ヘルマン–ファインマンの定理とは? わかりやすく解説

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ヘルマン–ファインマンの定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/20 13:58 UTC 版)

ヘルマン–ファインマンの定理(ヘルマン–ファインマンのていり、: Hellmann–Feynman theorem)とは、量子力学において、パラメータ依存したハミルトニアンとそのエネルギー固有値に関する定理である。量子化学および数理固体物理学において特にヘルマン–ファインマン力(ヘルマン–ファインマンりょく、: Hellmann–Feynman force)の計算に応用され、重要である。定理の名は、ドイツの物理学者H. ヘルマン英語版と米国の物理学者R. P. ファインマンに因む。定理を最初に明示的な形で表したのは、P. Güttingerであるが[1]W. パウリやヘルマンの論文にも記されている[2][3]。特にヘルマンは分子への適用に向けて、変分形式で表現した。また、1939年に当時、マサチューセッツ工科大学の学生であったファインマンは、この定理を示すともに、化学結合した原子において、電子及び他の原子核が原子核に及ぼす力は古典的な静電力として、扱えることを示した[4]。「ヘルマン–ファインマンの定理」の名が定着したのは、J. C. スレイターがその著書の中でその名で呼んだことによる[5][6]


  1. ^ P. Güttinger, "Das Verhalten von Atomen im magnetischen Drehfeld". Z. Phys. 73 (3–4), p.169 doi:10.1007/BF01351211
  2. ^ W. Pauli, "Principles of Wave Mechanics," Handbuch der Physik, 24, Berlin: Springer. p. 162 (1933)
  3. ^ H. Hellmann, Einführung in die Quantenchemie, Leipzig: Franz Deuticke. p. 285 (1937)
  4. ^ a b R. P. Feynman, "Forces in Molecules," Phys. Rev., 56, p.340 (1939) doi:10.1103/PhysRev.56.340
  5. ^ J. C. Slater, Solid-State and Molecular Theory ; A Scientific Biography, John Wily, New York and London (1975)
  6. ^ R. M. Martin (2004), Chapter.3
  7. ^ 中辻博、「力の立場から見た化学現象(1)」、化学、第28巻、第1号、p.17
  8. ^ 江沢洋、「人物で学ぶ物理(第6回)」、数理科学、2012年1月号、サイエンス社
  9. ^ 実際は ψ は位置座標について反対称化されているので、ρi の関数形は全て同じである。


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