わが友ヒットラー
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『わが友ヒットラー』(わがともヒットラー)は、三島由紀夫の戯曲。全3幕から成る。アドルフ・ヒトラーが政権を獲得した翌年に起こした突撃隊粛清(レーム事件)を元にした作品である。ヒトラーに厚い友情を抱いているナチスの私兵・突撃隊幕僚長のエルンスト・レームと、全体主義の移行のために「中道」姿勢を国民に見せておく必要から極右のレーム処分を考えるヒトラーとの対比を会話劇で描いている。私兵「楯の会」を率いていた三島が、レームに理想の人物像を重ね合わせている作品でもある[1][2]。登場人物が男性4人だけなので、女性6人のみの『サド侯爵夫人』と対をなす作品となっている[1]。なお、作者・三島による脚本読みの肉声録音が残っている[3]。
注釈
出典
- ^ a b c d 「『わが友ヒットラー』覚書」(劇団浪曼劇場プログラム 1969年1月)。新潮文庫 2003, pp. 234–237、35巻 2003, pp. 386–388に所収
- ^ a b c d e f g h i j 「第四章 最後のロマンティーク――三島由紀夫 5『わが友ヒットラー』」(伊藤 2006, pp. 164–168)
- ^ 「disc1」「disc2」(41巻 2004)
- ^ 井上隆史「作品目録――昭和43年」(42巻 2005, pp. 448–452)
- ^ 山中剛史「著書目録――目次」(42巻 2005, pp. 540–561)
- ^ a b 松本道介「わが友ヒットラー」(事典 2000, pp. 421–425)
- ^ 久保田裕子「三島由紀夫翻訳書目」(事典 2000, pp. 695–729)
- ^ a b 「作品の背景――『わが友ヒットラー』」(東京新聞 1968年12月27日)。新潮文庫 2003, pp. 231–233、35巻 2003, pp. 319–320に所収
- ^ a b 「一対の作品―『サド侯爵夫人』と『わが友ヒットラー』」(劇団浪曼劇場プログラム 1969年5月)。新潮文庫 2003, pp. 237–239、35巻 2003, pp. 472–473に所収
- ^ 秋山安三郎「劇評」(朝日新聞夕刊 1969年1月27日号)。事典 2000, p. 424
- ^ 小島信夫「文芸時評」(朝日新聞夕刊 1968年11月28日号)。事典 2000, p. 424
- ^ a b マイコウィッチ・ミナコ・K「わが友ヒットラー」(旧事典 1976, pp. 469–470)
- ^ a b 「第五章 文と武の人」(佐藤 2006, pp. 144–205)
- ^ a b 和久田誠男「『サロメ』演出を託されて――和久田誠男氏を囲んで(聞き手:松本徹・井上隆史・山中剛史)」(研究4 2007, pp. 4–28)。同時代 2011, pp. 389–426に所収
- ^ a b c d e f 後藤修一「『わが友ヒットラー』の時代考証―三島さんとの出会い」(憂国忌 2010, pp. 54–56)
- ^ 勝部演之、佐々木治己 著「記憶-三島由紀夫と松浦竹夫」、日本演出家協会 編『戦後新劇 演出家の仕事2』れんが書房新社、2007年5月25日、247-265頁。
- ^ 「解題――わが友ヒットラー」(41巻 2004, pp. 5–7)
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