タイルを使った教具の発明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 02:27 UTC 版)
「鈴木筆太郎」の記事における「タイルを使った教具の発明」の解説
鈴木筆太郎は1897年(明治30年)に別子尋常高等小学校の校長に赴任した。筆太郎は小学校で教師達が「算術の授業がうまくいかない」と嘆いているのを聞いて、1905年頃(明治38年)から算術教育の研究に打ち込むようになった。そして「正方形を使って〈数と数字の位取り〉を教える教具」を発明し、「別子教数器(べっしきょうすうき)」と名付けて、1907年から『愛媛教育雑誌』に立て続けに論文を発表した。筆太郎は「初歩の算術は〈基数の定理〉と〈十進法〉のふたつを理解させることができれば、決して困難なものではない」と考えた。筆太郎の教具はどれも「10を大事にする」ものだった。 さらに筆太郎は別子教数器を簡略化した教具「折畳教数盤(おりたたみきょうすうばん)」を考案した。筆太郎の教具は「□□□□□×2段」で「一つの大きな10マスの長方形」となるようにできていた。この「□が10個集まった大きな長方形」は裏返すと「ひとつの大きな白い長方形」に見えるように作ってあり、筆太郎はこの教具で「〈下位の10個〉を〈上位の1個〉にまとめること」を「十個一括」と呼んだ。このように「下位の10個」と「上位の1個」が等しいということを直感させて位取りの仕組みを理解させようとした。逆に「上の位の一個」を「下の位の10個」に分割する操作も教具を使って直感的に理解させ、「一個十割」と呼んだ。また「十進系統図」という教具を使って「各単位の一個が、下の単位の10倍、あるいは100倍になっている」ということも教えた。 また,筆太郎の教具は「黒い背景に白い正方形を出す」ようになっていたため、「黒の背景」と「白の正方形」の関係が直感的に分かる仕組みになっていた。たとえば「1,2,3」と数えると「□■■■■」「□□■■■」「□□□■■」と子どもたちには見える。筆太郎はこのようにして白い正方形を数えていくと、背景の「黒い正方形」が子どもたちに自然に意識されるようになるとした。たとえば「3」では「□□□=3」と「■■=2」が意識される。そこで「3+2=5」や「5-2=3」のような、水道方式の素過程に相当する計算が子どもたちに自然に理解できるようになった。筆太郎はこの教具を使った授業プランを作った。
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