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アティヤ=シンガーの指数定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/05/01 06:59 UTC 版)
アティヤ=シンガーの指数定理(Atiyah–Singer index theorem)とは、スピンc多様体 の上の複素ベクトル束の間の楕円型微分作用素について、解析的指数と呼ばれる量と位相的指数と呼ばれる量とが等しいという定理である。解析的指数は与えられた楕円型微分作用素が定める偏微分方程式の解の次元を表す解析的な量であり、一方で位相的指数は微分作用素の主表象をもとにして多様体のコホモロジーを通じて定義される幾何的な量である。従って指数定理は解析学と幾何学という見かけ上異なった体系の間のつながりを与えているという意味で20世紀の微分幾何学における最も重要な定理ともいわれる。
本稿で述べる形の指数定理はマイケル・アティヤとイサドール・シンガーによって1963年に発表[1]され、1968年に証明[2] [3]が刊行された。指数定理の特別な場合として、以前から知られていたガウス・ボンネの定理や(ヒルツェブルフの)リーマン・ロッホの定理などが含まれていると理解できる。さらに、1950年代の終わりに得られていたグロタンディークのリーマン・ロッホの定理はこの定理の定式化に大きな影響を与えたとされ、グロタンディークが代数多様体に対して用いたK理論の構成を微分多様体に対して実行することが指数定理の定式化・証明における重要なステップをなしている。またアティヤ-シンガーによる枠組みの一般化として群が作用している場合や、楕円型微分作用素を持つ多様体が、ある多様体によってパラメーター付けされた族として与えられている場合、葉層構造によってパラメーター付けが与えられている場合などに指数定理が一般化されている。
この定理の研究から、アティヤとシンガーは2004年にアーベル賞を受賞した。
- ^ Atiyah, Michael F. and Singer, Isadore M., The Index of Elliptic Operators on Compact Manifolds, Bull. Amer. Math. Soc. 69, 322-433, 1963.
- ^ Atiyah, Michael F. and Singer, Isadore M., The Index of Elliptic Operators I Ann. Math. 87, 484-530, 1968. K理論を用いた指数定理の証明
- ^ M. F. Atiyah; G. B. Segal The Index of Elliptic Operators: II The Annals of Mathematics 2nd Ser., Vol. 87, No. 3 (May, 1968), pp. 531-545
- 1 アティヤ=シンガーの指数定理とは
- 2 アティヤ=シンガーの指数定理の概要
- 3 参考文献