愛知電気鉄道デハ3300形電車とは? わかりやすく解説

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愛知電気鉄道デハ3300形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/26 01:52 UTC 版)

愛知電気鉄道デハ3300形電車(あいちでんきてつどうでは3300がたでんしゃ)は、名古屋鉄道(名鉄)の前身事業者の一つである愛知電気鉄道(愛電)が1928年昭和3年)に導入した電車制御電動車)である。


注釈

  1. ^ サハ2040形は1939年(昭和4年)新製[6]
  2. ^ デハ3300形6両・デハ3600形4両・サハ2040形5両の総数[2]
  3. ^ デハ3600形・サハ2040形は150人(座席60人)[10]
  4. ^ 愛電は「サハ」を制御車の車種記号として使用した[15]
  5. ^ 形式称号改定以前の1926年(昭和元年)に導入された全鋼製試作車のデハ3090形も例外的に当初より「電○形」の形式称号を付与されていないが、同形式は形式称号改定時の申請書類にて旧形式称号を「全鋼3090形」と記されている[17]。その他、改定後の1928年(昭和3年)に碧海電気鉄道より譲渡されたデハ1010形(元碧電電1形)も同じく「電○形」の形式称号を付与された経歴を持たない[19]
  6. ^ サハ2040形導入の翌年、1930年(昭和5年)より新製された電気機関車デキ400形2両が愛電における最後の新造車両となった[21]
  7. ^ デハ1060形・デハ1066形(電6形)までの3扉車各形式では妻面中央窓上の幕板部に[27]、デハ3080形・サハ2020形以降の2扉車では側面中央の幕板部にそれぞれ施されている[10][28]
  8. ^ 当時の旧・名古屋鉄道の保有電化路線は全線直流600 V仕様であった[29]
  9. ^ 設計認可時の公文書によればWH-556-J6とともに同機種の国内ライセンス生産機種である芝浦製作所SE-132Cも併用したとされるが[13]、名鉄継承後の1944年(昭和19年)当時に作成された諸元表では後述する2両を除いて全車ともWH-556-J6で統一されている[9]
  10. ^ 台車形式については設計認可時の公文書をはじめ多くの資料にて「D16」とされているが[10][13][14]、製造元である日本車輌製造は「最大心皿荷重16 tの台車をD16形式とする社内規定に厳密に従った場合、同16.5 tの台車はD18形式となる」旨解説し[33]、本系列の台車も「D18」であるとする[32]
  11. ^ a b 名鉄社内における「AL車」とは自動加速制御装置を搭載する車両形式を表し[29]、対して本系列をはじめとする手動進段制御装置を搭載する車両形式は「HL車」と呼称された[29]
  12. ^ 正確には東部線豊橋 - 金山橋間・西部線新岐阜 - 新名古屋間の2系統と、両系統を結ぶ金山橋 - 新名古屋間の区間運用の計3系統で運行された[48]
  13. ^ 台車は落成以来のD16を装着し、制御装置は他車と同じくHL制御装置ながら三菱電機CB-231-10を搭載した[37][51]
  14. ^ 運用最晩年のモ3300形・モ3350形は3730系新製に際しての他形式との振り替えによって主電動機が三菱電機MB-98-Aに変更されていた[59]。MB-98-AはWH-556-J6の国内ライセンス生産機種とされるが[11]、定格出力こそ74.6 kWと同一ながら定格回転数は890 rpmに留まる、WH-556-J6と比較して性能的に見劣りする機種であった[11]。冷房装置搭載などによる車体重量増加とそれに伴う主電動機への負荷増が見込まれた3780系への主要機器供出に際しては、両形式より供出されたMB-98-Aを3700系(2代)へ転用[59]、捻出したWH-556-J6に転がり抵抗低減目的で電機子軸のコロ軸受化改造を施工し型番をWH-556-JR6へ変更した上で3780系へ搭載する玉突き転用が実施されている[59]
  15. ^ モハ3100形・モハ3150形とも伊那電気鉄道が導入した旧デ120形を出自とする車両形式であり[68]、モハ3100形からの転用分(モハ3773へ搭載)については、正確には同形式の電装解除による制御車化で発生した主要機器を自社工場製の電気機関車であるED31形へ転用していたものを、モハ3770形導入に際して再転用したものである[63]

出典

  1. ^ a b 『日本車輛製品案内 昭和5年(NSK型トラック)』 p.29
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 『名古屋鉄道車両史 上巻』 pp.73 - 75
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z 『日車の車輌史 図面集-戦前私鉄編 上』 p.217
  4. ^ a b c 「監督局 許第5769号 電動客車竣功ノ件 昭和3年7月26日」
  5. ^ a b c 「監督局 許第194号 電動客車竣功ノ件 昭和4年1月11日」
  6. ^ a b c 「監督局 許第6030号 客車竣功ノ件 昭和4年7月19日」
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x 「私鉄車両めぐり (87) 名古屋鉄道 3」 (1971) p.65
  8. ^ a b c d e f g 『名鉄木造車鋼体化の系譜』 p.34
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m n 『名古屋鉄道車両史 上巻』 p.162
  10. ^ a b c d e f g h i 『写真が語る名鉄80年 - 電車・バスなどの変遷』 pp.68 - 69
  11. ^ a b c d 「琴電へ譲渡された名鉄3700系」 (2006) pp.174 - 175
  12. ^ a b c d e f g 『名鉄木造車鋼体化の系譜』 p.47
  13. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 「監督局 第1897号 愛知電気鉄道客車設計ノ件 昭和3年6月14日」
  14. ^ a b c d e f g h i j k 「監督局 第2327号 愛知電気鉄道客車設計ノ件 昭和4年7月10日」
  15. ^ a b 『私鉄の車両11 名古屋鉄道』 p.99
  16. ^ a b c d 「名古屋鉄道の車両前史 現在の名鉄を構成した各社の車両」 (1986) pp.171 - 172
  17. ^ a b 「監督局 許第8527号 車輌竣功図表訂正ノ件 昭和2年11月24日」
  18. ^ 『名古屋鉄道車両史 上巻』 pp.62 - 75
  19. ^ 『名古屋鉄道車両史 上巻』 p.82
  20. ^ 『名古屋鉄道社史』 p.184
  21. ^ 『名古屋鉄道車両史 上巻』 p.77
  22. ^ a b 「名車の軌跡 知多鉄道デハ910物語」 (1979) p.150
  23. ^ a b c d e f 『日車の車輌史 図面集-戦前私鉄編 上』 p.215
  24. ^ a b c d 『驀進100年 第1部 鉄道車両とともに』 p.67
  25. ^ a b c 「他社で働く元・名鉄の車両たち」 (1986) pp.181 - 182
  26. ^ a b 『名古屋鉄道車両史 上巻』 pp.146 - 147
  27. ^ 『写真が語る名鉄80年 - 電車・バスなどの変遷』 pp.59 - 60
  28. ^ a b 『写真が語る名鉄80年 - 電車・バスなどの変遷』 p.67
  29. ^ a b c d e f 『名古屋鉄道車両史 上巻』 pp.124 - 125
  30. ^ a b 『名鉄木造車鋼体化の系譜』 p.35
  31. ^ 『名鉄木造車鋼体化の系譜』 p.43
  32. ^ a b c d 『日車の車輌史 写真・図面集 - 台車編』 p.113
  33. ^ 『日車の車輌史 写真・図面集 - 台車編』 p.116
  34. ^ a b 『名古屋鉄道社史』 pp.173 - 175
  35. ^ a b c d e f g 『名古屋鉄道社史』 pp.180 - 181
  36. ^ a b c d 『名鉄木造車鋼体化の系譜』 pp.33 - 34
  37. ^ a b c d e f 「私鉄車両めぐり (27) 名古屋鉄道 2」 (1956) pp.33 - 34
  38. ^ a b c d e 「監督局 第2728号 愛知電気鉄道客車設計変更ノ件 昭和4年8月22日」
  39. ^ 「監督局 許第7912号 車輌竣功ノ件 昭和4年9月16日」
  40. ^ a b 「監督局 許第3484号 車輌竣功ノ件 昭和6年4月27日」
  41. ^ a b 「監督局 許第290号 車輌竣功ノ件 昭和7年1月13日」
  42. ^ 『名古屋鉄道社史』 pp.201 - 202
  43. ^ a b c 「総説:名古屋鉄道」 (2006) pp.14 - 15
  44. ^ 『名古屋鉄道車両史 上巻』 p.161
  45. ^ a b 「戦争突入を目前にした1941年初頭の名鉄電車」 (2011) pp.149 - 150
  46. ^ a b 『名古屋鉄道車両史 上巻』 pp.130 - 131
  47. ^ 『名古屋鉄道社史』 p.209
  48. ^ a b c d 『名古屋鉄道社史』 pp.251 - 253
  49. ^ 『名古屋鉄道社史』 p.776
  50. ^ 『名古屋鉄道社史』 pp.339 - 341
  51. ^ a b c d 『名鉄木造車鋼体化の系譜』 pp.35 - 36
  52. ^ a b 「名車の軌跡 知多鉄道デハ910物語」 (1979) p.151
  53. ^ a b 「名古屋鉄道にみる車体更新車の興味」 (1992) pp.21 - 22
  54. ^ a b 「私鉄車両めぐり (87) 名古屋鉄道 1」 (1971) pp.81 - 82
  55. ^ a b c 「私鉄車両めぐり (46) 名古屋鉄道 補遺」 (1961) p.33
  56. ^ a b 『名鉄木造車鋼体化の系譜』 pp.24 - 28
  57. ^ 『名鉄電車 昭和ノスタルジー』 p.89
  58. ^ 『名鉄木造車鋼体化の系譜』 pp.38 - 39
  59. ^ a b c d 『名鉄木造車鋼体化の系譜』 pp.39 - 41
  60. ^ a b c 『私鉄の車両11 名古屋鉄道』 p.179
  61. ^ a b c d e f 『私鉄の車両14 大井川鉄道』 p.61
  62. ^ a b c d e f 『私鉄の車両14 大井川鉄道』 pp.108 - 109
  63. ^ a b c d e f 「私鉄車両めぐり (77) 北陸鉄道 1」 pp.213 - 214
  64. ^ a b c d e f 「私鉄車両めぐり (86) 豊橋鉄道渥美線」 p.162
  65. ^ a b 「他社で働く元・名鉄の車両たち」 (1986) p.177
  66. ^ 『私鉄の車両14 大井川鉄道』 p.161
  67. ^ 「現有私鉄概説 大井川鐵道」 (1998) p.225
  68. ^ 「私鉄車両めぐり (77) 北陸鉄道 1」 p.212
  69. ^ a b c 『北陸鉄道金名線』 pp.43 - 44
  70. ^ a b 『昭和30年代 - 50年代の地方私鉄を歩く16』 pp.194 - 195
  71. ^ 「現有私鉄概説 北陸鉄道」 (2001) p.87
  72. ^ 「中京・北陸地方のローカル私鉄 現況1 豊橋鉄道」 (1986) p.103
  73. ^ 「中京・北陸地方のローカル私鉄 現況1 豊橋鉄道」 (1986) p.107
  74. ^ 『ローカル私鉄車輌20年 西日本編』 p.65
  75. ^ 「余命わずか 豊鉄渥美線の600 V車」 (1997) pp.38 - 40
  76. ^ 『新車年鑑 1998年版』 p.125
  77. ^ a b 『新車年鑑 1998年版』 p.89
  78. ^ 『ローカル私鉄車輌20年 西日本編』 pp.168 - 169


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