充実した設備
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 02:56 UTC 版)
共楽館のスケジュールは、おおよそ娯楽関連の催しが月1回、講演やキャンペーン的な催しは約3ヶ月に1度、そして随時、団体行事が入るというスケジュールとなっていたと考えられる。前述のように共楽館では単に歌舞伎などの演芸のみならず、公演、映画、展覧会、相撲など、当時まだ大規模な催し物を開催できる施設がほとんど無い中、実に様々な使われ方をしていた。このようなまさに多目的ホール的な様々な利用に対応できたのは、共楽館に充実した設備が備わっていたからであった。先述のように映画上映を見据えて劇場に椅子席を導入したのは、現存する劇場の中でも共楽館が初めてのケースであり、また1階の椅子を片付けて土間として使用できるなど、建物自体が様々な利用方法に対応できるようになっていた。 劇場設備においても、かつら部屋、衣装部屋、小道具置き場、役者の楽屋である化粧室が完備しており、かつら、衣装などは豊富に揃えられていて、舞台も本格的なものであった。そして役者たちが連続興行をするために共楽館に宿泊することもあり、共楽館には宿泊用の布団も備え付けられていた。共楽館オープン前に地元新聞が東京の帝国劇場に次ぐ日本第2位の劇場であると報道したのは過大評価であるにしても、1918年(大正7年)に共楽館を視察した岡山県吉岡鉱山の視察団は共楽館を「東京の一流劇場にひけをとらない」と評価し、また時代は下るが1942年(昭和17年)に共楽館で公演した尾上菊五郎が、「東京の北に、こんな劇場は他にない」と語ったと伝えられている。
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