アメリカの住宅ローン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/09 14:13 UTC 版)
アメリカでは、古くから住宅を持つことが貧困を抜け出した象徴として、(一般人にも手の届く)アメリカン・ドリームの実現の一つであると考えられており、政府も持ち家を後押しすべく、貯蓄貸付組合を支援する連邦住宅貸付銀行や、証券化を支援する連邦住宅抵当公庫、連邦住宅金融抵当公庫といった政府支援機関を設立し、全てのFDIC加盟の銀行は法令により住宅ローンを人種、出身国、宗教、性別、身体障碍、家族状況に関わらず貸し出すことを求められている(このため、返済能力を支払履歴から評価するクレジットスコアが普及している)。低所得者層へそれを行き渡らせるものとして将来的な不動産の値上がりを前提として、比較的高金利で住宅購入資金を融資する「サブプライム住宅ローン」が存在する。しかし、2006年頃から不動産の値上がりが鈍化し、返済が滞るケースが続出した。住宅ローン会社の経営が悪化していると言われ、アメリカ経済への影響が報じられている。→サブプライム住宅ローン危機を参照。 米国の住宅ローンはノンリコースローンであるとの主張がしばしばなされるが、これは不正確な表現であり、また州によっては事実に反する。アリゾナ州、カリフォルニア州などおよそ8つの州にはanti-deficiency law(不足金請求を禁止する法律)が存在し、債権者が担保物件を競売した後、代金が債権額に不足した場合、残額を債務者に請求することを厳しく制限するか、事実上困難にしている。この法律は、1930年代の大恐慌が数多くの債務者に過酷な結果をもたらしたため設けられたものである。それ以外の州では債権者は不足金判決(deficiency judgment)を得ることにより、債務者に不足金の支払を求めることができるので、その他の財産を差し押さえるなどして満足を得ることも可能である。ただ、住宅ローンの支払を滞らせるような債務者は住宅以外に見るべき財産を持たないことが多いなどの事情により、事実上そのような手続がとられないことはある。
※この「アメリカの住宅ローン」の解説は、「住宅ローン」の解説の一部です。
「アメリカの住宅ローン」を含む「住宅ローン」の記事については、「住宅ローン」の概要を参照ください。
- アメリカの住宅ローンのページへのリンク