三言二拍とは? わかりやすく解説

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さんげん‐にはく【三言二拍】

読み方:さんげんにはく

中国明末刊行され口語体短編小説集総称。三言とは、馮夢竜(ふうぼうりゅう)編著の「喩世(ゆせい)明言」「警世通言」「醒世(せいせい)恒言」、二拍とは、凌濛初(りょうもうしょ)編著の「拍案驚奇」「二刻拍案驚奇」をいう。


三言二拍

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/18 17:30 UTC 版)

三言二拍(さんげんにはく)は、中国末に馮夢竜凌濛初[注 1]らが編纂した通俗小説集の総称[注 2]。馮夢竜編の3部を三言、 凌濛初編の2部を二拍という。・明3代にわたって書かれた1巻1篇の、話本・擬話本(口語体の短編小説)が収録されている。凌濛初編に重複1巻、雑劇の戯曲が1巻あるため、都合198篇の短編小説からなる。


注釈

  1. ^ りょうもうしょ、1580-1644年、字を玄房、号を初成、また即空観主人ともいう。浙江鳥程に生まれ、1591年12歳で秀才となるも1634年55歳にして上海県丞になる。その後1644年、農民の武装蜂起に抗拒し吐血して66歳で死んだ。著書は頗る多く、二拍も編纂と称しながら創作が多いとされる。
  2. ^ 松枝茂夫は、「馮夢竜は通俗小説の大立者として名が残っており、三言の中にも彼の創作が入っているであろう」と述べている[1]
  3. ^ しおのや おん、東京帝国大学文学部教授(当時)。
  4. ^ 後に豊田穣が日光慈眼堂の旧天海和尚蔵書から明の尚友堂刻40巻本を発見した[2]
  5. ^ 滿鐵大連圖書館(現・大連図書館魯迅路分館)は南満州鉄道株式会社(1906-1945年、略称「満鉄」)の設立した図書館。設立時の住所は関東州大連市東公園町29(満鉄本店の隣)。
  6. ^ ひろさわ ゆうすけ、立命館大学 文学部東アジア研究学域 准教授。
  7. ^ 都賀庭鐘 《古今奇談 英草紙》 1749年、第九編 『高武蔵守婢を出して媒をなす話』の粉本
  8. ^ 曲亭馬琴 『高尾船字文』 1796年 連判状発見のくだりの着想
  9. ^ 都賀庭鐘 《古今奇談 繁野話》 1766年、第五篇「白菊の方猿掛の岸に軽骨を射る話」の粉本[11]
  10. ^ 都賀庭鐘 《古今奇談 英草紙》 1749年、第二編 『馬場求馬妻を沈て樋口が聟と成話』の粉本
  11. ^ 曲亭馬琴 『椿説弓張月、『そのゝゆき』 1807年 の一部の粉本
  12. ^ 都賀庭鐘 作 《古今奇談 英草紙》 1749年、巻の三 第五編 『紀任重陰司に到て滯獄を斷る話』の粉本[12]
  13. ^ 都賀庭鐘 《古今奇談 英草紙》 1749年、第三編 『豊原兼秋音を聴て国の盛衰を知話』の粉本
  14. ^ 上田秋成 《雨月物語》 1768年、第二編 『菊花の約』一部の着想
  15. ^ 都賀庭鐘 《古今奇談 英草紙》 1749年、第四編 『黒川源太主山に入て通を得たる話』の粉本
  16. ^ 都賀庭鐘 《古今奇談 英草紙》 1749年、第八編 『白水翁が売卜直言奇を示す話』の粉本[13]
  17. ^ 都賀庭鐘 《古今奇談 繁野話》 1766年、第八編 『江口の遊女薄情を恨みて珠玉を沈むる話』の粉本
  18. ^ 都賀庭鐘 《垣根草》 1770年、巻の五 『環人見春澄を激して家を興さしむる事』の着想
  19. ^ 石川雅望 『天羽衣』 1808年 の着想
  20. ^ 都賀庭鐘 《古今奇談 英草紙》 1749年、第六編 『三人の妓女趣を異にして各名を成話』の粉本
  21. ^ 司馬芝叟 講釈(長咄)『油売郎』の粉本であるが、この芝叟の作が、近松徳叟(ちかまつとくそう、近松徳三 芝居 『侠顔廓日記』及び 改作 『油商人廓話』、さらに講談、浪曲、落語 『紺屋高尾』・『名物幾代餅』の粉本になっている。
  22. ^ 十返舎一九 『通俗油売郎』の粉本
  23. ^ 森羅子 『月下清談』(1798年)の粉本
  24. ^ 曲亭馬琴 『小説比翼文』 1804年 の着想
  25. ^ 南仙笑楚満人(なんせんしょうそまひと) 『秋色染話萩の枝折』の着想
  26. ^ 都賀庭鐘 《莠句冊》 1786年、第三編 『求冢俗説の異同冢の神の霊問答の話』の着想
  27. ^ 浅井了意狗張子》 1692年、第七巻 『飯森兵助陰徳の報い』の粉本
  28. ^ 上田秋成雨月物語》 1768年、第二編 『菊花の約』の粉本
  29. ^ 都賀庭鐘 《垣根草》 1770年、巻の三『靭晴宗夫妻再生の縁を結ぶ事』一部の着想
  30. ^ 平春海(たいらはるみ、村田春海) 未刊の作 『竺志船物語』の粉本
  31. ^ 『京本通俗小説』としての日本語訳は吉川幸次郎訳(『中国古典文学全集』第7巻所収)がある。
  32. ^ 東京大学東洋文化研究所所蔵 影印
  33. ^ 参照原文《序・拍案惊奇凡例(计五则)》 原文(簡体字)
  34. ^ 参照原文《中文百科在線―二刻拍案驚奇·小引 原文 》。
  35. ^ 2冊目が刊行されるまでは初刻の文字はなかった。
  36. ^ 都賀庭鐘 《垣根草》 1770年、巻の四『山村が子孫九世同居忍の字を守る事』の後半部分の粉本
  37. ^ 曲亭馬琴 『近世説美少年録』 1828-1834年 第26回後半から第18回までの粉本
  38. ^ 曲亭馬琴 『開巻驚奇侠客伝』 20巻 (1832-1835年、未刊)発端の粉本
  39. ^ 浅井了意 《御伽婢子》 1666年、第三巻『藤原基頼卿海賊に逢事』の粉本
  40. ^ 都賀庭鐘 《垣根草》 1770年、巻の三『靭晴宗夫妻再生の縁を結ぶ事』の粉本
  41. ^ 平春海 未刊の作 『竺志船物語』一部の着想
  42. ^ 雲府観天歩(うんぷかんてんぽ) 『雪炭奇遇』5巻 1803年 の粉本

出典

  1. ^ 『宋・元・明通俗小説選』, p. 524.
  2. ^ 豐田 1941.
  3. ^ 『宋・元・明通俗小説選』, pp. 523–524.
  4. ^ 勝山 1998, p. 170.
  5. ^ 『宋・元・明通俗小説選』, pp. 524–525.
  6. ^ 廣澤 2000.
  7. ^ 『宋・元・明通俗小説選』, p. 531-532.
  8. ^ 『宋・元・明通俗小説選』, p. 525.
  9. ^ a b c d e 『宋・元・明通俗小説選』, pp. 531–535. ミスプリは適宜修正した。
  10. ^ a b c d 駒田訳 1973, pp. 453–461. 解説「各巻の出典と、その江戸文学への影響」
  11. ^ 太刀川 1980.
  12. ^ 青木・淡斎編 1994, p. 5.
  13. ^ 佐藤 1980.
  14. ^ 長沢 1937.
  15. ^ 『宋・元・明通俗小説選』.


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