共進化/軍拡競争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 06:11 UTC 版)
「ティラノサウルス上科」の記事における「共進化/軍拡競争」の解説
ティラノサウルス上科は、長い進化をかけて獲物となる恐竜と共進化/軍拡競争を遂げていた事が分かっている。とりわけ角や鎧を身に纏った重武装の植物食恐竜ケラトプス類やアンキロサウルス類とでは、襲う武器と守る防具が交互に進化していた。結果的にアンキロサウルスは過剰な程に鎧を身に着け、トリケラトプスは骨質の硬いフリルを進化させている。だがティラノサウルス上科も進化を重ねていき、骨をも粉砕できる凄まじい咬合力や、発達した内耳のような鋭敏な感覚器官を進化させた事で、そうした獲物を仕留めていた。タルボサウルスの歯型が頭部に刻まれたタルキアの例や、生存時にティラノサウルスに噛まれたトリケラトプスの例からも、そうした食う食われるの関係を垣間見ることが出来る。中でも決定的なのがモンタナで発掘された闘争化石で、そこにはナノティラヌス(未成熟のティラノサウルス)とカスモサウルス亜科が互いに力尽きて横たわっていた。カスモサウルス亜科の化石にはナノティラヌスの歯が食い込んでいる。両者は存命時に遭遇して争ったと見られている。 しかしティラノサウルス上科でも、毎度のように大物を狙って危険を侵すのは好まなかったらしい。歯型の研究からは彼らが武装したケラトプス類よりも目立った武器のないハドロサウルス類を積極的に狙ったことが指摘されているまた初期のティラノサウルス上科(グアンロンなど)は身体が小柄だったため、小動物(トカゲ、哺乳類〜小型恐竜)を獲物にしていた可能性が高い。 こうした獲物との軍拡競争と同時に、ティラノサウルス上科はその進化において常に他の獣脚類やティラノサウルス上科同士の他種との競争にも晒されていた。7千数百万年間の長きにわたった白亜紀だが、北アメリカではシアッツ、アジアではウルグベグサウルスといった大型のカルカロドントサウルス類が当時のティラノサウルス上科と共存していたことが分かっている。約9000万年前まではカルカロドントサウルス類がティラノサウルス上科(特にパンティラノサウルス類)を抑え頂点捕食者の地位に居たと見られている。またパンティラノサウルス類の中でも進化的であったティラノサウルス科はアルバートサウルス亜科・ティラノサウルス亜科・アリオラムス類に枝分かれした。こういった変遷の中で、最終的にはティラノサウルスがK-Pg境界まで生き延びていた可能性がある。
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