ウルフネット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 22:24 UTC 版)
ステレオ投影は、前節で与えたような数式を用いて、コンピューターに算出させることができる。しかし、手でグラフを描くには、これらの数式は扱いにくい。代わりに、目的に特化して設計されたグラフ用紙を使うのが一般的である。このグラフ用紙を作るには、半球上に緯線と経線の格子を置き、それらを円盤の上にステレオ投影した曲線を描く。これをステレオネットまたはウルフネットという。ウルフネットの名は、ロシア人の鉱物学者であるジョージ・ウルフ(George (Yuri Viktorovich) Wulff) に由来する。 このネットの中心付近の区画と端の方の区画を比べることで、ステレオ投影の面積が歪む特性を見ることができる。この二つの区画は球面上では同じ面積を持っていた。円盤上では、端の方の区画は中心の区画の4倍近くの面積を面積を持っている。球の上の格子の目が細かければ細かいほど、その面積の比は4倍に近づく。 格子線を見ることで、この投影の正角性も見ることが出来る。球面上の緯線と経線は直角に交わるが、ウルフネット上のそれらの像も同じく直角で交わっている。 ウルフネットの使い方の例を説明する。まずウルフネットが描かれた薄い紙を2枚用意し、片方をもう片方の上に重ね、互いの中心を揃えて鋲で止める。仮に、下側の単位半球面上の点(0.321, 0.557, -0.766)を描くとする。この点はx軸正の方向から60° 反時計回り(またはy軸正の方向から30° 時計回り)の方向にあり、z = 0の水平面より50° 下である。これらの角度を知れば、次の4 ステップで描ける。 ここでは格子の間隔は10° である。格子を使い、点(1, 0)から60° 反時計回り(または点(0, 1)から30° 時計回り)のネットの端に印を付ける。 上側のネットを回し、付けた印を下側のネットの点(1, 0)に合わせる。 下側の格子を使い、印を付けた点から中心に向かって50° のところに、点を打つ。 上側のネットをさっきとは逆方向に回し、下側のネットと揃えた元の位置に戻す。ステップ3 で打った点が、目標の点のステレオ投影である。 60° や 50° のような切りのいい数字ではない角度の点を描くには、近い格子の間を補間しなければならない。10°より目の細かいネットの方が使いやすく、格子間隔が2° のものが一般的である。 このステレオ投影点を元にして2点間の球面上の中心角を見つけるには、ウルフネットをその上に被せて、2点が同じ経線に載るまたは近くなるまで互いの中心を合わせて回す。その経線に沿って格子線を数えることで、中心角を測ることができる。
※この「ウルフネット」の解説は、「ステレオ投影」の解説の一部です。
「ウルフネット」を含む「ステレオ投影」の記事については、「ステレオ投影」の概要を参照ください。
- ウルフネットのページへのリンク