賞賛をもって受け入れられた際にも、彼の功績は正しく顧みられることはなかった。
  15. ^ 動輪径が1,400mmで本務機の1,750mmの80%しかないため、これと歩調を合わせて同一速度で走行するには、ピストンやロッド類、ピストンバルブなどの往復運動する部品の動作速度が本務機の25%増となる必要がある(計算上、90km/h運転時にはD50の動輪回転数は340rpmとなる)。それでも問題なく実用に耐えたことから、ピストンスピードの上限に余裕があったこともさることながら、本形式の初期車で往復運動する部品に軽い材料を使用していたことによる効果が大きかったことが判る。もっとも戦後は先台車復元装置の不具合により高速走行時に脱線するものがあったため、本形式は70km/h制限を受けることとなった。これに対し、本形式の最末期生産グループの設計を踏襲しコロ式先台車を標準としたD51形の場合は85km/h制限となっている。なお、九州地区配置の本形式では、現在梅小路蒸気機関車館で保存されているD50 140を含め、後年に先輪を新製以来の軽いスポーク式から重いディスク式へ交換したものが多数存在したが、これもこうした脱線問題への対策の一つであった。なおこの交換に際しては、C59形C60形C61形の先台車の第2軸と振り替える措置が取られたケースがある(2011年平成23年)復元のC61 20の先台車第2軸がそれである)。
  16. ^ これは前後方向の重心位置がほぼ第2 - 3動軸間と理想的な位置にあり、また粘着率でD51形を上回るなど、重量バランスの点で本形式が絶妙な設計を実現していたことによるとされる。
  17. ^ 例えばD51 1, 2の2両はメーカーでの完成後、直ちに北陸本線の要衝である敦賀機関区へ新製配置されているが、わずか2年の使用で他区へ転出しており、いわゆる「ナメクジ形」の半流線型デザインを採用した初期グループは、それら2両の配置期間中に他に2両が2ヶ月間貸し出しで配置された実績はあるものの、以後2度と同区へ配置されることなく終わっている。また、D50形の配置のあった他の勾配線担当機関区においても、初期型D51形の新製配置を受けたにもかかわらず、その多くが古い本形式を残してこれらの真新しいD51形を平坦線を担当する他区へ追い出し、代わりに他区から本形式を受け取るなどの措置を行っており、それらの各機関区がこのタイプのD51形を厳しく拒否した状況が明確となっている。これらの機関区では、カタログスペックの上でのわずかな出力やボイラー効率の向上よりも、時に乗務員の生命にもかかわる「登り勾配区間で空転しにくいこと」の方が遙かに重要と見なされていたのである。ことに、明治期建設で小断面の長大トンネルが連続していた、この時代の北陸本線では、本形式でさえトンネル内での空転が原因で乗務員の殉職を引き起こしており、第二次世界大戦後に集煙装置が開発されるまで、特に機関車の粘着性能には過敏にならざるを得ない環境にあった。
  18. ^ D51形でこの部分の間隔を詰めたのは、転向可能な転車台のサイズを本形式より1ランク落として亜幹線での運用を容易にすることとともに、こうした本形式での特定条件における脱線事故多発傾向への対策が目的であった。
  19. ^ 運転台共々300 mm扛上され、缶中心高さは2800mmとなっている。動輪軸ばねは鉄道省の23号機以降と同じ上ばね式であるが、この扛上のため第4動輪軸ばね後端と火室が干渉しないため、ボイラ・運転台は22号機以前と同じ前に寄せたままの設計である。[14]
  20. ^ 火格子面積も3.9m2と拡げられているが、これは廉価な低質炭を燃料とするための設計変更である。

出典

  1. ^ 栄光の日本の蒸気機関車 久保田 博 (著), 広田 尚敬 (著, 写真), 片野 正巳 (イラスト) 出版「JTBパブリッシング」P196
  2. ^ 日本蒸気機関車特集集成下 鉄道ピクトリアル編集部(編)鉄道図書刊行会(出版)P46
  3. ^ 栄光の日本の蒸気機関車 久保田 博 (著), 広田 尚敬 (著, 写真), 片野 正巳 (イラスト) 出版「JTBパブリッシング」P156
  4. ^ 鉄道ピクトリアル2022年8月号No.1001 P30.P31
  5. ^ 蒸気機関車NO.35 P80
  6. ^ 続・滋賀の技術小史
  7. ^ 杉山淳一の時事日想 鉄道のトンネルは、安全なのか
  8. ^ 日本蒸気機関車特集集成下 鉄道ピクトリアル編集部(編)鉄道図書刊行会(出版)P104
  9. ^ 現役技術者「SLは生き物」
  10. ^ 栄光の日本の蒸気機関車P156
  11. ^ 日本蒸気機関車特集集成 鉄道ピクトリアル編集部(編)鉄道図書刊行会(出版)P48
  12. ^ 蒸気機関車EX(エクスプローラ) Vol.10 イカロス出版(出版)P15
  13. ^ 中国蒸汽機車世紀集影 中国鉄道出版社 ISBN 7-113-04148-5 2001年7月発行
  14. ^ 日本蒸気機関車史pp.37 - 38
  15. ^ 小熊米雄 「満州のD50―吉長、吉敦鉄路の500形について」 交友社『鉄道ファン』1963年4月号 No.22 pp.45-47


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