二次師部
二次師部
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 04:00 UTC 版)
茎や根において、一次師部と一次木部の間に生じた分裂組織である維管束形成層 (単に形成層とよばれることも多い) から形成された師部は、二次師部 (次生師部、secondary phloem) とよばれる (下図)。二次師部は、維管束形成層の外側に付加されていく (下図)。維管束形成層による二次成長を行う植物 (いわゆる木本植物) は二次師部をもち、このような植物では二次師部は樹皮の内層に位置する。生物学における靭皮 (じんぴ、bast) は、二次師部のことを意味する。二次師部では、一次師部にくらべて構成要素が放射方向に整然と並んでいる傾向があり、また師要素が短く密度が高い。 二次師部のそれぞれの師要素が機能するのは短期間であり、内側から付加される新たな組織に押し出され、崩壊していく。そのため、二次木部の厚さが年々増加していくのに対して、二次師部の厚さはある程度以上は変化しない。 二次木部と同様、二次師部にも軸方向の要素 (師要素、師部繊維、軸方向柔組織) と放射方向の要素 (放射柔組織) が存在する。これらの始原細胞は維管束形成層に存在し、二次木部と共有している。そのため、二次師部の放射組織は、維管束形成層を挟んで二次木部の放射組織と連続している (下図)。また二次成長している茎や根は円周を増大させていくため、師部放射組織はそれを埋めるよう細胞分裂によって外側に向かって幅広くなっていることがある (下図)。このような放射組織は、拡張放射組織 (dilated ray) とよばれる。 木本の茎の模式図. 1. 髄、2, 3. 二次木部 (材)、4. 維管束形成層、5. 二次師部など (靱皮)、6. 周皮. 二次師部は維管束形成層から外側に向けて形成される. マツ属 (マツ科) の根の横断面. 中央2/3ほどを占める二次木部の周縁にある、青緑色に染色された小さいな細胞からなる層が二次師部. シナノキ属 (シナノキ科) の茎の横断面. 左下部分の二次木部の外縁に維管束形成層があり、その外側に二次師部がある. 三角形の部分は師管と師部繊維組織 (紫色) の繰り返しになっており (放射組織も含む)、逆三角形部分は拡張放射組織 (木部の放射組織と連続している).
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